映画『Boy Kills World(2024)』物語結末までネタバレ解説と感想評価




「タランティーノが作ったハンガー・ゲームだ!」世界が大絶賛する映画『Boy Kills World(2024)』物語結末までネタバレ解説と感想評価。ジャングルで命を掛けた鍛錬を続ける聾唖者のボーイは家族を殺した政府組織を相手に大立ち回りする内容なのですが、ハイセンスなアクションとカメラワークに軽妙なユーモア、丁寧な人物描写と見事な脚本によって最高のB級映画に仕上がっているので必見です。

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映画『Boy Kills World』物語ネタバレ

ボーイは妹と母を銃で撃たれて殺される夢を見ていた。

雷雨が注ぐ深夜のジャングルで泥の中に埋められたボーイはかろうじて竹の棒で呼吸をしていたが我慢できずにボーイは泥から這い出てしまう。そこに現れたボーイの師匠の“シャーマン“(ヤヤン・ルヒアン)はボーイを不愉快そうに見つめると再びボーイを泥の中に埋め戻す。

ボーイの復讐相手

妹のミナ(クイン・コープランド)と母を殺され、自身は声を失ったボーイは、シャーマンのもとで何年もの間、武術、筋トレ、銃火器についてなどを幅広く、しかし理不尽という他無い地獄の鍛錬を続けていた。ある夜、新たなトレーニングの一環としてシャーマンはボーイに幻覚剤を使いながら、ボーイにこの鍛錬の意義について説明をする。これらの鍛錬はすべてテロリストのリーダーでボーイの家族の仇でもあるヒルダ(ファムケ・ヤンセン)を殺すためだと言う。

数年後、青年にまで成長したボーイ(ビル・スカルスガルド)はシャーマンのトレーニングのおかげで肉体を極限まで鍛え上げ、ついにシャーマンを倒す手前まで追い詰めるが妹のミナの幻覚で気が散ってしまい負けてしまう。ボーイの弱さを垣間見たシャーマンは“お前はまだ準備ができていない“と呟きながらいつも通りぶん殴ってボーイを気絶させる。

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ジューン27

ある日、ボーイとシャーマンが街に降りるとボーイはかわいい花売りの女に出会い、久しぶりに優しさと穏やかさに触れたボーイは彼女から花をもらって微笑んでいると、突然政府の兵士が現れ住民たちを次々捕まえていく。シャーマンとボーイが隠れて様子を伺っていると、グレン・ヴァン・デ・コイ(シャーリト・コプリー)、メラニー・ヴァン・デ・コイ(ミシェル・ドッキー)の夫のギデオン・ヴァン・デ・コイ(ブレット・ゲルマン)が現れ政府に楯突いたとして住民の公開処刑を行うが、政府の強引なやり方に反発する住民たちの怒りが溢れてグレンたちに襲いかかるが、政府執行官のジューン27(ジェシカ・ローテ)たち兵士たちの手で住民たちは次々と虐殺されていく。その様子を我慢して見ているボーイに対し、シャーマンはまだ準備ができていないと抑えるが、ボーイは命令を無視してグレンたちを追いかけてしまう。

彼らのアジトに到着したボーイはミナの幻影に気を取られて兵士たちの前に姿を出してしまい銃口を向けられてしまうが、咄嗟にシャーマンから教わった戦いの極意や格闘術を思い出し兵士と次々殺していく。しかし兵士物量の前にボーイは徐々に追い詰められてしまうが、拘束された謎の男バショウ(アンドリュー・コージ)がボーイに手錠を解放してくれたらヒルダを殺すのを手伝うと申し出る。ボーイはバショウを解放し2人で倉庫の兵士を殲滅する。

逃げようとするグレンを尋問しヒルダの場所を聞きつけたあと、バショウはうっかり万力を頭に落としてグレンを殺してしまう。

倉庫を抜け出したボーイは、バショウの所属するレジスタンスのアジトを訪れ、バショウの仲間ベニー(アイザイア・ムスタファ)を紹介される。ボーイはベニーとバショウからヒルダ襲撃計画を教えてもらうが彼らの言語が聞き取れないボーイはただ頷き、とりあえず計画に参加することにする。

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復讐開始

三人はヒルダの屋敷に向かいそれぞれ計画のためにそれぞれ独自に行動し、ボーイに向かって計画通りに頼むと言って離れるがボーイは計画について何一つ理解しておらず、とりあえず渡されたシェフの衣装に身を包み屋敷を散策する。ここで生まれて初めてマカロンを食べて感動する。

とりあえずよくわからないボーイは厨房に入ると制服を脱いで他の従業員をぶっ殺していき、テーブルに座るヒルダの背後から首を切り落として、ついに家族の仇を取った。

とはいかなかった。

テーブルにいた他の者たちが恐怖の叫び声を上げる中、ボーイはヒルダの首をつかみ顔を確認するが、それがヒルダではないことに気がつく。

いつの間にか兵士とギデオンに囲まれ、ギデオンがヒルダの命を狙うレジスタンスを炙り出すためにヒルダの影武者を用意していたのだと説明したあと、ジューン27にボーイを殺せと命令する。

ジューン27とボーイは2人で殺し合いを続け、ボーイが優勢となりジューン27のかぶっているヘルメットを取り除くが素顔を見たボーイはなぜか手が止まりジューン27にぶっ倒されて気絶してしまう。

気絶したボーイは、母と妹が処刑されたあと、政府に舌を切られ、木に吊るされて処刑されそうになったところをシャーマンに救われ、ジャングルで復讐のために訓練を受けてきた過去の夢を見る。

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公開処刑パーティ

ボーイは椅子に縛られたままギデオンからヒルダは“シャーマンを恐れている“こと、そのためギデオンたちはヒルダの命令でシャーマンの息のかかった反体制派を根絶やしにするために毎年処刑を行っているが、ギデオンは今では罪のない人々も処刑していることにうんざりしていること。そして、今年の処刑にボーイを連れていくが、もう終わりにしてほしいとボーイに呟く。

そして今年の処刑が始まり観客たちに向けてヒルダが司会として登場し、群衆を煽り始めるがシャーマンの幻覚を恐れるヒルダも精神が不安定で群衆に向けて銃を向けるなど奇行を始めたため、ヒルダを操作していたメラニーが代役として登壇してついに処刑を始める。

今年の処刑は冬のワンダーランドをモチーフにした舞台上で、コミカルな衣装に身を包んだ処刑人たちによって12人+ボーイが処刑されるという演出で行われる。処刑人たちは次々と残虐に人々を殺し始める中、手を繋がれたボーイはギデオンからこっそり渡されたナイフで手の縄を切ることに成功するが、メラニーはすぐに気がつきボーイの首につけた電気ショックを作動させてボーイは無力化される。

殺されると思われたが、妖精の1人に扮したバショウと銃を持ったベニーが乱入して銃を持って乱入しボーイを助け出す。ついでにバショウはボーイに殴ると銃弾が発射される奇妙なベアナックルをボーイにプレゼントし、三人は舞台で暴れ回る。

管制室では、ギデオンが手引きしたことでショーが台無しになったと怒るメラニーに撃たれていた。

舞台で処刑人たちを返り討ちにしたボーイたちの前に舞台袖からメラニーが現れベニーとバショウが撃たれてしまう。処刑人の1人パイナップルマンを盾にメラニーの銃撃を防いだボーイはメラニーの顔面に銃弾を叩き込む。

彼女は殉教者になれと言う。カメラはパンして離れ、メラニーに急接近する。カメラが彼女の顔に激突し、亀裂が入り、血まみれになりながら、彼女は無駄に叫ぶ。カメラは引き戻され、パンするドリーカメラの金属スパイクで彼女の顔を貫いたことがわかる。彼女の体は床に倒れこむ。

ベニーは死亡し、重傷を負ったベニーはボーイに進めと背中を押すと、ボーイは立ち塞がる兵士たちを殺しながら過去の訓練や絶望を思い出し返り血で真っ赤になっていく。

廊下に出ると、メラニーに撃たれて瀕死のギデオンが倒れていた。ギデオンは笑いながらボーイに最後の扉の鍵を手渡す。そこにミナの幻覚が現れボーイに「やめて」と叫ぶが、ボーイは無慈悲にギデオンの首を切り落とすのだった。

エレベーターを降りるとジューン27と多くの兵士が待ち構えていた。

連れられたボーイの前に現れたヒルダが泣きながら謝罪してボーイを抱きしめると、ボーイは全てを思い出す。

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エンディングネタバレ「ボーイの本当の仇」

ヒルダに抱きしめられてボーイはすべてを思い出した。

あの日、ボーイは被害者としてではなく、処刑の執行役として参加していた。

実母であるヒルダは目の前にいるシャーマンと家族を処刑するため、ボーイに銃を無理やり持たせて引き金を引かせたこと。

シャーマンの懇願を無視してヒルダとボーイの銃弾によってシャーマンの家族は殺されたこと。

残されたシャーマンを殺すように命令されたボーイが混乱して銃を乱射した結果シャーマンがボーイを攫って逃げたこと。

そして、シャーマンはボーイをジャングルに連れ去ると、薬物でボーイにヒルダを忘れさせ、母親と妹が死んだと思い込まされ、舌を切り取り、耳を聞こえなくして自身の仇を打つため、仇のボーイを弟子として洗脳されていたこと、全てを思い出す。

そしてずっと敵対してきたジューン27は、彼が死んだと思っていた妹のミナで、言われるがまま殺害したメラニーやギデオン、グレンは自身の叔父と叔母だったことも思い出す。

全て思い出して動けなくなったボーイに対しヒルダはジューン27にボーイを殺せと命令するが、ジューン27は命令を無視するとヒルダの額に斧を突き刺して殺害する。

ボーイとジューン27は多くの兵士たちに殴られ、撃たれ血まみれになりながらエレベーターに乗り込む。そこでジューン27は、ヒルダに兄さんが死んだと言われ続けていたが、生きている望みは捨てなかったと告げ2人は和解する。

そしてエレベーターを降りた2人の前に本当の仇であるシャーマンが立ち塞がる。

シャーマンはジューン27を指差しまだ復讐は終わっていないと襲いかかる。最初ボーイは師匠で育ての親でもあったシャーマンに手を出せずにいたが、ジューン27が殺されかかったことでついに洗脳を解いてシャーマンに殴りかかる。

2対1で優位のはずだったが、本気の殺意で襲いかかるシャーマンの強さは圧倒的で2人はすぐに殺されかけてしまう。2人は致命傷を負いながらなんとかシャーマンのネックレスの牙を心臓に突き立てて復讐を果たす。

傷つき、血まみれになったボーイとジューン27改めミナは2人で力を合わせて外に出ようと歩き出す。

少年時代、ボーイがミナと一緒にゲームを始めようとしている。

ミナの“一緒にいてくれる?“という問いかけにボーイは“いつも一緒さ“と答えるシーンで物語は終了する。

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海外の感想評価

7/10
比較するのは嫌いだが、ここで比較する。
ここは2024年、もう一つの復讐映画である。私は1ヶ月以上前に『モンキーマン』を観たばかりで、この復讐映画も面白かった。
Boy Kills World』は『Monkey Man』を観る前から注目していたが、この2本を比較する状況になるとは思っていなかった。Boy Kills World』を観るまでは。
ネタバレにならない程度に言うと、2人とも幼少期にトラウマとなるような出来事を経験し、同じような旅をする。モンキーマン』はどちらかというとドラマで、『ボーイ・キル・ワールド』はどちらかというとコメディだ。
しかし、『Boy Kills World』は『Monkey Man』よりも独創的な物語構成と強力な振り付けを持っていると言える。モンキーマン』よりも『ボーイ・キルス・ワールド』の方が、より独創的な物語構成と強力な振り付けを持っている。

8/10
何が何だかよくわかる
ボーイ・キルス・ワールド』は大爆笑だ。残虐な暴力と奇妙なユーモアの見事なコンビネーションが、登場人物に興味を抱かせるのに十分なストーリーで結ばれている。効率よく進み、巧妙なひねりがあり、チーズグレーターを使った戦いは忘れがたい。最高のアクション・コメディがそうであるように、おどけたユーモアが中心にある鼓動する心を隠している。
ビル・スカルスゴードは、コミュニケーションに台詞は必要ないことを証明している。彼は目だけで多くのことを表現できるし、H・ジョン・ベンジャミンの適度にオーバーな吹き替えとすべてがうまくシンクロしているのは、まさにボーナスだ。さらに、彼はクイン・コープランドと愛らしい関係を築いている。アンドリュー・コージは、身体能力の高さを披露するチャンスは与えられなかったが、意外にもコメディが得意だということを示す時間は与えられた。
モーティズ・モアの演出は、自意識と誠実さのバランスをうまくとり、ビデオゲームの言葉の一部を効果的に映画に翻訳している。ピーター・マジャスコによる撮影では、カメラはアクションに逆らうのではなく、アクションとともに動く。常に流動的で血みどろの創意工夫が凝らされ、最高の戦いは最後に取っておく。振り付けは非の打ち所がなく、打撃は意地悪で、いい意味で疲れるほど長く続く、そんな最後の戦いだ。

8/10
痛快アクションの楽しい時間
ひねりの効いた復讐映画や、エンターテイメントのために退治される心無いチンピラたちが好きなら、この映画を楽しめるだろう 👍🏻 私もその一人 👍🏻 期待はかなり低かったが、最後までとても楽しめたし、当初思っていたよりもずっと良かった。戦いのシーンは本当によくできているし、笑いもある(特にスカルスガルド演じるボーイが誰かの言葉を読もうとするシーン)。スクリーンに映し出される血が嫌いな人、チーズグレーターが理不尽に怖い人、ナンと一緒にいる人は観ないでください 👌🏻

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感想と評価「ここ最近で最も興奮した」

いやいや申し訳ない。こんなに面白い作品とは思っていなかった。

ハンガー・ゲームとベスト・キッドとキル・ビルとザ・レイドのいいとこどりしたような作品。

前提としてこの映画は1000発近く主人公に向かって発砲されているが1発も当たることはない、お約束アクションB級映画だが、監督のセンスと勢いでかなりの良作に仕上がっている。

全体的にスコットピルグリムとか辺りのコメディアクション映画と思っていたが、極力CGを抑えながらもゲーム的ながらゴア表現もある痛みのある残虐で軽快なアクション、そしてしれっと笑わせてくる見事なユーモアに度肝を抜かされる。

一番の裏切りはまさかの脚本、独創性のある展開とテンポ良く丁寧に描写した登場人物の背景描写のおかげで、誰がなぜそんな行動をしているのか?なぜ?が全て解決してくれるため、私でも内容を理解できた上に全員に感情移入できて鳥肌が立ちっぱなしの見応えあるキャラ同士による骨太アクションとユーモアたっぷりのやりとり、これは面白いわけだ。バランスが良すぎるのだ。

ディストピア感はハンガー・ゲームだが、私はあの安っぽい同人誌みたいなシリーズよりもこの一作の威力の方が遥かに衝撃的だと感じた。

復讐を誓う聾唖者のボーイ、彼の良心である幼い妹のミア、師匠のシャーマン、政治的リーダーのヒルダ、その腹心のグレン、ギデオン、メラニー、ジューン27、ベニー、バショウ。なんてことだ。映画を見終わった後にキャラクター名が全員出てくるぞ。

この映画では彼らそれぞれの深みのある馬鹿馬鹿しい背景があるおかげで全員に感情移入でき賜物だ。これはどんな映画よりも見事な快挙だと思う。

まだ信じられないよ、全員の登場人物の名前が背景と一緒にすぐに出てくるんだぜ?まじで最高の気分だ。本当に。

あまりに完成度が高いので調べたけどこの作品に原作はないらしい。どうやら数々のアメコミ(グラフィックのべる)にインスパイアはされてはいるものの、独創的個性的な作品は監督の脳髄から生み出されたのだというからニヤニヤが止まらない。

わかる人がいたら嬉しいが、ボーイがマカロンを初めて食べた時これはなんだ!?と驚愕するシーンがあるが、この時、スティーヴン・キング「ダーク・タワー」シリーズの主人公ガンスリンガーが初めてニューヨークのペプシを飲んだ時の感動感を思い出して色々と嬉しく感じた。ただのグレーゾーンの口から漏れ出す言葉だからあまり気にしなくて良いけど、あのシーンが思い出せたことにも喜びを感じたんだよ。どこかにいる同士よ。

聾唖者が復讐者なんて「差別だry」とか言い出す輩がいそうだけど、この映画を最後まで見ているのならそんな言葉は絶対に出てこない。そんなことをいう奴がいたら「ちゃんと見てから言え?」と言ってやろう。聾唖者だからこその表現、鳥肌すげぇでたし笑ったよ。監督、すげぇよ。まじで。

良い映画を見た。

こんな気分は久しぶりだった。

おかげで適応障害で不安定だった気分も極端に最高の気分にふり切られてしまった。明日以降の反動が怖いのは内緒。

ついでに主人公のボーイを演じたビル・スカルスガルドがitのペニーワイズってことにもあとから驚いた。彼は劇中一言も喋ることはないが、心の声はダダ漏れだから良い意味で演技が達者で彼のことは好きなった。肉体美は見事、アクションはまぁ80点ぐらいだがモータルコンバット劇場版に出ても良いぐらいには動けている。だとしても監督のハイセンスな演出のおかげで動きが悪い鈍いとかそういうのは一切感じることはないので安心して独創的なカメラワークでスタイリッシュに動き回るボーイの動きは必見。

なんだっけ。。あの、最近名前を聞かなくなった日本人監督「バーサス」の時のカメラワークを初めて見た時みたいな感動を思い出した。あの監督、ファンに向かって暴言吐いていつの間にかアメリカ進出してからどこ行ったんだろうか、どうでも良いけど。

後半に出てくるベアナックル拳銃取り付けた変態武器はロマンがあって最高だったなぁ。劇中では思い切り殴りつけてついでに発報って感じだったんだけど、個人的にはもっとスピードのあるジャブ連発してその回数分だけ銃弾発射させてメチャクチャに体を破壊する描写が欲しかったのは内緒。

いやぁ。最高。

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