「今年ベストストップモーションホラー」映画『Stopmotion(2024)』物語エンディングまでネタバレと海外の反応評価まとめて紹介。とある少女の提案で作品を作り始めたアニメーターが現実と幻覚と狂気に苛まれていくホラー映画です。ゴア表現とグロテスクなストップモーションは観客も狂気に誘います。
2023年ファンタスティック・フェスティバルのメインコンペティションで、モーガンはストップモーションで監督賞を受賞。また、スペインのカタルーニャで開催された第56回シッチェス映画祭では、オフィシャル・ファンタスティック・セレクションで審査員特別賞を受賞。
絶賛するレビューの中には
「多くの映画製作者が中身よりもスタイルを選ぶ中、ここではスタイルこそが中身だ。モーガンは没入型の感覚攻撃で驚かせる。
アートとストーリーテリングが、息をのむような、しかし反吐が出るようなやり方で衝突している。
モーガンの衝撃的なデビュー作は、激動するアーティストの血管を開き、不気味な媒体の融合を、不穏で力強い度合いで実現した」と評価しています。
もくじ
映画『Stopmotion(2024)』物語エンディングまでネタバレ
ストップモーション・アニメーターの権威であるスザンヌ・ブレイク(ステラ・ゴネット)は、持病で手が思うように動かせない自分の代わりに、娘のエラ(アイスリング・フランシオシ)に作業を手伝わせている。エラは母スザンヌのためストップモーションアニメーション作りだけではなく、食事などの世話も献身的に行う日々を過ごしている。母スザンヌは当たり前のように世話をされ、早朝になればスタジオでエラの一挙動を監視して厳しく指導する。
エラの中で少なからず母への憎悪が芽生えたころ、スザンヌは突然脳卒中で倒れて昏睡状態に陥ってしまう。しばらく考えたエラは途中まで作った作品を最後まで完成させようと決意する。
謎の少女の提案
エラのボーイフレンドのトム(トム・ヨーク(レディオヘッドの人ではない))は、スザンヌが回復する間、一緒に暮らそうと誘うが、エラはワンルーム・アパートを借りて部屋で映画の仕上げを続けると伝える。
ある日、エラはアパートに住む少女(カオイリン・スプリングオール)と出会い少女が半ば強引に部屋の中のスタジオを見学を始める。エラは少女にどんな物語なのか聞かれ教えるが、少女はその内容はつまらないと批判しエラは驚く。
すると少女は森で迷子になった少女についての話をすると、こっちにする方が良いよと伝えて部屋から出ていく。
エラは悩んだ挙句、少女の森に迷い込んだ少女の映画を作り始めると、何とも奇妙で生々しい迫力あるストップモーションが生み出され、一気に作業を行ない疲れた表情だったエラは満足そうな表情を浮かべると、母と共同で作り上げた作品の人形などは全て廃棄してしまう。
そんな彼女の前にまたもや少女が現れ、エラの作った数秒の映像を見て少女の人形がリアルじゃない文句を言うと、少女はどこからか生肉を持ってきてエラに触れさせながら、本物はこれぐらいしないとダメだと、人形の皮膚の下に巻きつけてリアルを追求する方法を提案する。エラは言われるがまま少女の提案を受け入れ生肉を人形に取り付けて少女の人形を制作する。出来上がった少女の人形の皮膚は本物の人間のように赤みがあり、生々しい映像が生まれる。
アッシュマン(灰男)
物語の中で少女は森を走り続け、小さな家に逃げ込むが、窓の外には「アッシュマン(灰男)」と呼ばれる奇妙な人物が登場する。少女曰く、物語の少女はこのアッシュマンから逃げて隠れているのだと言う。
そこでエラはアッシュマン の人形を作るが、その出来に納得できない少女は、エラを森に連れていき、キツネの死骸を見せる。少女は、アッシュマンは死者だから人形も遺体で作るべきだと主張し、キツネの死骸を指さす。しかしエラはそれを拒否したため、少女はこの物語の次の展開を教えないと、怒ってその場を立ち去る。
エラは自分でこの先の展開を生み出そうとするが、どうしても上手くいかず、ホームパーティ中のトムの妹のポリーに会い、新しいアイデアがひらめくかもしれないと期待してLSDを貰い服用する。
すぐに効果が出て彼女は様々な幻覚を見始め、幻覚の中でトムと官能的なセックスを思い出し、トムの肌に触れて生きている人間の皮膚の感触を確かめ、パーティ会場で流血事件が起きて血だらけの男性の血液を触れたエラは何かを悟ったように笑顔になる。
待っていたかのようにパーティ会場に現れた少女と一緒に夜の森に向かったエラは、キツネの死骸を部屋に持ち込み、キツネの死骸を解体してアッシュマンの人形に取り付けていきアッシュマンがついに完成する。完成と同時に部屋の呼び鈴がなり覗き穴を調べるとアッシュマンがこっちを見ている幻覚を見て彼女は気絶してしまう。
彼女は何を作っているのか?
エラはトムに起こされて目が覚める。いつの間にかスタジオの床で眠っていたようだ。
起きあがろうとするエラのポケットからポリーから貰って飲んだはずのLSDが出てくる。
いつの間にか作ったであろう映像を見ると、少女のいる部屋の扉を力強く叩くアッシュマンの姿が映し出されているが、新たなアッシュマンはよりグロテスクになっていた。
それからエラは幻覚を見るようになる。自分の皮膚が人形の粘土の物質になって剥がれ落ちたり、生肉の少女人形がエラの太ももを抉られたり、トムとのデート中に少女が監視していたりする気がするなど、エラはすこしづつ疲弊していく。
アニメーターでもあるポリーから、スタジオで働かないかと言われスタジオの見学に向かう。するとそこでポリーがエラの作っている森の中を彷徨う少女のストップモーションアニメを作っている現場を目の当たりにする。自分の作品を盗作されたエラは怒ってスタジオのセットを破壊して立ち去る。
スタジオでエラは少女から次はアッシュマンに捕まる展開だと告げるが、エラはこの提案を拒否して、少女はアッシュマンからうまく逃げる内容にすると伝え、再び少女の機嫌を損ねてしまう。
エラが次の展開について構想を練っていると、エラはセットの森から等身大のアッシュマンが現れ捕まってしまい陵辱されるような幻覚を見て目覚めるが、そこは病院だった。エラは幻覚を見た際に焦って転んで足を怪我したため病院に運ばれていたのだ。
エンディングネタバ「少女の正体、作ったもの」
お見舞いに来たトムはエラのアニメ制作プロジェクトはやりすぎだと伝え、彼女のアパートに行ってセットをぶっ壊すと告げる。エラはそれを止めてトムと一緒に家に行って自分で壊すと伝える。そして入院中に、母が亡くなったことを知り悲ったエラは病室で母の元に向かうと、そこにはなぜか少女がいて、早く続きを作ろうと急かす少女に引っ張られてアパートに入る。
エラはウキウキで撮影の準備を始める少女の首を絞めて殺す。しかしすぐ背後から無傷の少女が現れたのを見たエラは泣いて少女に慰められながら、アッシュマンをもっと血の通ったもので作り直すよう要求される。
エラは怪我をした包帯を外すと、足の縫い目を外して傷口に指を突っ込み筋肉を叫びながら引きちぎる。トムとポリーがその様子を見てすぐに病院に連れ出そうとエラを抱えて階段に向かうが、エラは暴れてトムを階段から突き落とすと、盗作された怒りを込めてポリーの首を撮影機材で引き裂いてぶっ殺し、虫の息だったトムの首を塞いで二人とも殺してしまう。
エラは二人をスタジオに運び込むと二人の血肉を使ってアッシュ・マンの等身大人形を作りあげ撮影を開始する。すると少女とエラの目の前で、アッシュマンは勝手に動き出しエラを追いかけ始める。その様子を見た少女は、これは物語の一部ではないと困惑した表情を浮かべながら後退りして立ち去っていく。
追い詰められたエラは、自分の顔を蝋のようにはぎ取りアッシュマンに捧げ、アッシュマンはエラの顔を一心不乱に食べ始める。
どこかの霧が立ちこめる森の中、エラは物語に登場した部屋に入ると、部屋の中でパソコンで出来上がった作品を見ている少女を見つける。
少女のパソコンを覗き込むと、アパートで死んでいるエラの姿が映し出されていた。
それを見たエラは少女の隣にあった箱を開ける。
少女は私はこの映画が好きよと言うと、それを聞いたエラは満足そうに微笑むと、箱の中に入って蓋を閉めて物語は終了する。
映画『Stopmotion(2024)』海外の反応評価まとめ
IMDb 6.3/10
9/10
ボディ・ホラーの時間だ
特殊メイクと効果/クリーチャーデザイナーのダン・マーティンは、私にとって必見のテレビになった。彼は、この映画の、めちゃくちゃ魅惑的で、呪術的で、ジューシーな(?笑)ストップモーション・クリーチャーの後ろ盾であり、ここ数年の私のお気に入りの映画、『イニシャリンのバンシーズ』、『インフィニティ・プール』、『傷だらけの小鹿』(!)の後ろ盾であり、ソニーの次回作『タロット』ではクリーチャーの仕事をしている。
ストップモーションを除けば、この映画は明らかに普通の映画だ。演技はとても素晴らしいが、ストップモーションがもっと見たくてたまらなくなる。とても不気味なのだ。何か心を掴まれるような、イヤな感じがする。初めて観た『ヘレディタリー』を思い出した。本当に何かある。
6/10
緩やかな下り坂
暗闇から再びご挨拶。ストップモーションの芸術は、粘土の塊に命を吹き込み、興味深い物語を語ることで成り立っている。それは、細部への細心の注意を必要とする、耐え難いほどゆっくりとした作業だ。
アニメーターから脚本家/監督に転身したロバート・モーガンによる初の長編映画は、ロビン・キングとの共同脚本で、この独特な芸術形態にオマージュを捧げている。もちろん、ホラー映画であるため、”芸術家は芸術によって消費される “という格言も効果的に使われている。
最終幕には過激なゴア描写があるので、覚悟してほしい。生肉、キツネの死体、ウジ虫、切断が登場する映画は珍しいが、ストップ・アクション・アニメーションを実写ドラマとうまく融合させた作品はほとんどない。エイスリング・フランシオサは、現実と創造性の間でワイヤーが交差するとき、悩めるアーティストを説得力を持って描く直感を持っている。ゾッとするのもショーの一部なのだ。
8/10
スローバーンなインディーホラー
スローバーンなインディーホラーで、万人向けではない。実際、これはホラー映画ではないとさえ言える。
ストップモーションは素晴らしい演技(特に主役のエイスリング・フランシオシ)、不気味で不気味なシーン、実にクールなプラクティカル・エフェクト、そしてかなり素晴らしいクライマックスがある。
中盤は少しテンポが悪くなることもあるが、退屈はしなかった。この映画には、すべてを説明する説明ダンプがなくても、何が起こったのかを確信できるような情報の伝え方があった。
9/10
とても迷いましたが、意外と本当に良かったです!
この映画は、母親が亡くなる前に母親のストップモーションアニメ映画を完成させようとする映画監督の、やや普通の映画として始まる。エラが映画を完成させるためにアパートの一室を借りたとき、彼女は自分自身を招き入れた子供の助けを借りて自分の映画を作り始め、狂気へと堕ちていく。
映画が進むにつれ、エラはますますグロテスクで暴力的になっていく。しかし、映画の後半になるにつれて事態は急展開し、私たちはスクリーンを見て、”ああ、何なんだ!「そして、その映像に耐えかねて劇場を後にする人さえ何人かいた。 映画が終わったとき、私たちはそれが何を意味するのか混乱した。でも、混乱しても大丈夫だった。考えさせられたし、何が起こったかについて自分たちなりのストーリーを展開するのに役立ったから。ぜひ観に行くことをお勧めする。
5/10
奇妙な暗い物語
エイスリング・フランシオ-デメテル号最後の航海、ゲーム・オブ・スローンズ、トム・ヨーク-ポルダーク、オリンパス、ステラ・ゴネット-ブリーダーズ、マン・ダウン、カオイリン・スプリングオール-シタデル、ミッドナイト・スカイを観た。
これは奇妙な小さな映画だ。アイスリングは母親のステラと同じストップモーションアニメーター。ステラは体調が悪く、エイスリングに最後のストップモーション映画を完成させようと手伝わせるが、娘に以前していたような忍耐力はなく、エイスリングはストレスを感じていた。ステラが脳卒中で入院することになったとき、アイスリングはアパートに住む少女、カオイリンに手伝ってもらって映画を制作する。しかし、映画を暗いホラー物語にしようとするカオイリンには奇妙なところがあった。トムはアイスリングのボーイフレンドで、アイスリングを助けようとするが、彼女の様子がおかしい–少女らしくないカオイリンの影響を受けているのだろうか?ラスト近くはかなり血なまぐさくなるし、説明不足なところもある。
暴力、血糊、言語、薬物使用、性的内容(ヌードはなし)でR指定、上映時間は1時間33分。DVDで買うような作品ではないが、ストップモーションが好きなら、ストリーミングで見てもいいだろう。
メタスコア 65/100
まとめと感想「普通」
全体的に普通で終わってしまった。
エラは元々善悪の素質があったのかもしれないが、それを後押しする少女の姿を借りた悪魔?に言われるがままグロテスクな人形で映画を作り始め、徐々に奇妙な出来事や幻覚に苛まれ、ついに狂気に陥ってしまう。
しかし、肝心のストップモーションが物足りない。あどけない少女の人形がいきなりグロテスクになってやべぇ!と視聴者に戦慄を与えるも、そこからの展開はスローで、人形映画自体も同じシーンを繰り返して見せるだけで終わってしまう。実際のストップモーションアニメ作品に比べると質は低いだけにもっともっと狂気に陥る少女の人形劇を見せて欲しかったと思った。極め付けは、最後の最後に登場する等身大のアッシュマンが着ぐるみだったこと、最後までやりきれよ!と気持ちも急降下してしまった。
エラがLSDで幻覚体験をするが、(結局オチとしては幻覚LSDの作用ではなく、少女の力によるものだとしても)幻覚の内容が薄い。結局過去のセックス体験を思い出して人の皮膚の質感を確かめるだけで終わってしまい、イエローサブマリンみたいなLSDガンギマリ映像である必要はないにしても、人の脳内が生み出す神秘的な幻覚映像こそ、映像作家である監督の腕の見せ所だと思っている私にとっては驚くほどがっかりさせられてしまった。
そして、エロ。セックスシーンは二回あるが、意地でもエラの裸も下着も見せない徹底さ、寝た子を起こされた身としてはそりゃないぜ不二子ちゃん。である。エロも不在、グロは最後の最後の太ももの筋肉を引っ張り出すシーンぐらいで物足りず、肝心の恐怖シーンは皆無で、半端な主人公エラの狂気に陥る工程を浅く描いただけに留まった印象。
エロも、グロも物足りない。
で、この映画を見ていたたらブランドン・クローネンバーグ監督のポゼッサーを思い出した。人乗っ取り暗殺を繰り返す女性が、自身と他人の境界線が合間になっていき現実と幻覚と狂気に苛まれていく物語。ちょっと似てるのかな?
この映画の方が奇妙で気持ち悪く官能的でグロテスクな映画で満足感があっただけに、比較してしまい、全体的に物足りない作品だと感じてしまった。
予告だけでも勃起するほど刺激的。天才の作る映画は映像美も脚本も天才で面白い。
でも予告見て思った。
似てるって、↓少女の人形と↑のマスクが似てたからだw
他のストップモーションを題材にした映画は↓
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