「ジョン・ウィックのイアン・マクシェーンの傑作」映画『American Star(2024)』物語エンディングまでネタバレと海外の感想評価をまとめて紹介。ターゲットを始末するために訪れた年老いたヒットマンが島に滞在していくうちに、彼の中に変化が起きていく。アポロ18の監督ゴンサーロ・ロペス=ガイェゴが前評判を打ち消し、静かで美しい映像を作り上げ話題になっています。
もくじ
映画『American Star(2024)』物語ネタバレと海外の感想評価まとめ
フエルテベントゥーラ島のある男を暗殺するように指令を受けた暗殺者のウィルソン(イアン・マクシェーン)は空港に到着する。
彼は荒野の中を車を走らせ、誰もいない場所で車を降りるとトランクに隠されていた武器と司令書を読み、再び車を走らせる。
ウィルソンはターゲットのいる巨大な別荘に入り慎重にターゲットの男を探すが、中には誰もいない。しばらくすると、若い女が家の中に入ってきてしまう。ウィルソンは女がプールに入っている間に、静かに敷地から脱出する。電話で確認した結果、どうやらターゲットの男は帰宅するまでに時間がかかることが判明。ウィルソンはターゲットが帰ってくるまでの間、この島での滞在を余儀なくされる。
アメリカン・スターとは?
滞在先のホテルの部屋に戻ったウィルソンは、隣の部屋の外で待つ育児放棄されている子供と部屋の中で口論している夫婦の声をよそに、ターゲットが戻るまでのしばらくの間余暇を楽しむことにする。夜になりモジョ・ブルース・バーという店名のバーに立ち寄ったウィルソンは、バーテンダーのグロリア(ノラ・アルネゼダー)から店に飾られていたアメリカン・スターと呼ばれる難破船の残骸の場所を聞く。この時ウィルソンはグロリアはターゲットの家にいた女だと気が付く。
翌日、ウィルソンが難破船アメリカン・スターに向かって車を走らせていると、一台の車が後を追っているのに気が付く。道を変えて誰もいない海岸に車をつけると、追ってきた車から降りてきたのは一人の青年だった。ウィルソンはかつての同僚だった男の息子のライアン(アダム・ナガイティス)との再会を喜ぶ。
二人はホテルに戻ると一緒に昼食を取るが、ライアンがここに現れたのは、ターゲットが島に到着するまでの間、ウィルソンを監視するために組織から送り込まれたのだ。二人の短い会話の中で、人生とその目的に対する対照的な視点が感じられる。
ウィルソンがライアンを見習って観光を楽しもうとしていると、偶然通りかかったグロリアから沈没船アメリカン・スターを一緒に見に行かないかと誘われる。
翌日、ウィルソンはグロリアを車に乗せると、お互いの人生について話をして、ウィルソンは、身辺警護の仕事をしていて今は休暇を取っていると説明。グロリアは8年前にフエルテベントゥーラに引っ越してきたと説明する。
海岸に着いて少し歩くと、難破した豪華客船「アメリカン・スター」があった。座礁したまま放置された巨大な豪華客船はすでに朽ち果てて錆だらけにもかかわらず、直立不動で立ち尽くすその姿はウィルソンの何か琴線に触れ、ずっとその姿を凝視する。その背後でグロリアはその船について知っているわずかな歴史を話していると、アメリカン・スターは突然横に倒れ巨大な水飛沫をあげる様子を二人は見守る。
グロリアとウィルソンは飲みに戻り、ウィルソンがトイレから戻るとライアンがグロリアと話をしていた。偶然通りかかった観光客を装うライアンとウィルソンはお互いを知らないふりをするが、ライアンの行動に不信感を持つ。夜になりウィルソンは彼女を家まで送りホテルに戻ると、プールでくつろぐライアンに何をしたかったんだ?と問い詰めるが、ライアンは相棒として手伝おうとしていたと伝えるが、ウィルソンはこの仕事は独りで行うものだと一蹴する。
しばらく滞在しているウィルソンは、向かいの部屋に住んでいる育児放棄されている少年マックス(オスカー・コールマン)とも親しくなる。ウィルソンの言動から、彼は暴力的な連鎖、不幸と孤独に満ちた生活から抜け出したいこと、そして実は、孤独から抜け出し些細な仲間を求めていることが分かる。
ウィルソンはグロリアに招待され実家に向かうとグロリアの母アン(ファニー・アルダン)に歓迎され二人で食事をする。アンはなぜ休暇で訪れているだけのウィルソンにこんなに入れ込んでいるのか?疑問に思っていたようだが、ウィルソンとの会話で、グロリアは父親の面影を感じるのだろうと結論付ける。やがてグロリアが帰宅し、みんなで食事をする。
食後、グロリアは、ウィルソンに母親とダンスをさせる。ダンス中、アンはウィルソンに娘を傷つけないようにと呟く。食事会が終わりウィルソンはグロリアをバーまで送るが、彼女はウィルソンがもうすぐ自分たちの前からいなくなることを察し、グロリアは思わず父親にするかのようにウィルソンを強く抱きしめて立ち去る。
エンディングネタバレ
帰宅しようとしていたウィルソンの背後から現れたライアンは、ウィルソンが親しくしているグロリアがターゲットの女であることを知ってルールを無視して必要以上に親しくするウィルソンに怒りをぶつけるが、俺を信じていないのか?とライアンを立ち去らせる。
結局、彼は町で彼女に会い近くの海岸に行く。グロリアが海に入って泳いでいる間にウィルソンは彼女が持っていたカメラの履歴を見てみると、そこでライアンと寝た痕跡を見てしまう。ウィルソンはカメラの記憶媒体を抜き取ると車に乗って立ち去ろうとするが、気がついたグロリアがウィルソンに追いつく。
車中、ウィルソンは彼女の過去について尋ね、ライアンからもらった資料を突き出し、グロリアの嘘を全て暴いてしまう。そこで彼女はパニックになり、彼に車を止めるように言うとあなたを信じていたのにと悪態をつきながら車から飛び出す。ウィルソンは島から出ていくように最後の警告を伝えるのだった。
部屋に戻ると封筒が置かれていた。中には待ち望んでいたウィルソンのターゲットの写真があった。ついにターゲットが家に帰ってきたのだ。
昼、ターゲットの夫婦が帰宅すると、隠れていたウィルソンは彼と妻を射殺する。そのタイミングでグロリアが戻ってきてしまう。ウィルソンは隠れることをやめリビングに戻ると、死体を見て絶句しているグロリアに対し、奪っていた電話をかえしながら今すぐに島を出るように伝えるが、背後から現れたライアンがグロリアを撃ち殺してしまう。
グロリアの死を見届けたウィルソンは、ライアンを撃ち殺して海岸に向かう。
ウィルソンはアメリカン・スターが佇む海岸に到着すると、ライアンの死体を抱き抱えて海に向かう。
いつの間にか二人の姿、そしてアメリカン・スターの姿が消え去り物語は終了する。
海外の感想評価まとめ
IMDb 5.6/10
メタスコア 68/100
まとめ「静かで儚く素晴らしい」
人はきっとこの映画を退屈と言うのかなと思う。
実際静かで、ひとりの暗殺者の心の写りが割を106分かけて描いた作品であるため、アクションなんてものは微かなもので、静かに淡々と彼の軌跡を映し続ける。
相変わらず文盲だから表現が見つからないがこの映画は大好きだ。
「96時間」以降ずっと安っぽい映画ばかり出ているリーアム・ニーソンがこの映画に主役として出ていたら、再び返り咲くことができたのになと、余計なことを考えてしまった。
最後、死体を海に流しに向かっていたウィルソンが消え去った後、沈没船も消え去ってしまった。そのシーンが持っとのこの映画で私の胸を打った。
人の人生の儚さを象徴しているかのように、死と暴力に塗れた男が人を助けようと努力しても、破壊の力には誰にも叶うはずもなく、疲れ果てた彼自身を象徴しているようで悲しみを覚えた。
エンディングの音楽はピアノの伴奏だけ、この映画を締めくくるにふさわしいと感じ最後まで立ち上がることを拒否して音楽に耳を傾けてしまったのは初めてだった。
きっと退屈だろう。
でも、これは私が求めていた優しい映画の一つでもある。
ブリグズビーベアとも違うのはわかっているが、私はなんだか救われたように感じた。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓