「彼らのようなプロレスラー一家がいたことを忘れてはいけない…」世界が認めた映画『アイアン・クロー/The Iron Claw』物語エンディングまでネタバレ!この映画は本当に面白いのか?リアルな海外の感想評価をまとめて紹介。かつてアイアン・クローの異名で一世を風靡したフリッツの息子たちはプロレスラーとして活躍するが次々と亡くなり、呪いと呼ばれていた。
もくじ
映画『アイアン・クロー/The Iron Claw』物語ネタバレ
プロレスの試合中フリッツ・フォン・エリック(ホルト・マッカラニー)という芸名で知られるジャック・アドキッソンが、彼の代表的な必殺技 “アイアン・クロー “(常人よりも巨大な手で相手の顔を覆うように掴む技)を披露し、会場は盛り上がる。
試合後、彼は妻のドリス(モーラ・ティアニー)、息子のケビンとデヴィッドと合流すると最近買った高級車に家族を乗せる。しかし真面目なドリスはフリッツの派手な新車に必要以上の金を使っていると不満を呟くが、フリッツは家族に最高のものだけを提供すると約束する。
家族の夢、息子の夢
数年後、
大人になった長男のケビン(ザック・エフロン)は父の跡を継いでプロレスの世界に入る。プロレスの興行主になったフリッツは、レスリングで伸び悩む次男のデヴィッド(ハリス・ディキンソン)より、円盤投げのオリンピック選手候補になった三男ケリー(ジェレミー・アレン・ホワイト)を露骨に贔屓している。四男のマイク(スタンリー・サイモンズ)は音楽を愛しているが、フリッツは彼もプロレスの世界に引き込もうとしており、彼に対しても冷たい態度で接しているため、ケビンは母ドリスに、フリッツはマイクに厳しすぎると言うが、彼女はそんなことはないとケビンの主張を否定する。
ケビンとデヴィッドは兄弟でタッグを組み、スポルタトリウムでブルーザー・ブロディ(カジー・ルイ・セレギーノ)とジノ・ヘルナンデス(ライアン・ネメス)とのタッグマッチに出場。デヴィッドがアイアンクローを披露し、兄弟揃ってかつてのフリッツのように大歓声を浴びる。
試合後、ケビンのファンであるパム(リリー・ジェームズ)と食事に出かけ、そこでケビンはパムにフリッツ一族の呪いについて話す。実はケビンが6歳のときに死んだ本当の長兄ジャックのことを話すと、パムはケビンを抱きしめ慰める。
その後、ケビンとデヴィッドNWAチャンピオンのハーレイ・レース(ケビン・アントン)と対戦し、ケビンは場外の硬いコンクリートに叩きつけられ負傷する。なんとかケビンがハーレイを押さえ込むが、ハーレイが反則行為を行い止めようとしたレフェリーを投げ飛ばしたため失格となりケビンは辛うじて勝利するが、様子を見ていたフリッツはケビンに失望し、逆にケビンのためにマイクパフォーマンスをして会場を沸かせたデヴィッドには才能があると伝えて立ち去る。
三男ケリーの帰還、次男の死
1980年オリンピックのボイコットにより、ケリーはオリンピック選手になるチャンスを奪われ実家に戻る。フリッツは、ケビンやデヴィッドとともにリングに立つよう勧める。
その後、ケビン、デヴィッド、ケリーの3人はこっそりと家を抜け出して、マイクの音楽ライブに出て楽しむ。
80年代初頭、
ケリーもプロレスの世界に入り、3兄弟で3人タッグマッチに出場し、破竹の勢いで勝利を続け、ついにはファビュラス・フリーバーズを破り、フリッツ一家の名は世界中に知られるようになる。(ただし、この頃から兄弟は痛み止めだけではなく、様々な薬を常習的に服用するようになる)
幸せの絶頂だったケビンとパムは結婚する。披露宴の最中、ケビンはデヴィッドがトイレで吐血しているのを発見するが、デヴィッドは大丈夫だと言うだけだった。ケビンはパムが妊娠していることを告げ、デヴィッドは叔父になるんだなと喜ぶのだった。
それからしばらくして、デヴィッドは日本へツアーに出かけるが、ある日ケビンが帰宅すると、フリッツからデヴィッドが急性腸炎で亡くなったことを告げられ、家族で葬儀を行う。(詳しい死因や前後の行動について詳細はwikiを参(日本語))
ケリーの足切断、マイクの自殺
葬儀が終わった夜、デヴィッドの代わりにリック・フレアー(アーロン・ディーン・アイゼンバーグ)と世界王座を賭けて戦う代役を決めるため、フリッツはコイントスを行い、ケリーにコインが当たる。
ケリーはフレアーに挑み勝利、王座を獲得するが、精神的に思い悩み葛藤を抱えていたケリーは、夜にバイクで走行中にトラックと衝突し、右足のすねから下を失う大怪我を負う。ケリーはトレーニングを続けるが、ハンディキャップに何度も打ちのめされる。
フリッツは、嫌がるマイクに自分たちの跡を継がせるため、ケビンに頼みマイクにトレーニングをさせる。兄弟に比べ体も小さいマイクは、最初の試合で肩に大怪我を負い、さらに毒素性ショック症候群を発症して昏睡状態に陥る(毒素性ショック症候群は,ブドウ球菌またはレンサ球菌の外毒素によって引き起こされる。 臨床像としては,高熱,低血圧,びまん性の紅斑,多臓器不全などがみられ,重度かつ治療抵抗性のショックへと急速に進行することがある。 )
やがてマイクが目を覚ますと、脳障害の兆候があり日常生活に支障をきたすようになる。
フリッツ一族の呪いが本物だと確信したケビンは、生まれたばかりの息子の名前を法的にアドキッソンに変えてもらう。
ある日、フリッツは、負傷しているにもかかわらず、リングに戻るようマイクに言う。その後、部屋にいたマイクはギターを弾くがまともに弾くことができないことを確認すると、遺書を書き、ビールで薬を飲むのだった。
その後、マイクは遺体となって発見、精神安定剤の過剰摂取による服薬自殺だった。(マイクの詳細はWiki(日本語)
ケリーの死
マイクの死後、ケビンはパムと息子から距離を置き、プロレスに専念するようになり、ジムで追い詰められるかのように訓練を続ける。
ある日、王座決定戦でフレアーと対戦し、ケビンは相手を圧倒し勝利目前となるが、10カウント終了後もフレアの顔面にアイアンクローを決め続けたことで、ケビンは失格となる。
義足を装着したケリーはケビンに助けられながらレスリングを続け、フリッツはケビンにワールドクラス・チャンピオンシップ・レスリング協会を継がせようとしていた。
クリスマスの夜、ケリーはフリッツに新しい銃をプレゼントするが、フリッツが銃を手に取ることなく大事に仕舞おうとしたためフリッツに掴みかかろうとする。ケビンがケリーをなだめ、クリスマスの夜は何事もなく終わったかのように見えた。
夜中、ケリーからの電話を取ったケビンは、ケリーが一族の呪いのことを話し、最後に自殺を考えていると聞き、ケリーを探しに向かおうとするが、フリッツはそんなケビンに対し放っておけと吐き捨てる。
銃声を聞いたケビンが庭に駆け寄ると、ケリーが胸を撃って自殺していた。遅れて現れたフリッツに激怒したケビンはフリッツの首を閉めて殺そうとしてしまうが、途中で手を離すと、ケリーの遺体を抱き抱えてリビングルームに運ぶのだった。(ケリーの痛み止めやコカインの依存症、死の前後の行動や詳細についてはWiki参照(日本語))
エンディングネタバレ「フリッツ一家」
場面は代わり、死後の世界
ケリーは実家を歩いて散歩していた。
表情は晴れやかで、離れにある池のボートに乗っていると、対岸の桟橋にギターを抱えたマイクとチャンピオンベルトを巻いたデヴィッド、そして亡くなった時の6歳の姿の長男ジャック・ジュニア(ロメオ・ニューカマー)と出会う。ケリーは初めて会うジャックに対し兄さんと呟くと、4人は強く抱き合うのだった。
その後、ケビンは家族のためにWCCWをジェリー・ジャレットに売却した。ドリスは絵画の趣味を始め、今までのフリッツに対する献身的な態度や愛情が感じられないそっけない態度を取るようになり、フリッツとの結婚生活が終わったことが明確になる。
ある晴れた日、ケビンは息子たちと外でフットボールをしていると。ケビンが突然泣き出し、心配して駆け寄ってきた息子たちに理由を聞かれると、兄弟が恋しいと答える。
息子たちは自分たちが兄弟になると言い父を強く抱きしめると、ケビンは少し安心したような表情に戻り、再び息子たちとゲームに参加する。
エンディングでは、
フォン・エリック一家は2009年にWWEの殿堂入りを果たし、プロレス界で最も影響力のあるファミリーのひとつであり続けていること、ケビンとパムは牧場を所有し、そこで家族全員(4人の子供と13人の孫)を住まわせていること、最後にはケビンとパムたち大家族の写真が添えられて物語は終了している。
(物語はここで終わるがケビン一家は父親を除く一家全員でハワイに移住してまだ存命である。彼の半生の詳細はWikiを参照(日本語))
(父フリッツは1997年にがんのため68歳で死去、詳細はこちら)
海外の感想評価まとめ
映画『アイアン・クロー/The Iron Craw』は2023年12月22日に海外で公開され、IMDbで8.1/10、メタスコア73点と高評価を受けています。
どのような点が評価が高く、どこが悪かったのかを海外のレビューを紹介していきます。
IMDb 8.1/10
9/10
2023年ベスト映画のひとつ。ザック・エフロン、世代別最優秀主演男優賞。20世紀のアメリカのサクセスストーリーと時代を超えたアメリカの悲劇を同居させた作品。
これは史上最高のプロレス映画だ。確かに、これまで作られた中で最も偉大な真のプロレスの物語だ。
これは史上最高のスポーツ映画の1つだ。
しかし、映画『アイアン・クロー/The Iron Craw』が劇場であなたに与える絶対的な衝撃を吸収するためには、プロレスについて、またこの有名なプロレス一家について何も知る必要はない。
これは、1年ほど前の素晴らしいエルビスの映画と同じ重みがある。
この映画はまた、インターネットやソーシャルメディアが普及する前の、あの素晴らしく素晴らしい時代を見事にとらえている。
力強さ、持久力、身体的な運動能力の本当の偉業は、実際に自分の目で見るか、どこかの小さなスクリーンで見るしかなかった。
伝説は、この国の小さなアリーナや体育館のリングの中で作られた。そして彼らの姿は、地元のドラッグストアや食料品店の棚を覆う雑誌の紙面に貼り付けられた。
そしてそれは、今日携帯電話で見ることができるものと同じくらいの影響力を持っていた。
これは信じがたい、信じられない話だ。
誰もがフォン・エリック夫妻を知るべきだ。
これを観れば、きっとそうなる。
8/10
感情を揺さぶる映画
映画『アイアン・クロー/The Iron Craw』は信じがたいが、破壊的だ。感情を揺さぶる映画で、しばらく私の心に残るだろう。
この映画は、フォン・エリック一家の悲劇的な物語を最大限の敬意をもって掘り下げており、私はプロレスについてほとんど何も知らないが、この映画は私を破壊した。今年の映画で最も感動的で、深遠で、正直な家族の描写かもしれない。
ショーン・ダーキンは、底知れぬ悲劇的なストーリーを、必要な優しさをもって伝えている。ザック・エフロンは、ケビン・フォン・エリック役で実に感動的で胸を打つ演技を見せている。
彼はこれまでで最も肉体的にも感情的にも過酷な演技を披露し、完璧なキャストのアンサンブルに支えられ、ショーン・ダーキン監督とともに、映画史上最高のプロレス描写に挑んでいる。アイアン・クロー』は、兄弟愛、愛、痛み、期待、えこひいき、そして遺産をめぐる悲劇的な物語を描き、胸を締め付けられると同時に美しい。スクリーンで描かれる悲劇に心を痛めながらも、登場人物たちが分かち合う兄弟愛に信じられないほど感動した。
8/10
プロレスのファンであろうとなかろうと、この悲しい、しかし素晴らしい映画を気に入るだろう。
ザック・エフロンは映画『アイアン・クロー/The Iron Craw』の主役として素晴らしい仕事をしている。彼の家族を演じた共演者たちも素晴らしい仕事をしている。ザック・エフロンをはじめ、主要な登場人物のほとんどに素晴らしいアークがあり、多くの展開がある。スクリーンでの相性もとてもいい。
ストーリー的にはとてもいい話だが、同時にとても悲しい。アスリート一家の本当に素晴らしい物語を元にしているという利点もある。台詞はとてもよく書けている。物語はとてもスムーズに進む。
演出も良かった。A24の映画に関しては、良いプロダクションバリューを期待するようになった。撮影は通常のA24作品ほどクレイジーでもユニークでもないが、それでも良い仕事をしている。
全体的に、時間とお金をかける価値はある。
10/10
映画『アイアン・クロー/The Iron Craw』は、本当に素晴らしい。
この映画が実話に基づいていることは知っていたし、この映画に入る前に予告編を1本観た。プロレスファンではないので、この映画を見る前にフォン・エリック家について何も調べませんでした。
この映画はあまりにも悲劇的で、実話に基づいているという事実に驚かされた。まるでギリシャ悲劇かスティーブン・キングの小説のようだ。残念ながら、そのどちらでもない。これは、自分の失敗した夢を息子たちそれぞれに押し付けた強迫観念的で無感情な男の物語であり……それが引き起こした大惨事の物語なのだ。
映画『アイアン・クロー/The Iron Craw』について語る人は皆、ザック・エフロンとジェレミー・アレン・ホワイトの演技の素晴らしさを絶賛するが(誤解を恐れずに言えば、彼らはフェノメナルだ)、私は特にハリス・ディキンソンがデヴィッド・ヴォン・エリックを演じたことに圧倒された。
映画『アイアン・クロー/The Iron Craw』は、来年のアカデミー賞に2、3回ノミネートされるには十分すぎる出来だ・・・が、最近発表された候補作と強力な競争相手を見る限り、ノミネートされることはないだろう。
10/10
ソリッド10
ザックのケビンに対する描写がどれだけ正確か、言葉では言い表せない。私は80年代前半の兄弟を知っている。これは、彼らの人生の高低差を余すところなく伝える、胸を締め付けられるような物語だ。
演技はニュアンスがあり、思いがけない深みがある。これは気分のいい映画ではない。エンディングは実は始まりであり、それは美しい。パムを演じたリリー・ジェームズは素晴らしく魅惑的で、ザックの演技にはただただ畏敬の念を禁じ得ない。彼はオスカーに値する。
ただ、この物語は限りなくドキュメンタリーに近い。様々な対戦の実際の映像が見られて美しかった。これを作ってくれてありがとう。
メタスコア 73/100
まとめと感想
痛く、悲しく、切ない。
ラストで拳銃自殺したケリーが穏やかな死後の世界で先だった兄弟たちと合流するシーンは涙が溢れ、残されたケビンももう兄弟はないないと泣くシーン、子供達の言葉、涙腺が崩壊とはこのことだ。
全体的には面白いし興奮したし感動させてくれた良作。
プロレスシーンはリアルで大迫力だった。しかし、リアルすぎてこちらも痛みを感じてしまうレベルの演技力とカメラワークのせいで正直いうと怖い。最近ちょっと怖い目にあったから尚更怖いと感じてしまったかも。
結局のところ、愛して尊敬している父フリッツの望むがままに頑張った結果、皆死んでしまったことにイラつくも、その分支え合おうとした兄弟愛が光り輝き、最後は感動させてくれたため、きっと監督の思惑通りに私は感動させられたのだろう。
脚本はシンプルで分かりやすい、ただしプロレスファンじゃないとNWA?なんだそれ?とか、80年代当時とんでもなく盛り上がっていたプロレス事情を知らないと、家族たちがなんでそんなにベルトにこだわっていたのかなどが少し薄味になるのかな?と感じた。
映画では、幼少期に死んでしまった長男ジャックと、ケビン、デヴィッド、ケリー、マイクの5兄弟として描かれているが、実際には6人目の末っ子クリスがいたが物語の都合上彼の存在はカットされている。ちなみにクリスも兄弟と同じくプロレスラーとして兄ケビンとタッグを組んだりと活躍していたが、21歳の若さでピストル自殺している…。ということを知るともはやフリッツ一家の呪いがホラーっぽくなるため割愛したのだろうか。
6人中4人自殺1人病死ってすげぇ事実は小説よりも奇なりってこのことか。
調べると面白いのでよかったらWikiとか読んでみては?
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓