映画『Firebird ファイアバード』作品情報
- タイトル: Firebird ファイアバード
- 監督: ピーター・レベイン
- 公開年: 2021年
- 上映時間: 107分
- ジャンル: 歴史・ロマンス・ドラマ
- 制作国: イギリス、エストニア
- 主なキャスト: トム・プライアー(セルゲイ役)、オレグ・ザゴロドニー(ロマン役)、ダイアナ・ポジャルスカヤ(ルイーサ役)
映画の特徴や評価
- メタスコア: 49/100(混在または平均的なレビュー)
- 興行収入: 約238,487ドル(約2,600万円)
- 評価: ソビエト時代の愛の物語を扱ったロマンチックなドラマ。強い感情的なパフォーマンスと美しい映像が特徴。
受賞歴
- FilmOut San Diego LGBT Film Festival: 最優秀男優賞(トム・プライアー)、最優秀ナラティブフィーチャー
- Frameline San Francisco International LGBTQ Film Festival: 最優秀ファーストフィーチャー(名誉賞)
原作情報
- 原作タイトル: セルゲイ・フェティソフの自叙伝「The Story of Roman」
- 原作著者: セルゲイ・フェティソフ
- 特記事項: ピーター・レベインとトム・プライアーが共同で脚本を手掛け、原作との対話を重視している。
ストーリーあらすじ
1970年代のソビエト連邦下、エストニアの空軍基地で展開する、禁断の愛を描く。若き兵士セルゲイと戦闘機パイロットのロマンの間で芽生える深い愛情と、その恋愛が直面する困難と秘密が描かれている。
主要キャラクター紹介
- セルゲイ・セレブレニコフ: トム・プライアー演じる、若くて情熱的な兵士。演劇への情熱を持ち、強い愛情と葛藤を内に秘めている。
- ロマン・マトヴェイエフ: オレグ・ザゴロドニー演じる、カリスマ的な戦闘機パイロット。セルゲイとの愛情に苦悩しながらも、その感情を隠すことに努める。
- ルイーサ: ダイアナ・ポジャルスカヤ演じる、物語の鍵を握る女性。ロマンの妻であり、彼女自身も複雑な感情を抱えている。
ピーター・レベイン監督の紹介
ピーター・レベインは、エストニア出身の映画監督、プロデューサー、そして起業家です。彼はオックスフォード大学とハーバード大学で学び、経済学、心理学、視覚芸術を専攻しました。彼の監督作品には、開発中の「Sailing to Freedom」、ドキュメンタリー「Tashi Delek」(2015年)、そして彼の長編監督デビュー作である「Firebird」(2021年)が含まれます。
彼の作品は、情熱的なテーマと美しい映像表現で知られています。特に「Firebird」は、ソビエト時代の愛の物語を描き、世界中で高い評価を受けました。この映画は、FilmOut San Diego LGBT Film FestivalやFrameline San Francisco International LGBTQ Film Festivalで賞を受賞しており、その感動的な物語と優れた演出が評価されています。
レベイン監督は、彼の映画で歴史的な背景や社会問題を繊細に描き出し、観客に深い印象を与える作品を生み出しています。彼の映画は、ただのエンターテイメントに留まらず、時代や文化の枠を超えて共感を呼び起こす力を持っています。
主演トム・プライヤーの紹介
トム・プライヤーは、英国出身の俳優、プロデューサー、脚本家です。彼は王立演劇学校(RADA)を卒業後、映画と舞台で活躍しています。彼の代表作には「The Theory of Everything」(2014年)や「Kingsman: The Secret Service」(2014年)がありますが、最も注目されているのは「Firebird」(2021年)での役割です。
「Firebird」では、主人公セルゲイ・セレブレニコフを演じ、共同脚本および共同プロデューサーも務めました。この作品では、彼の繊細で情熱的な演技が高く評価され、FilmOut San Diego LGBT Film Festivalで最優秀男優賞を受賞しました。
プライヤーの演技は、彼の深い人間理解と感情の豊かさに基づいており、彼のキャラクターにリアリティと複雑さを与えています。彼は、あらゆる感情を細やかに表現し、観客をその物語に深く引き込む能力を持っています。プライヤーは、今後も映画業界でその才能を発揮し続けることでしょう。
海外の感想評価(ネタバレなし)
- 10/10: ロマンの最終的な運命について深く掘り下げられた詳細な分析が示されている。
- 8/10: 東ヨーロッパ出身のLGBTQ+コミュニティの実体験に基づくストーリーに対して、親しみやすく、共感を呼ぶ評価。
- 10/10: 映画の感動的な描写と演技が評価され、Outfestでの体験が共有されている。
- 7/10: 映画の伝統的な構造と予測可能な展開についての評価。俳優たちの魅力も評価されている。
- 7/10: ソビエト時代の同性愛に関する洞察に対する評価。映画の実直なスタイルが評価されている。
タイトルの意味や象徴
「Firebird」(ファイアバード)は、ストラヴィンスキーの同名バレエ作品にちなんでおり、主人公たちの情熱的で禁じられた愛を象徴しています。ソビエト時代の厳しい環境の中で、彼らの愛は不朽の美しさと悲劇を象徴しています。
メタディスクリプション
『Firebird ファイアバード』は、ピーター・レベイン監督とトム・プライヤー主演の映画で、ソビエト時代の同性愛を描いた作品。海外の評価は混在しており、感動的な物語と演技が評価されています。監督と主演俳優による深い洞察と情熱的な演出が見どころ。映画のあらすじ、海外評価、レビュー、興行収入を紹介します。
映画『Firebird/ファイアバード』物語ネタバレ
二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)の兵役は残り数週間、帰省して農場で働くつもりでいる。彼と彼の友人たちは、軍司令官たちの厳しい管理下で歯がゆい思いをしているが、夜になると兵舎を抜け出しては地元の女の子たちと遊び、程よく息抜きをしながら、怒られない程度に趣味の写真撮影をするなど上手に過ごしている。
ローマンとの愛
彼は新たに赴任してきた戦闘機パイロット、ローマン(オレグ・ザゴロドニイ)を補佐することになり世話をしていくうち、互いに写真が趣味で文学や音楽の好みが似ていることが分かり二人は徐々に惹かれあっていく。ある日、セルゲイがバレエを見たことがないと知ったローマンは、セルゲイを”Firebird”のコンサートに連れて行き、セルゲイは初めてのバレエに感動し演技に興味を持つようになる。そして森の中で話をしている最中、諜報員から隠れて息を潜めているうち、二人は熱烈なキスをして互いの愛を確かめ合う。
しかし、ソビエト政権支配下の時代、同性愛の恋愛が発覚すると投獄の危機がつきまとうが、ふたりの間には否定できない情熱が芽生える。しかし、ローマンは基地司令官秘書のルイサ(ディアナ・ポジャルスカヤ)とロマンスが芽生えているように周囲に見せ、セルゲイはヤキモキしながら過ごす。それでもローマンは一目を盗んでセルゲイに会いに来てくれる。そして一緒に海に行くなど人目を忍びロマンスを育むのだった。
しかし、ある日匿名の密告によって、二人が同性愛に興じていると上官に怪しまれ、二人は少しだけ距離をおくことになる。それでも、ローマンは任期が終わるセルゲイに、退役したら実家の農場に戻るのではなく、モスクワで演技の勉強をするよう勧め、二人は別れる。それから一年後、セルゲイは退役したあと、言われたとおり劇場で新たな生活を始めていた。様々な刺激がセルゲイを成長させたのか、彼の表情は明るく充実した日々を過ごしているのが分かる。
ある日、秘書のルイサに呼ばれ、ローマンとルイサの結婚式に招待される。彼は出席し、ローマンに”嘘も長く続ければ真実になるのか?”と伝えるが、ローマンは目を伏せるだけだった。セルゲイはそんなローマンへの失望と、彼への変わらぬ愛を持ちながら、堪えて身を引くのだった。
エンディングネタバレ「彼は誰と火の鳥を見るのか」
4年後、
ローマンとルイサの間に子供が生まれるが、所詮見せかけのもので徐々に破綻していた。ローマンはセルゲイへの愛を忘れることができず、モスクワに留学すると妻と息子を残してセルゲイに会いに行く。セルゲイはそんなローマンの態度に怒るが、愛が勝りローマンとセルゲイはアパートを借りて秘密だが、とても幸せな同棲暮らしを始める。
しかし、ルイサと息子がクリスマスにモスクワを訪れ、四人でクリスマスを過ごすが、セルゲイは家族と仲良く過ごすローマンの姿を見て、この愛は絶対に報われないのだと悟る。結局二人のことはルイスにバレてしまい二人は別れる。
その後、ローマンがアフガンで戦死したことを知ったセルゲイは、ルイサのもとをを訪ねる。もちろんルイサはまだ彼に強い怒りを抱いていたが、最終的にともに同じ人を愛した仲間として互いに和解する。
セルゲイはイーゴリ・ストラヴィンスキーのバレエ『火の鳥』を鑑賞しながら、あの日ローマンと一緒に見たあの瞬間を思い出しながら微笑むのだった。
映画『Firebird ファイアバード』海外の感想評価まとめ
映画『Firebird ファイアバード』は、ソビエト時代の背景に禁断の愛を描いた歴史的なロマンス映画です。ここでは、IMDbとメタスコアのユーザーレビューを紹介していきます。映画に対する視聴者の生の声を通して、映画の受けた肯定的または否定的な評価の傾向を見ていきましょう。
IMDbの評価 6.3/10 「美しく悲しい」
『Firebird ファイアバード』は、愛と自由の探求を描いた映画で、IMDbでは様々な感想が寄せられています。ここでは、その中から特に印象的なレビューをいくつかピックアップして紹介します。
- 「心を揺さぶる愛の物語」(スコア:10/10): このレビューでは、映画の情熱的で美しい映像と、主演俳優たちの素晴らしい演技に高い評価が与えられています。レビュアーは、映画が描く愛の物語に深く感動したと述べています。
- 「予想を超えた素晴らしさ」(スコア:9/10): このレビュアーは、映画の歴史的背景と同性愛のテーマを高く評価しています。また、主演俳優の演技と映画のメッセージに感銘を受けたと述べています。
- 「感動的だが予測可能」(スコア:7/10): このレビュアーは、映画の物語が感動的であると評価しつつ、プロットがやや予測可能であると指摘しています。
- 「美しく、しかし悲しい」(スコア:8/10): こちらのレビュアーは、映画のビジュアルと物語の美しさを賞賛していますが、物語の結末が悲しすぎると感じたようです。
- 「深い洞察と情熱」(スコア:10/10): このレビュアーは、映画が示す深い洞察と情熱に感動し、特に俳優の演技と映画のメッセージに心を打たれたと述べています。
メタスコアの感想評価 49点
映画『Firebird ファイアバード』は、メタスコアで総合評価49点を獲得し、批評家からさまざまな評価を受けています。ここでは、その中からいくつかのレビューをピックアップして紹介します。
- RogerEbert.com (点数: 75): 映画は抑圧されたキャラクターに焦点を当てた苦い愛の物語と評され、失われた自由のテーマが強調されています。
- Los Angeles Times (点数: 70): 映画は強力な、時にメロドラマ的な禁じられた愛と欲望を見事に描いているとの評価があります。
- IndieWire (点数: 67): 主演俳優たちの魅力と彼らのロマンスに魅了されるが、歴史的正確性は二の次という評価です。
- The A.V. Club (点数: 50): 主演俳優たちは魅力的だが、映画はメロドラマ的な脚本が足を引っ張っているとの評価があります。
- The New York Times (点数: 40): 映画は予定調和的で、リスクの感じられない愛の物語だと批評されています。
まとめと感想
シンプルで美しく、儚く、悲しい。
映画『Firebird ファイアバード』は、1970年代のソビエト連邦時代を背景にした禁じられた恋愛を描いた作品である。この映画は、特にロマンチックな感情と悲劇的な要素を巧みに組み合わせ、観客の心を動かす強い印象を残す。
感じ取ったのは、恋愛の自由と抑圧された社会の中での人間の葛藤である。特に、主演のトム・プライヤーとオレグ・ザゴロドニイの間の化学反応は、その感情の強さと純粋さを際立たせている。彼らの演技は、映画の強烈な感情的な核となっている。
映画の素晴らしい点としては、その映像美と、細部にわたる時代の再現が挙げられる。映像は、鮮やかで感動的な風景を捉え、ソビエト連邦の空気感をリアルに伝える。しかし、物語の進行においては、ある程度予測可能な展開や、一部のキャラクターの表現が平板である点が物足りなさを感じさせる。でもそれだけだ、この美しい青年二人が美しい景色の中、人目を忍び激しく愛し合う瞬間は、視聴者の緊張感を高めながらも深い愛情にうっとりとしてしまう優しさと愛欲に身悶えさせる。音楽も素晴らしい。この映画は美しく嬉しく素晴らしいのだ。
この映画は、特にLGBTQ+の歴史や社会の抑圧に関心のある観客にとっては、非常に重要な作品である。それは、愛と自由のための闘いを描いた、心に残る物語であり、その感情的な深さと美しい映像で観客を魅了する。
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