「ユーモラスなゲイコメディミステリー」世界が絶賛した映画『Rotting in the Sun』物語エンディングまでネタバレと海外の感想評価を紹介します。売れない自殺願望のあるゲイの作家がゲイのインフルエンサーと共同執筆することになるが、家政婦のベロが彼をうっかり押してしまい落下死してしまう。しかし彼女は通報せず隠蔽したため物語は一気に深みにハマり…
もくじ
映画『Rotting in the Sun』基本情報
2023年に公開されたアメリカのコメディスリラー映画『Rotting in the Sun』は、セバスチャン・シルバ監督とペドロ・ペイラノの共同脚本による作品です。独自のストーリー展開と魅力的なキャラクターが織り成すこの映画は、観客を引き込む力があります。映画の中心には、自殺を考える映画製作者、ソーシャルメディアインフルエンサー、そして彼らを取り巻く人々の複雑な関係が描かれています。
映画の基本情報:
- タイトル: Rotting in the Sun
- ジャンル: コメディスリラー
- 上映時間: 109分
- 監督: セバスチャン・シルバ
- 主要キャスト: ジョーダン・ファーストマン、セバスチャン・シルバ、カタリナ・サアヴェドラ
映画のあらすじ:
セバスチャン・シルバは、ケタミン中毒のアーティスト兼映画製作者として描かれており、自殺を考えるようになります。彼の友人であり家主のマテオは、セバスチャンの自殺を冗談にしています。セバスチャンはゲイのビーチリゾートに旅行し、アメリカのソーシャルメディアインフルエンサー、ジョーダン・ファーストマンと出会います。ジョーダンは、セバスチャンとの出会いが運命であり、共同でテレビプロジェクトを進めるべきだと主張します。しかし、セバスチャンはジョーダンの提案を断ります。その後の出来事や人間関係の複雑さが、映画の中心的なテーマとして展開されます。
スタッフ:
- 監督: セバスチャン・シルバ
- 脚本: セバスチャン・シルバ、ペドロ・ペイラノ
- 製作: ジェイコブ・ワッサーマン
- 撮影: ガブリエル・ディアス・アジェンデ
- 編集: ガブリエル・ディアス・アジェンデ、ソフィア・スベルカセオークス、サンティアゴ・センデハス
- 音楽: ナスクイ・リナレス
キャスト:
- ジョーダン・ファーストマン: ジョーダン・ファーストマン役
- セバスチャン・シルバ: セバスチャン・シルバ役
- カタリナ・サアヴェドラ: セニョーラ・ヴェロニカ “ヴェロ”役
- マテオ・リエストラ: マテオ役
- フアン・アンドレス・シルバ: フアン役
- グスタボ・メルガレホ: ラロ役
監督のプロフィール:
セバスチャン・シルバは、多くの映画で監督としての実績を持つ映画製作者です。彼の過去の作品には、『Life Kills Me』や『The Maid』などがあります。彼の作品は、独自の視点と深い人間ドラマが魅力とされています。
キャストのプロフィール:
ジョーダン・ファーストマンは、ソーシャルメディアインフルエンサーとしての実績を持つアメリカの俳優です。彼の演技は、多くのファンから支持を受けています。
ネタバレなし評価
『Rotting in the Sun』は、Rotten Tomatoesで85%の高評価を受けており、平均評価は7/10です。映画の魅力として、その大胆な野心と感染力のあるエネルギーが挙げられています。
公開情報:
- 日本での公開日: 情報なし
- 上映劇場: 情報なし
- 海外では2023年9月15日にMubiでのストリーミング配信開始
映画『Rotting in the Sun』物語ネタバレ
鬱病でケタミン中毒、芸術家で映画監督のセバスチャン・シルヴァ(セバスチャン・シルバ(監督兼主演))は、ペントバルビタールナトリウム(鎮静鎮痛剤、睡眠導入剤)を飲んで自殺することに興味を持っています。犬の散歩後部屋でケタミンを吸引して飛んで眠っているとアパートの大家で友人のマテオ(マテオ・リエストラ)が現れ自殺について幾つか話をした後、家政婦ベロ(カタリナ・サーヴェドラ)がマテオが自分をのクビにするのではないかと相談するがセバスチャンは外に出ます。
ゲイのヌーディストビーチ
セバスチャンはゲイの集まるヌーディストビーチ・リゾートに出かけ本を読み海水浴を楽しんでいると、突然の離岸流に巻き込まれ溺れかけてしまいます。間一髪ライフセーバーに助けてもらったセバスチャンは周囲の注目を浴びてしまい、彼に注目した下品でよく喋るアメリカ人ソーシャルメディア・インフルエンサー、ジョーダン・ファーストマン(ジョーダン・ファーストマン(本人、もちろん全裸で登場))に出会う。ジョーダンは、2人の出会いは自分の企画したテレビ業界で一緒に仕事をするサインだとジョーダンを仕事のパートナー、ついでに肉体関係を迫りますが、セバスチャンは断りその場を後にします。(セバスチャンが立ち去った後、ジョーダンは速攻別の若者を捕まえてセック○を始めます)
帰宅したセバスチャンはHBOに自身の企画の営業をしますが反応が薄かったため、ジョーダンの脚本を紹介したところ高評価だったため、セバスチャンはジョーダンと連絡を取り、一緒に仕事をするために一緒に住んで共同執筆することに同意します。
転落死
セバスチャンと家政婦のベロは、一緒に住むことになったジョーダンのために重いソファを運んでいる最中、ジョーダンからの電話に気を取られたセバスチャンはベロにソファごと突き落とされる形で屋上から転落死してしまいます。
ベロは一階に降りてセバスチャンの遺体を見て取り乱し、ジョーダンやマテオからの電話をとって嘘を伝えて電話を切ると、現状を受け入れられないまま姪の結婚式に向かいます。パーティー会場で家族のラロ(グスタボ・メルガレホ)に何があったのか打ち明けるとラロはベロのために遺体を防水シートに包んで倉庫に隠します。
翌日、ジョーダンとマテオがセバスチャンの家を訪れるが行方は誰も知りません。ベロはセバスチャンの行方を聞かれても私は知らないと答えるだけでした。マテオはセバスチャンと知り合い意気投合します。その後ジョーダンはSNSでセバスチャンと恋に落ちたこと、彼と一緒に行うプロジェクトについてなどを投稿を始め注目を浴び始めます。
妻子を持ちながらゲイでもあるジョーダンはゲイ仲間を呼び集めて乱行パーティを始めたため、ベロとラロは屋上に遺体を隠します。
セバスチャンの行方
それでも帰ってこないジョーダンとマテオはセバスチャン部屋を訪れ彼の日記を読みます。日記の中にはジョーダンは自殺願望、ペントバルビタールと大きく描かれた絵を見てマテオはあの時ペントバルビタールで死にたがっていたセバスチャンに冗談で勧めてしまったことを思い出して自分のせいで自殺してしまったのではないかと心配します。
盗み聞きをしていたべペントバルビタールの自殺を考えていたことを知ったベロはそれを聞いてペントバルビタールを入手し、空き箱をセバスチャンの部屋のゴミ箱にいれる工作をします。
ジョーダンはセバスチャンと出会えない寂しさからセバスチャンの日記を読見ますが、自殺願望だけではなく、ジョーダンと出会った時の嫌悪感など痛烈な批判を書いているのを読んで心を痛めます。
マテオは自分の冗談が原因で彼を自殺の後押しをしてしまったと考え、セバスチャンの携帯電話と日記を盗みますが、ベロはその瞬間を目撃してしまいました。その後、ジョーダンの前でストレスと罪悪感に押しつぶされたベロはジョーダンの前で泣き出し、ジョーダンはベロを慰めますが、彼女がなぜ泣いているのかは理解することはできません。
エンディングネタバレ
ジョーダンの書き込みを見たセバスチャンの兄フアン(フアン・アンドレアス・シルバ)がセバスチャンの家を訪れジョーダンと意気投合し、屋上でケタミン摂取してフワフワを楽しんだ後、セバスチャンの姿を重ねたジョーダンは思わず眠っているフアンにキスをしてしまい、ノーマルのフアンは驚いてジョーダンを跳ね除けて別々の場所に向かう。翌日、セバスチャンの行方不明捜査に訪れた警察官たちは、セバスチャンのケタミンとペントバルビタールの箱、そのほか麻薬接種の痕跡などを発見し、彼は行方不明ではなく自殺の可能性が高いと結論づけます。
さらに、セバスチャンの日記と携帯電話をマテオが持ち出したことで警察の疑念が深まり、他にもこのアパートは違法建築の可能性も指摘されマテオは警察官と言い争います。やり取りを聞いていたフアンは弟の死が確定したかのように思えて膝から崩れ落ち、ジョーダン荷物をまとめて帰国してしまいます。マテオはそもそも警察の麻薬捜査に協力したベロの対応に怒りその場でベロを解雇します。
向かいの公園で、ジョーダンはスマホの翻訳アプリを使って、ベロにマテオに何かを知っているかと尋ねると、ベロは翻訳アプリに向かってに向かって真実をすべて告白しますが、アプリは彼女の告白をうまく翻訳できず、ジョーダンは混乱したまま、ベロはペントバルビタールの瓶を手にして立ち去ります。
海外の感想評価 IMDb 7.0/10
7/10
ワイルドでワイルドなライド
悩み多き失踪の手がかりが徐々に浮かび上がるユーモラスなゲイ・コメディ・ミステリーが展開する。
しかし同時に、この物語は驚くほど成熟した洞察に満ちたテーマにも踏み込んでおり、この映画のスクリューボールな語り口や少々マニアックな序幕とは非常に対照的な展開となっている。このように、脚本家シルヴァ監督の最新作は、同じ作品に属するはずがないと思われるようなプロットの要素が、驚くほどうまく組み合わさった、興味深い組み合わせを観客に提示する。
結末がやや唐突で、(特に最初の30分)少し長すぎる部分もあり、完全に省略できた部分もいくつかあるのは事実だが、それでも素材の大半はうまくまとまっており、ややオフビートではあるものの娯楽映画として楽しめる。
しかし、この映画にはゲイの男性のセクシュアリティを露骨に描写するシーンが多数あるため、敏感な観客には強く注意されたい。しかし、そのようなことはさておき、この映画は、特に物語に入り込めば入り込むほど、表面的な印象以上のものを見せてくれる。
多くの人が馴染みのない世界観に目を見張るが、同時に笑わせ、考えさせる作品でもある。
9/10
さわやか
主人公が2人いる映画で、予想外の展開と突然の主役交代の早さは予想外だった。感動した。リアリティがあり、非常に論理的なストーリー展開。そしてそれは、あの悲惨な苦境に陥った人なら誰しもがとるであろう、罪のある人物の行動そのものでもある。
女性ヘルパーの演技は実に見事で、彼女の本質とは一体何なのか、多くの相反する不穏な雰囲気を醸し出していた。世間知らずで知的に鈍いように見えるが、自分の無謀な悪行を帳消しにするために共犯者を本能的に求める姿は、彼女の暗い本性を裏付けている。
今回も、ただ忘却の彼方へ消えていくだけならまだしも、真実の降伏という予想外の結末が待っていた。素晴らしいショーだった。
8/10
毒なのか
この映画を観るのが大好きになった。見ていて辛い部分もあったが、全体的には現代アート映画の最高傑作だと思う。
このストーリーを思いついた監督のアイデアはとても面白かった。クィア・コミュニティのムードボードのようでもあり、外国における地元民と旅行者の違いについても描かれている。
映画の半分も観ないうちに、まさかこんな展開になるとは思わなかった。ヴェロのキャラクターはバカバカしいけど、素晴らしい。ジョーダンはジョーダンで、見ているだけで楽しい。彼が言ったように、彼は幸せなピエロなんだ!
チンコのショット、ヒッチコックのミステリー、ドラッグの使用など、この映画はとても独創的で、予算や素材が多くなくても、観客の目を引き、考えさせる映画を作ることができるということを示している。
セバスチャンとジョーダンのプロジェクトがもっと必要だ!」!
まとめと感想「くっそ面白い」
全体的によくまとまっており一瞬たりとも気を抜けないゲイミステリー映画で楽しめた。
冒頭からいきなりゲイのヌーディストビーチで全裸で巨大なコックをぶら下げた人たちから次々にお誘いを受ける主人公、挨拶がわりの握手は手ではなくコックだったり、とにかくトイレでおしっこするぐらいの気軽さで握手の代わりに出したり入れたり入れられたりする性に開放的なゲイたちの意外な文化を楽しめたり・・・違う違う、とにかく色々な意味で赤裸々な描写が大画面で襲ってくるのでとにかく食い気味でスクリーンを見つめることに成功させている。
中盤もしっかり乱行パーティ始まったり見せつけてくれるが、ミステリーもしっかり描かれているので緊張感もあって程よく面白くて最後まで一気に楽しめた。
セバスチャンをうっかり落下死させてしまったベロは素直に話せば事故で終わるのに、慌てて隠してしまったもんだから問題が雪だるま式に増えていき、セバスチャンが事前に出会ったジョーダンが家に来ることになりもちろんセバスチャンの行方を探し始めるもなぜか乱行パーティが始まって三人が重なったりしゃぶったりしゃぶられたりするシーンから朝から盛っていたり、普通に親友のマテオが探し回っている間もシラを切り続け嘘に嘘を重ね最後は逃げ切った結構腹黒い女ベロ。
最後の最後はなんとなく、ベロの独白が気持ち悪くも気持ちよくも複雑な感じでまとまりが悪い気がしたが、まぁいいでしょ、これは面白い。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓