「こんな映画を待っていた」世界が感動した映画『Jules』物語エンディングまでネタバレと海外の感想評価を紹介。孤独な老人の裏庭に墜落したUFOから現れたのは小柄な宇宙人。そこに隣人のおせっかいおばさんたちが合流することで不思議なことが起き始め…純粋に心を温めてくれる素敵な映画です。
映画『Jules(2023)』物語ネタバレ
一人暮らしの79歳のミルトン・ロビンソン(ベン・キングズレー)は娘の支援を受けながら穏やかに暮らし、市議会(町内会みたいなの)に頻繁に出席しています。ある日、強烈な光と爆音で目を覚ましたミルトンが家の裏庭に向かうとUFOが不時着しているのを目撃し、みたままを911に連絡しますが痴呆老人と勘違いされてしまい電話を切られてしまいます。一応そのまま無視して眠ったミルトンは普通に1日を過ごした後、その日の夜、再び裏庭から物音がしたので様子を見にいくと、UFOの横で小さな人型の宇宙人が倒れていました。が、ミルトンは再び見て見ぬ振りをするといつも通り市議会に出席します。
さらにその日の夜、ふと思い立ち庭の宇宙人を見にいくと宇宙人は目を覚ましてミルトンを見上げた後、再び気を失います。その様子を見たミルトンは気を失った宇宙人にプランケットをかけてその日は眠りにつきます。
翌朝、裏庭を見にいくと宇宙人はプランケットにくるまって眠っていました。ミルトンは宇宙人を起こすと家に招き入れ、とりあえずリンゴ、水、サンドイッチ、パスタを与え、彼はリンゴが好物と分かったミルトンはスーパーに向かい大量のりんごを買います。
ミルトンはスーパーから帰宅した後、宇宙人がいることを忘れて普通に過ごしてしまいます。テレビを見ている最中に横で宇宙人が立ち尽くしているのを見て驚きますが、自分が忘れていたことを謝り、彼を客人として家の中を案内します。言語を理解しているのかは不明ですが宇宙人はミルトンが教えることに大人しく耳を傾けています。その頃娘が父親がスーパーでりんごを大量に購入した話を店員から聞いて父は痴呆症かもと心配を始めていました。
ミルトンの家に立ち寄った知人のサンディ(ハリエット・サンソム・ハリス)はリビングでくつろぐ宇宙人を見てひとしきり驚くという、やっと普通の反応をした後、安全のために秘密にしておくべきだとミルトンに注意して立ち去ります。その頃ホワイトハウスの地下の秘密組織が宇宙船の落下位置を予想してミルトンのいる街を調査し始めます。
ある日、宇宙人はジュールズに猫のイラストを描いた紙をミルトンに渡した後、壊れた船の修理を始めます。ミルトンの娘が父の最近の言動を不審に思い認知症鑑定を行うと、確かにミルトンの認知能力が少し失われていることが判明します。娘はヘルパーをつけてはどうかと提案しますが、その言葉にイラついたミルトンは施設を飛び出します。ミルトンの家に出入りするようになった優しいおばちゃんサンディは宇宙人とのコミュニケーションを恐れず話を続け仲良くなっていき、Tシャツをプレゼントしますが胸には”私はレズビアンではありませんが、彼女がレズビアンです”というジョークが書かれていました。
次の日の夜、サンディとミルトンの共通の友人でおせっかいおばさんのジョイス(ジェーン・カーティン)が合流して宇宙人にジュールズと名付けて交流を始めますが、意思表示をしないジュールズは紙に7匹の猫のイラストを描き続けるだけで何を求めているのかは不明のままです。
政府が宇宙人捜索のためこの街に現れますが、ミルトンたち以外は宇宙船のことを知らないため調査は思うように進みません。
その頃、地域の若者と交流するプログラムを始めたサンディは、若い青年を家に招き入れますが、彼は強盗でトイレに行くふりをして宝石を盗もうとしているのを目撃してしまい強盗に襲われます。ジョイスとミルトンと一緒にいた宇宙人のジュールズは、サンディが自宅で襲われている姿が頭に思い浮かび、じっと何かを見つめた後、その青年の頭を吹き飛ばして殺害します。助かったサンディは警察にありのままを伝えますが誰にも信じられないまま釈放されますが、彼女はジュールズが助けてくれたのだと分かっていたため、そのあしでミルトンの家を訪ねるとまっすぐジュールズに会いに行き抱きしめ涙を流すのでした。
エンディングネタバレ「猫」
ある日、ミルトン、サンディ、ジョイスは、ジュールズが船の動力源として死んだ猫を必要としていることを知ります。するとジュールズは新たなイラストを描きますが、そこには猫が6匹に減っていることから、ジュールズが求めていることが判明して三人は行動を開始します。
早速ミルトンは動物病院で働く娘に電話して猫の死体を欲しがってしまったのでより一層怪しまれてしまったため、ミルトンたちは自力で猫の死体を探すことにしますがいるのはアライグマの死体ばかりです。その車の背後をずっと政府が尾行していることを三人走る由もありませんでした。しかし探せばいるもので3匹の猫の死体を見つけた三人は次の日から猫の死体探しを始め残り一匹となります。
そこについに政府関係者がミルトンの家を訪れたことで焦った三人は、最後にジョイスの老猫の遺体を加えてついに7匹の猫の死体が集まりました。
ジュールズは猫の遺体を銀色の布に包むと巨大な宝石になりついに船が稼働し浮かび上がります。船に乗り込もうとしたジュールズに三人はそれぞれプレゼントを渡すと、ジュールズはUFO船内へ手招きして一緒に行こうと誘われますがミルトンは一度断ります。しかし娘からの電話の内容でミルトンは気が変わりジョイス、サンディを誘ってUFOに乗り込み、政府関係者が彼の家のドアを蹴破り途中してくると同時にUFOは飛び出します。
離れた場所に降ろしてもらった三人はジュールズに自分たちは地球に残ること、また会いに来て欲しいと伝えるとジュールズと別れます。
後日、ミルトンは家の庭にUFOが降りてくる光を見て優しく微笑みの物語は終了します。
海外の感想評価 IMDb 7.3/10
10/10
老いと地球外生命体と向き合う小さな町のシニアの、チャーミングで笑いを誘う甘い物語。
ソノマ国際映画祭でこの映画を観て、とても気に入った!ベン・キングズレー、ジェーン・カーテン、ハリエット・サンソンが、意味とつながりを求める小さな町の高齢者を見事に演じている。
観客は笑い、泣き、登場人物たちとのつながりを感じた。ロボットとフランク』や『リトル・ミス・サンシャイン』が好きなら、この映画は気に入るだろう。私はこの映画を何度も見るつもりだし、皆さんにもお勧めしたい!
9/10
天国からの贈り物
この小さな町では、高齢者が毎週集会に出席し、そこで不満や野心、そして最も切実に注目や仲間が必要なことを表現している。物語の中心にいるのは70代後半のミルトンだ。彼は物忘れがひどく、娘とのわずかな時間を口論に費やしている。彼はすでに息子を遠ざけている。
同じような境遇にある年配の若者たちもいる。ひとつはっきりしていることがある。彼らは孤独なのだ。
いつの間にか、観察力が鋭く、物静かで包容力のある特別な存在が現れ、彼らの生活は一変する。ジュールズと呼ばれる彼は決して言葉を発しないが、その目は理解しようと輝き、ある種の温かさを醸し出している。
政府の諜報員がやってきて、この状況を混乱させることはほぼ予想されている。ジュールズは捕まらないようにしなければならないし、彼の行動は誰も驚かせないが、3人の主人公のリアクションがこの物語を特別なものにしている。
確かに、大きなエフェクトはないが、私たちが宇宙とどれほどつながっているかを考えさせられるような、古典的な瞬間がたくさんある。
10/10
ジャンルの融合が楽しい
コメディ、ドラマ、SFを融合させることはすでに難しい注文だったが、ギャビン・スティクラーの脚本は、孤独、死、コミュニケーション、優しさの伝染といった普遍的なテーマを織り交ぜ、真摯さ、ウィット、ニュアンスに富んだ知性でそれらを考察している。
低予算であることは、基本的なカメラワークや安っぽく見えるVFXショットを見れば一目瞭然だ。しかし、実際のメイクアップ、セット、小道具でどれだけのことが実現されているかに唖然としたので、これは簡単に許せる。この小さなプロジェクトに多大な愛情と配慮が注ぎ込まれ、それが表れている。
これは私にインスピレーションを与えてくれる映画だ。感動させる映画に派手さは必要ない。私は笑った。泣いた。そしてクレジットが流れたとき、私はもっといい人間になりたいと切望した。映画の力は、たとえ小さなプロジェクトであっても輝きを放つ。
7/10
意外とチャーミング
微妙なユーモアがあって、とても気に入りました。なぜか劇場にいたのは私と40代以上と思われるおっさんたちだけで、みんなただただコメントしていたので、映画をより楽しむことができました。特にSF映画としてはミニマルな映画だった。私は『プロスペクト』をミニマリストSFと呼んだが、この映画を見て、私はそれを誤って表現したような気がした。もう何年も見ていない2011年の映画『ポール』の成熟した小さなバージョンのように感じた。
また、このジャンルで高齢者が自分の映画を持つのは少し素敵な感じがする(すでに1本以上作られていたとしても、私は見ていない)。また、ハリエット・サンソム・ハリスは『ハンドメイド物語』のリディアおばさんを思い出させ続け、私はそれを見るのを止められなかった。また、ミルトンが異星人の訪問者ではなく、自分の花にストレスを感じているという皮肉も好きだった。
もちろん、フィクション映画であることに変わりはないが、ストーリーに関しては非常に現実的で、展開される出来事に対する人間の行動や反応をリアルにとらえていた。テンポはかなり遅いが、それでもかなり楽しめた、思いがけない珠玉の映画だ。ひとつ驚いたのは、SF映画という感じがしなかったことだ。
ジュールズは典型的なエイリアンのようで、ハゲで背が低く、頭が大きく、緑色ではないが奇妙な目をしていた。ジュールズが幼児のように手を挙げる仕草もとてもキュートで可愛らしかった。予想以上に感動的な映画だった。私が期待していたような終わり方ではなかったし、少なくとも最初は、映画が終わってもおかしくないようなポイントが2つほどあったかもしれないが、引きずるような感じはしなかった。万人向けの映画ではないし、かなりシンプルでミニマルだ。壮大なクライマックスはなく、もっとトーンダウンした雰囲気を選ぶが、それにもかかわらず、私はその控えめな魅力を純粋に楽しんだ。
まとめと感想「ひたすらに優しい映画」
予告編を見てから絶対に見ようと思っていたインディーズ映画だったが、予想以上に優しく美しく最後の微笑みで優しい涙が出た映画だった。小さな街の小さな家に住む孤独な老人たちの織りなす不思議で優しいSF映画。予算なぞ良い作品には関係ないのだと、純粋に人の心を打つ、心ある人にはぜひこの映画を観てほしい。本当に今年最高の映画のひとつだ。
2024年アメリカ公開映画
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