「火星で寿命90日の探査車オッピーが5000日調査を続けた軌道を描く」プライムビデオで満点評価の映画『おやすみ オポチュニティ』物語エンディングまネタバレと感想を紹介。なぜ寿命をはるかに超えて稼働したのか?火星で何が見つかったのか?ディズニー映画“ウォーリー“のモチーフになった知られざる探索車オッピーの物語とは?年末で疲れ切ったあなたの心を再び震わせる作品です。
もくじ
映画『おやすみ オポチュニティ』物語ネタバレ
2003年、双子の探査オポチュニティとスピリットが火星に送られた。寿命は90日間と予想されていたが…
火星に到着したオポチュニティ通称“オッピー”が起動し活動を開始すると独自の行動を始める。もちろん地球にいるNASAからの行動指示を受けて危険を回避したりしてオッピー自身で考えて行動を始めるのだ。
火星に生物はいるのか?
彼が送られたのは人間のシンプルな疑問“この宇宙で人間は孤独なのか?他の生物は?”から始まる研究からだった。火星には水源があるのなら生物がいる可能性がある。そう考えた科学者たちは調査を実現させるためNASAに10年間提案をし続け2台の探査ローバー、オポチュニティとオッピーを送る計画が始まる。
だが前途多難だった、90日間過酷な火星の環境に耐えて壊れず探査を続けるロボット車を作るのである。さまざまな分野のプロフェッショナルが集まり人間と同じ解析度をもつカメラ、探査のために必要なアーム、重量問題、90日間走り続け耐振動、どんな段差も進めるタイヤ、そして高重量のローバーを丁寧に破損させずに無事に火星に着陸させるパラシュートとエアバッグ…実験に実験を重ね、委員会から何度も何度も“懸念事項は排除されたのか?(火星で壊れたら承知しないからな?)”という圧を受けながらも、研究者たちは諦めずついに火星探査ローバーオポチュニティとスピリットがこの世に誕生した。(懸念があるとすれば彼らは一度も火星で試運転なんてせずにぶっつけ本番で火星に送り込まれると言う点だった)
オポチュニティとスピリット
2体は半年間の宇宙の旅、太陽フレアでソフトの破損と強制終了などの試練を経て2004年1月ついに火星に到着する。信号の強度は良好、ついにNASAに火星の鮮明な映像が到着し本部は歓喜に包まれる。
AIが搭載されたオッピーたちは見るものを全て地球に伝え続けながら、自身も考え続け夜になりオッピーとスピリットは互いに“おやすみオッピー“”おやすみスピリット“と伝え見守られながら眠りにつく。翌朝はもう一つの試練が始まる“オッピーたちを起こす“である。一度眠らせた機械をめざめさせるのは恐ろしいようだが無事に二人は起きて捜査を開始する。まずは火星の特定のクレーターを調査して“水の跡“を探すのが目的だ。そしてオッピーからの送信されてくる火星の調査結果で火星には水があることが証明される。
ただしその水は酸性で生物には適さないため、生物の居住可能地域を見つけるためには遠出が必要なのである。地球からの信号が火星に届くまで4分〜20分、次の行動を予想して慎重に確実な調査を続けるために前進させるためどちらも休むことができない。
クレーターの調査をしていたスピリットから突如信号が途絶えてしまう。調査の結果フラッシュメモリが破損して起動を続けたことによる電力不足、本部からの強制終了コマンドで24時間機能を停止させたことで正常に稼働を始め本部は久しぶりに安堵する。
寿命90日
2台はソーラーパネルで稼働しているため、90日頃になるとソーラーパネルが火星の砂によって隠されてしまい電力供給できなくなると予想されていたが、局地的な砂嵐に遭遇したことでパネルを覆う砂が全て取り払われ90日を超えても2台は元気に稼働を続けるのだった。
予想を超えて火星を調査することができ、今まで行けないと思われていた広範囲を調べることができるようになる。そして今まで斜面の角度が急で行けなかったクレーターの内側に挑むなど新たな情報が次々と送られてくるのだった。
400日が経過しても2台は止まることなくNASAと協力して調査を続けていた。途中砂に車輪を取られるトラブルが起きるが協力して困難を乗り越えより慎重に走行をするなどオッピーたちも学び成長しながら最大のクレーターの一つに向かって進み続ける。
1100日が経過、調査開始から3年半が経っても彼らは動き続けた。スピリットの前輪故障はバックで動くことで、長い長い冬はパネルを傾けて、惑星規模の砂嵐も乗り越え今日も調査を続ける。その間にアメリカでは過酷な調査を健気に続け15万枚もの画像を送る2台のローバーが人気となり連日メディアで取り上げられ世界が2台に興味を持つようになっていく。
5年後、再び長い冬が訪れついにスピリットが5年の任務を終える。90日しか持たないと思われていたが予想を遥かに超える1500日間も調査を続けた偉大な双子のスピリットは世界中から見守られて眠りについたのだ。
オッピーは稼働を続けていた。火星到着を見守った当時高校生たちが次世代の科学者やエンジニアとなりオッピーの任務を継続する。オッピーは一日100m程度しか進めないが遠く離れたクレーターの調査に向かうため再び何年も歩き続け、隕石を何個も調査し、雷に打たれ再起動、冬を乗り切るために睡眠を増やして体を温めながら一歩一歩進み続けるのだった。
エンディングネタバレ
オッピーは年季が入ってきた。認知症に似た症状も生まれ始め所々動かない箇所も出てきた、そして何年にもわたる旅を経てついに最大級のクレーター“エンデバー“の調査を介すると次々と新たな発見と分析結果を送り始める。そこには粘土質の岩があり、微生物に適した土地でかつて生物が住めるような湿地があったこと、飲める水がかつてあった可能性が発見される。オッピーの調査開始から10年経過して見つかった大発見だった。
5000日後、14年の調査、オッピーは限界だった、エンジニアたちは相談してこんなコマンドを送る“自撮りを送って”。頑張ったオッピーの姿を残したい気持ちから生まれたものだった。
さまざまな場所を故障させているオッピーにとっては重労働で1枚の写真を撮るのに1分かかるがついに彼女の全身が映し出される。
5111日目、オッピーが今まで経験したことのない巨大な砂嵐が彼女を襲う、砂嵐は数週間続き彼女の電力を奪い続け通信がついに途絶えてしまう。
5352日目、毎日決まった時間に目覚めの音楽とコマンドを送り続けるも彼女は目を覚まさなかった。そして最後の目覚めの歌を送ったところで“オペレーション完了“と最終指令が下されオッピーの15年にわたる長い長い調査と旅が幕を閉じる。
彼女の築いた脅威の結果は次のローバーの開発に大いに役立ち次世代に繋いだ。
2020年、新たなローバーが探査の旅につくシーンで物語は終了する。
“おやすみ オッピー”
まとめと感想「最後に何を思ったのか」
全く知らない話を見るのが好きでドキュメンタリーなんて先の読めない誰かの人生を見れるので映画よりもワクワクするので好きだ。
最初はこの「おやすみ オポチュニティ」と言うタイトルにグッと来ないので視聴を見送っていた。偶然英語タイトル「good night oppy」とウォーリーを彷彿とさせるポスターを見て興味が湧いたので視聴したが、なるほど観てよかった。私の知らない間にこんな物語が紡がれていたとは知らなんだ。
極秘情報なのだろうかほとんど98%CGだが見応えのある火星を冒険するオッピーとスピリット、地球から見守るNASAの人たちのパートで物語は構成されていて感動的な作品に仕上がっている。もう少し火星のリアルな映像とかをもっと見せてほしかったのだが、やはり白黒写真や映像が当時は限界だったのだろうか、火星は赤いのか?クレーターで見つかった隕石には何が含まれているのか?微生物はいたのか?いなかったのか?オッピーの研究結果がどれほどまでに科学の発展につながったのかなどもっと知りたいと思ったが説明はなかったのが残念である。
ウォーリーとオッピー。
なるほどオポチュニティは2004年から2019年まで調査を続け、ディズニー映画のウォーリーは2008年公開。オッピーとウォーリーの形状が似ているのはオッピーに影響を受けて制作されたことがわかった。ウォーリーは人間が住めなくなった汚染された地球で孤独にゴミを圧縮し続けながら自立した思考を持ち穏やかな日々を過ごすだけだったが、探査に訪れたロボットイヴとの出会いで想像もできないような展開を迎えるという物語だった。
オッピー。
オッピーは15年もの間、地球とのコマンドを受けながら調査を続けているので孤独ではないかもしれないが、彼女は一人で火星を歩き続け調査を続けたのは寂しかったのだろうか。
総評
子供には退屈だったが大人には色々刺さる作品だと思う。オッピーだけではなく情熱と夢を持ったエンジニアたちの姿も自分の人生を振り返る良いきっかけになった。人生は一度きりだ、急に電源が切れることだってあるだろう、日々だらだら過ごすのではなく、1日を生きる。オッピーだってできたんだ、我々人間だってできるはずだ、仲間がいる家族がいる、オッピーと違って一日100mしか歩けないわけではないだろう。やれることがたくさんある。上からやっていこうと私は思った。YouTubeの配信で二の足を踏んでいる場合じゃないな、一歩、怖いんだけどね、一歩。やらないと。
脚色されていない人生を見ると勇気をもらえる。
だからドキュメンタリーが好きだ。
2024年アメリカ公開映画
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