「ベルギーの闇最終章にふさわしい傑作」映画『依存魔(原題:Adoration)』物語エンディングまでネタバレと海外の感想評価を紹介していきます。変態村、地獄村のファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督作品最新作にして最高傑作と海外で多くの賞を受賞した作品はなぜこんな変な日本語タイトルにしたのか?なども一気に理解できますよ。
もくじ
映画『依存魔(原題:Adoration)』作品情報
上映日
2020年1月22日(フランス)
2023年1月27日(日本)
上映時間:1時間38分
制作国:ベルギー/フランス
言語:フランス語オランダ語
原題:『Adoration』
制作会社
The Jokers Films
Panique
Savage Film
あらすじ
少年ポールは精神病患者の美しい少女グロリアに説得され脱走を手助けすることになるがそれは彼女の危険性を知らない彼にとっては破滅的で暴力的な旅の始まりだった。
スタッフキャスト
監督
ファブリス・デュ・ウェルツ
脚本
ファブリス・デュ・ウェルツ
ロマン・プロタ
ヴィンセント・タヴェイル
キャスト
トーマス・ジョリア … ポール
ファンティーヌ・ハードゥアン…グロリア
タイトルの意味
オリジナルタイトル『Adoration』とは賛美、崇拝、礼拝を意味しています。後述する心優しい無垢のポールが破壊的で美しい少女グロリアに対する心象を表していると思われる。
映画『依存魔(原題:Adoration)』物語ネタバレ
自然を愛し動物を慈しむ心優しいが孤独の少年ポールは母親が務める精神病院から何度も脱走を繰り返す美しい少女グロリアに一目惚れしてしまう。美しいグロリアは自身は病気ではないと言い続け何度も何度も脱走をする姿に同情したポールは彼女の脱走の手助けするよう説得される。戸惑っていると職員に見つかり動けないポールを尻目にグロリアは職員を突き落として落下死させグロリアに手を引かれるがままポールは後戻りができない脱走をしてしまう。グロリアの破壊的な瞳と勢いと(少々の恋心)のせいで断りきれず最後まで付き合うと誓ってしまう。
グロリアは道連れのポールを得られたことを喜ぶものの行く先々の家屋の窓を破壊してはポールに侵入させて食料や物品を盗ませる危険な一面を見せ始める。徐々に見えてくる危険な行動と情緒だったが、グロリアを愛してしまったポールは彼女に献身的に尽くし二人の逃避行は続く。船旅行を続ける優しい家族と出会うも警察の通報を恐れたグロリアは嘘をついて食事と寝床を提供してもらい穏やかなひと時を過ごすも他者の穏やかな空間が気に入らず船に火をつけて逃亡してしまう。
結末エンディングネタバレ
グロリアの情緒は不安定になり鶏をスパイだと叫び出す。盗んだボートで川を上り続けトレーラーハウスに住む男に出会い小児性愛の可能性も否定できないが親切な男性に衣食住を提供してもらうもグロリアたちを元の場所に連れて行こうとするため車が発車した瞬間にグロリアは男の首を絞めて車を横転させて男を殺してしまう。車から脱出したグロリアとポールは車から脱出し再びボートに乗って湖を走らせならが2人の上空を飛び立つ渡り鳥の群れを見つめるポールの表情を映し出しシーンで物語は終了する。
海外の感想評価 IMDb 6.2/10
8/10
代表的なファブリス・デュ・ウェルツの傑作
この映画は、監督の名前を知らなくても、ファブリス・デュ・ウェルツの作品だと思ったでしょう。この美しく不気味な映画には、彼がほぼ全ての作品に投入している要素が全て詰まっている。人間の内面や精神の暗部を深く描写しているのだ。この監督は非常に繊細な人物で、常に100パーセントの力で作品に取り組んでいます。非常に献身的な映画人であり、単なるイエスマンではないことは確かだ。妖艶、毒、催眠、この3つの言葉が、この素晴らしい自由な監督の映画を最もよく表している。
6/10
黄金の川を航行する
この映画は、クルーゾーの「ディアボリック」とヒッチコックの「めまい」を書いたことで有名な二人の作家、ボワロー・ナルセジャックからの引用で始まる。このことについて率直に言うと、この映画は、悪いおじさんの設定を除いては、それとは全く関係がない。
脚本は学芸員の卵で、一番いいのは少女のキャラクターだ。そのため、この映画では、”崖っぷち “であることを強調している。彼女はパラノイアに苦しんでいるのだろうか。無害な観光客のカップルから、小児性愛者かもしれない男、「私の叔父のスパイ」という単純な雌鳥まで、いたるところに敵が見えるのだろうか。彼女のヒステリーの発作は、視聴者に2番目の仮説を支持させるかもしれない。
2/10
この作品は、あまり噛みごたえがない。
見た目はいい感じです。しかし、最初から最後まで同じトーンなので、視覚的にすぐに飽きてしまう。
演技はまあまあ。信じられないほど真面目で、プロットポイントや陰謀の間の大きな距離を埋めるために、たくさんの「感情移入」が行われている。
ストーリーは、かなり典型的な若者の恋愛ドラマである。主人公の男の子は経験が浅く、そのために、完全にイカれた男のような女の子を「助ける」ことに専念する。彼女は施設に入っていて、悪い医者が鎮静剤とかを与えている。で、彼女はその、おかしなことを言うんだ。すっごいクレイジーなんですよ。
彼女のキャラクターを書くのは許しがたいほど弱い。少年は上映時間のほとんどで、顎を緩めて彼女を見つめている。この映画は、悲劇的でも劇的でもないエンディングでつま先立ちになるまで、予想通りに進んでいく。実際、このエンディングは、物語が始まるべき場所であった。それまでのことは、2分間で説明できたはずだ。
退屈で、テーマが透けて見え、比喩的に不毛で、自分自身に恋している。
まとめと感想「邦画タイトルの方が合ってる」
無垢な少年を騙し愛させ洗脳されたポールを引き連れてグロリアは逃避行を続ける。孤独の少年ポールは初めて愛したグロリアを献身、、、いや盲信的に彼女と逃避行を続ける。どんなにグロリアがパラノイアを発症させいく先々でトラブルの元になろうともポールはグロリアを本当にあるのかわからない楽園に連れて行くために。。。タフガイになろうとする姿も全てはグロリアの思うがままのようになってしまうのもなんともみていて心が痛む。オリジナルタイトルのAdoration=崇拝のようにロミオとジュリエットのような純真さのある冒頭から徐々に歯車が狂って行く様子は、日本語タイトルが依存魔としたのもあながち間違っていないように思えてしまう。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓