「現代でも通用するユーモア抜群のエロオムニバス群像劇」50年前にイタリアでスマッシュヒットした名作映画『セッソマット』物語を全部ネタバレしていきます。
シネ・リーブル池袋など全国で上映予定の”永遠女優”シリーズの６０、７０年代編で上映予定の映画が気になりブルーレイ版を購入して見た感想、主演二人の現在、海外の感想評価も併せて紹介していきます。
もくじ
映画『セッソ・マット』作品情報
上映日：1973年12月20日(イタリア)
制作：イタリア
公式サイト (フランス)
公式サイト（日本）
言語：イタリア語
セッソ・マット
ロケ地
イタリア・ロンバルディア州コモ
製作会社
Dean Film
イタリアを代表するセクシー俳優ラウラ・アントネッリとジャンカルロ・ジャンニーニが共演したオムニバス・セックスコメディ全九編ほぼ全てが二人がそれぞれ違う役で登場してエロ面白く彩られた世界を堪能することができる。
さすがイタリア、１９７３年製作というのも忘れてしまうほど馬鹿らしい乾いた笑いしか出ない作品から、不条理ギャグ、エロバカ話、同性愛、切ない話まで幅広く楽しむことができる。エロいと思ってみるとガッカリするが、個人的に男同士の同性愛について描かれた「困難な愛」はたった５分で良い物語を観たと納得できたりするのでお楽しみに。
映画タイトル「セッソ・マット」の意味
イタリアの原題『Sesso matto』とは（クレイジーなセックス）の意味を持つ。
アメリカのタイトル『How Funny Can Sex Be?』は（セックスはどこまで笑えるのか？）の意味を持つ。配給会社の英断で原題の日本語表記になったが、一歩間違えればひどいタイトルになるところだったことが良くわかります。
映画『セッソ・マット』物語ネタバレ
マダム、8時です
女主人は執事のドミニコの逞しい肉体に魅力を感じていた。夫が仕事で留守にしている間、ドミニコを朝の８時に起こすように命じるとほぼ裸のような姿で寝たふり？して彼を誘惑する。誘惑に負けたドミニコは女主人の体を弄り、服を脱がそうとするが我にかえり女主人を起こし直すといつも通りの日常業務に戻るのだった。
二つの心と一つの小屋
スラム街で暮らす貧しい子沢山一家の話。帰宅した夫のシャツに口紅があるため浮気を疑う妻、自分がいない間に他の男を連れ込んでいると思い込む夫婦はお互いに浮気を疑い大喧嘩を繰り広げる。しかし夜になると即座に和解すると昼の言い争いが嘘のように二人は愛し合うのだった。
遅すぎるということはない
若く美しい女性と結婚した弁護士のエンリコだったが70歳以上の老女のエスペリアを愛しており朝にも夜にも何度も電話をしては愛を呟くが、エンリコに対し”狂人”と罵り信じないでいた。４０近く年が離れているエンリコが自分を愛する意味がわからないエスペリアは何を望まれているのか理解出来ないでいた。エンリコの行動はエスカレートしエスペリアの家に侵入する。彼女は驚くが何度も何度も愛しているとささやき続けると本当に自分を愛していると感じたエスペリアはエンリコの愛を受け入れベッドで愛を育むのだった。
しかし翌日になりエスペリアが外出することを伝えているはずが、家に入っていくエンリコに不信感を抱いたエスペリアが家に戻るとエンリコはエスペリアの母親に覆いかぶさっていた・・・。
新婚旅行
グラシアとプレイボーイで自己中で制欲の強い夫はヴェネチアの新婚旅行で電車や船の上などどこでも構わずに発情してグラシアを抱きまくる。初夜、ついに落ち着いでベッドで四回いたそうとするがなぜか起きない息子にしょんぼりする。グラシアは友人に相談した結果夫は”乗り物の中でしか興奮しない性癖”であることを突き止め夫を引っ張りマンションのエレベーターの中で初めて愛を育むことになるがあまりに興奮して叫びまくったためマンション中の人たちが見物に現れてしまうのだった。
帰ってきて、私の可愛い子
妻に捨てられた禿げた男が、若くて美しい娼婦タマラを家に招くと別れた妻ロゼッタの格好をしてもらい妻への愛や愚痴を伝えた後一晩過ごす。お金を払った後にまた明日ロゼッタのふりをして電話をしてほしいと頼み二人は別れる。
海外で働くイタリア人
デンマークに移住したイタリア人男性は子供たちを学校に送り届けるとは、本業の精子提供の仕事を始める。男は病院に勤めている美しい修道女が徐々に脱いでいく妄想をして今日もたっぷりと精子を出すのだった。
リベンジ
シチリア島コッレサーノ、地元の有力マフィアのボス、ドン・アルバロ・マカルーソに夫を殺された若く美しい未亡人に向かってドン・アルバロは愛人になるように仕向け女は言われるがまま愛人になる。喜ぶドン・アルバロは早速未亡人を自分の家に連れ込むとセックスをしまくるが、未亡人は異常な性欲で求め続けた結果ドン・アルバロは心臓発作で死んでしまう。未亡人は亡き夫のお墓の前でこの計画は、未亡人が夫の仇を討つために考え出したものだったことがわかって物語は終了する。
困難な愛
ミラノにやってきた青年サトゥルニーノ”ニノ”は数年前から居を構えている弟のコジモが頼りになると思っていたが、コジモの妻の義姉からコジモはずっと連絡がつかないと聞かされる。
町に戻る前に、ニノは人気のダンスホールに入り、そこで魅力的なミラノ人女装男性のジルダと出会いすぐに恋に落ちるが、別れた後ジルダは他の男性の車に乗り彼女が娼婦であることに気づき挫折を味わう。
だけど彼女を愛してしまったことに気がついたニノは娼婦だろうと構わないと彼女に愛を伝え一緒に彼女に家に入ると、彼女が便座を上げて用を足したところを見て彼女が男であると気がついたニノは怒って家を出る。が、再び同性愛だろうと愛してしまったと気がついたニノは再びジルダの前に現れそれでも愛を誓うのだった。
が、そのジルダの前にコジモの妻が現れお金をせびっているところを見て、ジルダは弟のコジモであることに気が付き２０年ぶりの再会に喜ぶがすぐに冷静になり弟愛しちゃったよ・・お兄ちゃん愛しちゃったよ・・・どうするよ・・・みたいな空気になり別れた方が良さそうだと一度別れるが結局愛し合ってしまった二人は一緒に歩き始めどこかに向かう。
「客人」
実業家の美しい妻は、夕食に招かれた客人を誘惑しようとする。やがて夫が客を追い出すと上手に挑発した妻を褒める。結局のところ寝取られが大好きな夫婦の一芝居に付き合わされただけと言うものだだった。
主演「ジャンカルロ・ジャンニーニ」の現在
主演のジャンカルロ・ジャンニーニは現在も元気に俳優活動中の８２歳のイケオジ。
誕生日1942年8月1日、イタリア・リグーリア州ラ・スペツィア生まれ
身長1.7メートル
ジャンカルロ・ジャンニーニは、オスカーにノミネートされたイタリアの俳優、監督、そしてイタリア映画の主役として、また様々な言語や方言を使いこなすことで国際的に高い評価を得ている多言語吹き替えの名手である。
1942年8月1日、イタリアのラ・スペツィア生まれ。10年間ナポリに住み、電子工学の学位を取得した。18歳のとき、ローマのダミーコ演劇学校に入学し、舞台俳優としてデビューした。シェイクスピア劇「ロミオとジュリエット」「真夏の夜の夢」のイタリア語上演をはじめ、イタリアの現代劇に出演。1965年、イタリア国営テレビ局RAIのミニシリーズにデビッド・カッパーフィールド役で出演し、テレビデビューを果たす。1965年、フロイトの心理スリラー『リビドー』（1965）で映画デビュー。1966年からはイタリアの伝説的な監督リナ・ヴェルトミューラーとのコラボレーションを成功させ、ジャンニーニを主役にした作品をいくつか発表し、受賞している。ラブ＆アナーキー』（1973年）では独裁者ベニート・ムッソリーニを暗殺しようとする農民トニノを、皮肉たっぷりのコメディ『スウェプト・アウェイ』（1974年）では船員を、アカデミー賞にノミネートされた『七人の美女』では強制収容所の生き残りとして出演している。また、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の名作『リリ・マリーン』（1981年）では、ナチスに逮捕されたユダヤ人音楽家を演じている。
ジャンニーニは、ジャック・ニコルソン、アル・パチーノ、マイケル・ダグラス、ダスティン・ホフマン、ジェラール・ドパルデュー、イアン・マッケレンなど、イタリア市場で公開される映画の国際スターの吹き替えでも評判となった。『シャイニング』（1980年）でニコルソンの吹き替えを担当し、スタンリー・キューブリックから賛辞を贈られた。ジャンニーニは、流暢な英語と方言の習得により、『雲の中の散歩道』（1995）、『ハンニバル』（2001）、『ダークネス』（2002）、『炎の人』（2004）など、ハリウッド作品での助演が多くなっている。21作目のジェームズ・ボンド映画『007/カジノ・ロワイヤル』（2006年）にはレネ・マティス役で出演し、続編の『007/慰めの報酬』（2008年）でも再びこの役を演じている。
IMDbより
主演「ラウラ・アントネッリ」の現在
ヒロインでエロ美しい女性を演じた『ラウラ・アントネッリ』は
1941年11月28日、イタリア・イストリア州ポーラ［現クロアチア・イストリア州プーラ］に生まれる。身長166cm.2015年6月22日、イタリア・ラツィオ州ローマ市ラディスポリにて死去（心筋梗塞）73歳で死去。
出生名 Laura Antonaz（ラウラ・アントナズ
アントネッリは高校の体育、数学の教師としてキャリアをスタートさせた。テレビ番組「カロセロ」（1957年）への出演をきっかけに映画界に入り、完璧な肉体を披露する機会に恵まれる。
ラウラ・アントネッリは、『毛皮のヴィーナス』(69)『青い体験』(73)『イノセント』(75)などで知られる女優である。以前はエンリコ・ピアチェンティーニと結婚していた。が、キャリアの途中でコカインの取引と所持の罪で有罪判決を受け、10年間控訴。最終的に有罪判決は覆された。
海外の感想評価 IMDb
6/10
セックスはどこまで面白いか？
(ディノ・リージ監督、
1950年代以降、イタリアで製作された無数のポートマントー映画のひとつ。その多くは複数の監督によって指揮され、当時の人気映画スターが出演していた。しかし、中には一人の監督が特定のスターの多才ぶりを発揮させるために作った例もある（例えば、リナ・ヴェルトミュラー監督の『男について話そう』（1965）のニーノ・マンフレーディなど）。実際、この作品は後者の傾向に沿っており、ジャンカルロ・ジャンニーニとラウラ・アントネッリを9つのセグメントすべて（彼女の場合は1つを除いて）に起用している。しかし、70年代に入ると、イタリアのコメディには下品なものが多くなり、そのようなタイトルのこの作品は、リジとジャンニーニの両方が典型的に関連している立派な作品であるにもかかわらず、このカテゴリーに入ることは確かである!
7/10
映画と演技のマニアはこれを見るべき
「セッソ・マット」ただし英語版では「How Funny Can Sex Be?」として公開）は、1970年代のイタリア映画界の巨人、ジャンカルロ・ジャンニーニとラウラ・アントネッリが出演する、それぞれ平均10～15分の8つのコミックスケッチのシリーズで、すべてセックスに関係するものである。映画の中のセックスは、21世紀の基準からするとかなり控えめで、そのユーモアの多くは、1970年代には衝撃的であっただろうが、今はそうではないものからきており、そのユーモアの多くは時間の経過とともに薄れてしまったものである。
しかし、私が最も興味を持ったのは、2人の才能ある主役の演技スタイルの鋭い対比であった。ジャンニーニは、チャップリン、マルクス兄弟、ジェリー・ルイス、ルシール・ボール、ウーピー・ゴールドバーグ、ジム・キャリー、ジャッキー・チェンなど、多くの偉大なコメディアンの伝統に従って、一貫して漫画のように誇張された演技をする。一方、アントネッリは、全く逆のアプローチで、誰かがとんでもない状況に陥ったときに、実際にどのように行動するかをリアルに描こうとしている。
これは、キャロル・ロンバード、ジミー・スチュワート、ビル・マーレイ、ジュリア・ロバーツ、ウィル・スミスといった、同じく素晴らしい喜劇俳優のスタイルに倣ったものである。アントネッリはまた、目だけで演技する方法の最も優れた例のひとつである。私は、ほとんどの観客がこの作品をどう見るか、つまり、ほのぼのとした面白さとほのぼのとしたセクシーさを基準に評価しました。しかし、コメディ演技に特別な関心を持つ人には、もっと高い評価、もしかしたら10点かもしれない。
まとめと感想
困難な愛が好き。ジルダに一目惚れしたニノが車の中でずっとジルダを褒めまくったり愛を呟き続けるシーンが本当に愛しているのだと懸命に伝えようと必死で情熱的で”情熱のイタリア人””世界で最も恋するイタリア人”のイメージ通りでそして少し感動した。本気で愛を伝えたい人はジルダの目も鼻も髪も匂いも部屋も歌声も何もかもが素晴らしく”まるで神様のようだ”と激しく誉めるのだ。私もイタリア人のようにパートナーにもっと愛をささやきてぇってなった。いや、マジでこれ以外の作品はエロ１割、コメディ９割みたいなオムニバスで見たことを後悔しかけたけどこの”困難な愛”は観てよかった。すげぇなたった５分で元を取ったと思えたよ。
音楽がやたら印象に残ったなーと思ったら時計じかけのオレンジの翌年に制作されたこともありかなり真似ているようだったが、まぁいいじゃない。って感じ。
古い映画ってマジでバカにできない。
おすすめあれば教えてください。できればエロいのもオナシャス。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓