「世界で一番大好きな作品だ」海外で大絶賛の映画『秘密の森の、その向こう』エンディングまでネタバレと感想。突然あなたの目の前に同じ年齢になった母親が現れたらどんなことをするだろうか?子供の頃の無邪気さを失った大人全てに魅せたい作品です。
原題:Petite Mamanとは「小さな母」と言う意味。タイトルからネタバレしているフランスの映画です。
もくじ
映画『秘密の森の、その向こう』あらすじ
祖母を亡くしたばかりのネリーは、母が幼い頃に住んでいた新しい家に引っ越すが、なぜか母親がいなくなってしまう。
周りの森を探検するとツリーハウスを作っている同い年の女の子に出会います。
”私の名前はマリオン”
母と同じ名前を名乗る少女と、ネリーの物語が始まる。
映画『秘密の森の、その向こう』スタッフキャスト
監督
セリーヌ・スキャンマ
脚本
セリーヌ・スキャンマ
出演者
ジョセフィーヌ・サンツ …ネリー
ガブリエル・サンズ…マリオン
ニナ・ムーリス … 母親
ステファン・ヴァルペンヌ…父親
マーゴット・アバスカル…おばあちゃん
【ネタバレ無し】どんな映画か?
失踪した母が私と同じ年齢になって目の前に現れた。
「母、小学生になる」みたいな感じって言うのはあまりに失礼か。
でも大筋は似ている。
フランス映画、退屈。と言う概念はこの作品で失われるはず。この映画は面白い。子供と一緒に見る映画というよりは大好きなパートナーや友人と一緒に見る方が良さそうだ。子供が見るなら・・・中学生以上かなぁ。
だけどのこの映画の場合、大人達にネタバレすることなく気の合う母と娘が子供の姿になって楽しみ遊び、母の幼少期の知らない一面や自分が抱えている悩みを解決していくというシンプルなもので誰でも楽しめるようになっている。映像は美しくセリフは少ないが子供達の無邪気な言動だけで何が起きているのは理解できる。この映画で個人的に面白いと感じたのは、目の前で起きている魔法や奇跡としか言い表せることができない現象を”一切説明しない”ことだ。なのに、これは現実?妄想では?といった疑問は全く起きることないので安心してほしい。ただただ、目の前の美しい世界で楽しむ子供達に引き込まれるのだ。
映画『秘密の森の、その向こう』物語ネタバレ
8歳のネリー(ジョセフィーヌ・サンツ)は祖母を亡くし、母が幼い頃から祖母と住んでいた家の整理に向かう。ある日の夜、ネリーの母(ニナ・ムーリス)は、ネリーに別れを告げずに夜中に家を出ていなくなってしまう。
父から母がいなくなったことを告げられ、両親が離婚しないか自分の何かが悪かったのか?を思い悩むネリーは森に遊びに行く。
母と同じ名前の少女
森の中で大きな枝を運び秘密基地を作っている似た背格好の女の子を手伝い、彼女の名前はマリオン(ガブリエル・サンズ)、母と同じ名前を持つ少女はとても人なつこく、ネリーに正式に手伝いを頼むと雨が降り始めたため、マリオンはネリーを自分の家に連れて行き着替えて一緒におやつを食べる。
この家はマリオンの祖母の家だと言うが、ネリーが最近引っ越した場所に酷似しており違和感を覚える。おやつを食べながらネリーは祖母が亡くなったことで家族でこの土地に引っ越してきたことを伝えると、マリオンの祖母も最近亡くなったことを伝える。
それにしてもネリーの家と同じすぎる、間取り、壁紙、許可をもらって家を探索するとネリーの母親の大事な日記を見つけ、ひょっとしたら母の寝室には…横になって寝ている知らない女性(マリオンの母)の姿を見たネリーはここが自分の祖母の家で、マリオンが自分の母親であることに気が付く。
しかし不安になったネリーはマリオンに帰ると伝えて走って家に戻るが、やはりマリオンの家と”同じ”我が家に入り不安そうに父親を呼ぶとあっさり出てきた父親を見てネリーは安堵する。
秘密基地作り
翌朝再び森に戻ったネリーはマリオンと合流して秘密基地作りを楽しんだ後、マリオンの家でおやつと家遊びをすることが日課になる。そこで二人は自分たちが同い年であること、マリオンは母と同じ病気にならないように3日後に手術を受けることを知る。マリオンの母(ネリーの祖母でもある)にも会いマリオンは女優を目指していることなど、ネリーが知らなかった母の一面を知る。
出発の前日に二人の秘密基地が完成する、そこでネリーはマリオンにあなたは私の母なこと、未来から来たことを打ち明け証明するため祖母の家に連れて行く(ここで初めてネリーの家を見たマリオンはあまりに自宅と似ていることに驚き一旦足を止める)
そこでマリオンが31歳のときにマリオンの母が亡くなったこと、祖母の使っていたマリオンの母と同じ杖を見せ、そしてネリーは母親を深く愛していたことを伝えネリーの父にマリオンの家に一晩泊まって一緒にマリオンの誕生日を祝っても良いか父を説得、父は二人が一緒に入れるのならと笑顔で快諾してくれる。
二人はマリオンの家に戻ると、マリオン、ネリー、マリオンの母の三人でマリオンの9歳の誕生日を祝う(マリオンの母の作ったおいしくないスープをこっそり吐き出したり)。夜二人で同じベッドで眠りながらネリーの両親がいつであったかなどのネタバレをしながら眠りにつく。
エンディングネタバレ「母と再開」
翌朝、二人は近くの池にゴムボートを出して一緒に楽しむ。マリオンは病院へ行くことに不安を隠せないでいるが、ネリーは手術は絶対にうまくいくからと安心させる。逆にネリーは自分の母が悲しい人生を送っているのは私のせいではないかと思っていることを伝えるとマリオンはそんなことはないと言って安心させるのだった。マリオンが病院に行く前に2人はハグをしてマリオンと祖母を見送る。
ネリーは祖母の家に戻る。
居間には母がポツンと座って待っていた。
ごめんね。
ごめんなさい。
二人は互いの名前を言いながら抱き合い物語は終了する。
海外の評価IMDb 7.4/10
7/10
私の悲しみを発明したのはあなたではない
映画『秘密の森の、その向こう』は、最近亡くなった祖母の家に滞在しながら、両親が亡くなった家長の遺品を整理している間に新しい友達を作る少女についての、極めて地味な映画である。微妙な、しかし重要なファンタジー的要素さえも、非常に現実的で地に足の着いた方法で表現されている。
この作品は、私がこれまで見た中で最初の社会的現実主義的な子供向けファンタジー映画であり、おそらく必要以上にうまく機能していると思う。
大げさな表現がないため、特に心に響く。大人にとっては擬似的なノスタルジックな回顧録であり、子供にとっては現実のその場その場の反映であろう。だから、親子関係をテーマにした作品として、自分の子供と一緒に見るのにちょうどいいと思う。
この映画は、同じようなテーマを扱った他の映画のように感傷的なものではなく、むしろ憂いを帯びているのです。この悲しみは、深遠でありながら慈愛に満ちており、誰もが自分の存在の片隅に必然的に存在する、少し無形で部分的に実存的な恐怖を表現しているのである。
この映画では、悲しみは単に人生の一部であり、表面下に押し込めるのではなく、生じたときに対処すべきものであるとしている。その証拠に、子供たちの無邪気な笑いを描くだけで、純粋な喜びが伝わってくる。欠陥があり、単調で浮き沈みの激しい、私たちの多くが経験するような現実を表現しているのだ。
全体的に高揚した雰囲気があり、実際、すべてが切実なものに感じられます。最もストレートな興奮や説得力を持つ作品ではないが、独特の効果があり、見終わった後もしばらく余韻が残る。悲しみや嘆きをモチーフにしているにもかかわらず、素敵な映画です。また、それなりにユニークな作品でもある。本当に良い作品です。
9/10
炎の貴婦人の肖像』の脚本家・監督から、またしても優しく、感動的でハートフルなドラマファンタジーが登場した。
映画『秘密の森の、その向こう』は、8歳の少女の目を通して、愛、喪失、悲しみ、無邪気さを繊細に描いた物語である。
セリーヌ・スキャンマが脚本と監督を務めたこの作品は、わずか70分の長さで、少女が母親との絆を深めることで祖母の死に対処していく姿を描いています。
短い上映時間にもかかわらず決して急がず、自分のペースで物語を展開させ、解き明かしていく。
映画『秘密の森の、その向こう』はシンプルな中に美しさを見出し、セリーヌ・スキャンマの作品にまたひとつ魅力が加わったと言える。娘と母親の間の対処と絆を、揺るぎない温もりと優しさでスクリーンに描いた甘く切ない物語であり、サイアマ監督の最新作は、視覚的にも感動的にも魅力的で、長すぎる印象を与えることはない。間違いなくお薦めです。
10/10
魔法
この作品は、ティッシュの箱と一緒に見てください。大作です。
ネリー(ホセフィン・サンズ)はおばあちゃんを亡くした。老人ホームでの別れは厳粛な始まりだが、もし5分以内に笑顔でなくなったら、自分の脈拍を調べてみるといい。フランスの田舎にある古い実家で、父と母のもとに滞在し、家を片付ける。秋の気配が漂い、内省的でメランコリック。この家は、見た目はまばらだが、母にとっては思い出の詰まった場所であり、ネリーにとっては刺激的な発見がある。特にマリオン(ガブリエル・サンス)は、家の周りの森で枝で小屋を作っているところに出会います。マリオンはただの女の子ではありません。彼女は特別だ。彼女は魔法使いなのだ。ネリーが悲しみに暮れ、自分自身について知るための洞察を与えてくれる。素晴らしいわ 本当に。二人の女の子はスクリーン上で素晴らしく、全体が穏やかに美しく見えます。ネリーは何かがおかしいと感じるのですが、不気味さはなく、U指定です。しかし、この作品は、若い観客のために物事を単純化することもない。知的で洗練された、完璧なテンポの作品です。これ以上言うことはないでしょう。セリーヌ・スキャンマ監督は非常に素晴らしいものを作り上げました。ラストシーンは、涙を流しながらも微笑んでしまいまし
まとめと感想
フランス映画は少し抽象的でセリフも固く理解しづらいイメージがあるかもしれないが、この映画『秘密の森の、その向こう』では二人に起きる魔法、タイムトラベルといった不思議な現象を一切説明しないが容易く理解できる内容になっている。
何よりも主役は二人の子供だからだ。彼女達に余計なセリフや固い言い回しなんて必要はない。実際二人の間にセリフは少なく彼女達の生活音だけが続くシーンもあるがその辺もリアルだし二人の行動を見ているだけでも楽しめる。(この二人は実の双子が演じている)そして二人が互いの関係性を知った後も余計なことは追求せず二人はただただ大好きな人と一緒に遊ぶことを優先する子供らしさというシンプルな描写で作られているが、退屈と感じることはないだろう。余計なことは考えず楽しみ悩み遊ぶ二人の子供らしさ全てを美しく描かれる最後のシーンは笑顔で涙が止まらなくなる。フォレスト・ガンプな頑固な文系の私でも号泣できた。最近疲れている人がいたらこの映画を勧めたい。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓