「12時間消費するけど3日間若返るよ」この言葉にメリットしか感じないと思ったあなたは観てほしいフランスで大ヒットした奇妙な映画『地下室のヘンな穴』あらすじ、物語エンディングまでネタバレしています。マリーは何回何年穴に入ったのか?この映画はホラーか?コメディか?観た後に色々考えてしまう自分達の老いの価値観。パートナーと話し合いがしたくなりますよ。
もくじ
映画『地下室のヘンな穴(2022)』あらすじ
概要
アランとマリーの夫婦は、ついに住宅に投資しようと考えている。物件訪問の際、エージェントは彼らを地下室に案内し、ダクトに誘う。そこから、ふたりの人生は一転してしまう。
映画『地下室のヘンな穴(2022)』スタッフ・キャスト
監督
クエンティン・デュピュー
脚本
クエンティン・デュピユー
出演者
アラン・シャバ .. アラン・デュバル
レア・ドリュッケール.. マリー・デュバル
ブノワ・マジメル… ジェラール
アナスイ・ドゥムースティエ… ジャンヌ
ステファン・ペゼラ…不動産仲介業者
マリー=クリスティーヌ・オリー… マダム・ランバン – ご近所さん
ロクサーヌ・アーナル… 19歳のマリー
映画『地下室のヘンな穴(2022)』結末までネタバレ
トップガンマーヴェリックの次にヒットした映画となったこの奇妙な映画「地下室のヘンな穴」は一体どんな映画なのか?穴に入ると若返るなら最高なのでは?と思ったあなた、ぜひ最後までお読み下さい。
この家の目玉は”若返りの穴”です
朝、アラン(アラン・シャバ)とマリー(レア・ドリュッケール)夫婦は不動産屋(ステファン・ペゼラ)に連れられて売りに出されたばかりの家を訪ねる。美しく良い家なのだが、不動産屋は最後に地下に「この家の目玉」があるのだという。薄暗い地下室を降りた先にあったのは、木製の蓋がされた”穴”だった。
訳がわからず困惑するアランとマリーだったが、不動産屋と一緒に梯子を下りきると、日が暮れていた。何が起きた?一瞬で時間が?とさらに困惑する夫婦に不動産屋は”穴を通ると12時間後の未来に行けて、3日若返ることができる”と営業トークを繰り広げる。
穴に入れば12時間後に一瞬で移動して3日若返る素晴らしい穴のように感じるが、穴に入っていない人からすると、穴に入った人は、そこから12時間穴から出てこず、12時間後に3日分若返った状態で出てくる。ようにしか見えない。片方は寂しい思いしかしないのだ。
アランとマリーはこの家を購入して引っ越しを終えると。マリーは穴が気になって仕方がないから、もう一度穴に入りたいと言い出し穴に出入りする。
アランは、2ブロック先に住む車好きの上司ジェラール(ブノワ・マジメル)と恋人で下着屋の店長ジャンヌ(アナスイ・ドゥムースティエ)の恋人にこの家を見せる。穴から出てきたマリーも加わり、4人で即席の夕食会をする。食事の後、ジェラールはアランとマリーに、自分のペニスの代わりに電子ペニスを装着したらかつてない快感を得られた最高のセックスだった話をされ、代わりに自分たちの家の秘密を話そうか迷ったがマリーが強く止めたため食事会は普通に終わる。
穴に執着するマリー
マリーは3回穴に潜り9日分若返った姿を嬉しそうにアランに見せるが、アランにはその違いが分からずマリーを落胆させる。
ある日、マリーは腐ったりんごと一緒に穴に入り”若返りは、ありとあらゆるものに効果がある”と興奮気味に話す。しかし、そのリンゴは中がまだ腐っていて中から蟻がたくさん蠢いているのだった…。マリーはことあるごとに穴に入り、まるで取り憑かれているように見えることからなんでそこまで若返りたいのか聞くとマリーはかつての美貌を取り戻してモデルになりたいのだと言う。ため息気味にアランは自分は穴に全く興味はないと言うが、マリーはさっさと穴に入り続けるのだった。そこでアランは、穴は2度と使えないように閉じるつもりであることを警告する。アランからすれば彼女が穴に入ると、12時間会えない状態が続き、穴から出てきてもすぐに穴に入るを繰り返すのでアランにとっては1日中一人でいるのと変わりがないので、二人の時間をゆっくり過ごすために買った家のはずが、穴のせいで計画通りにいかないことに苛立っているのだ。
電子ペニスを修理するため日本にいるジェラールはアランに電話してジャンヌにプレゼントを渡すよう頼まれる。不動産屋に出くわしたアランは”穴を使い続けると精神的に不調になるのか?”と尋ねると不動産屋はそれを暗に認めるのだった。しかし彼は不要なら穴をセメントで埋めればいいだけですとアドバイスして立ち去る。
ペニスを修理してフランスに戻ったジェラールだが運転中に回路がショートして車が燃えてしまいジャンヌに捨てられるが、日本人の女性と結婚する。しかしその後ジェラールの浮気が原因ですぐに別れてしまう。アホみたいに自分の立派な電子ペニスに執着するジェラールは女から女へと渡り歩く日々を繰り返している日々だった。ある日、ジェラードが新車を運転していると、やがてペニスが燃えてくる。ジェラルドは車のコントロールを失い、横転してしまう。
エンディングネタバレ「穴の代償」
穴に入り続け19歳の若さを取り戻していたマリー(ロクサーヌ・アーナル)は夢だったモデルになることができたが、アランは変わらず同じ生活を続けていた。しかし、モデルになったとしても思うような成功を収められず精神を病み始めたためアランは仕方なく彼女を精神病院に入院させ、穴をコンクリできっぱり閉じた。
マリーは精神病院でガラスの破片を使って手を傷つけるとその隙間から蟻が出てくる様子を”アランの写真に手を見せ”ながら「見て」と言う。犬と一緒に釣りをしていたアランは、彼女の声が聞こえた気がして、「ああ、そうだ」と答え物語は終了する。
まとめ:感想「二人同時に入るべきか、老いを受け入れるか」
人は誰でも年を取る。それが人生の一部だ。お金と一緒だと思う、お金があっても不幸な人、お金がなくても幸せな人がいるように、老いを楽しめる人、楽しめない人、恐怖すら感じる人がいる。アランは前者でマリーとの静かな老後を夢見ている。しかしマリーは後者だった。目の前の甘い罠の穴に囚われてしまったマリーは狂ったように穴に入り12時間アランを一人ぼっちにした挙句、また穴に入る生活を繰り返す。何度も何度も繰り返すのだ。
フランス人はこの映画を楽しんだのだろうが私はきつかった。大好きなパートナーが急に5年もの間ほぼ会えないのだ。(マリーの年齢ははっきりしていないが、ざっくり50歳、19歳の若さになるまで30年若返るためには、10988日間、若返り効果は3日ということは3662回穴に入る必要がある。1日二回穴に入ったとしても1831日、超ざっくり5年かけて穴に入り続け19歳の若さを取り戻したのだ。)映画ではパパッと流していたが、ほぼ会えない大好きな妻との連絡のやり取りは冷蔵庫に貼ったメモ用紙だけという・・・。
二人でゆっくり過ごしたいはずが、共働きのようなすれ違い生活、しかも妻はなんだか狂い始めている。しかもオチはモデルになったけど売れない挙句にリンゴと同じで若返っても結局中身は50代のままという・・・笑えないが考えさせられた。
妻と一緒に見たいが、妻はマリーのことをアホかって笑うんだろうな。で、子供が巣立って静かな余生を過ごす家を買ったらあの穴が地下室にあって、マリーのことを笑っていたはずの妻が豹変して穴に入り始めるのだろう・・・という妄想までがワンセットなんだろうなぁ(笑)
フランス映画って不気味で面白い。
2024年アメリカ公開映画
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