「目新しさはないが良いアクション」アベンジャーズのルッソ兄弟監督作品「グレイマン」物語エンディングまでネタバレと感想。豊富でリアルなアクションは素晴らしいが、クリス・エヴァンスの良い人さが滲み出て悪役としては微妙、全体的に良い作品だが、ひと味足りない印象です。続編製作決定も悪役はロバート・ダウニーJrな感じがしますね。
Netflix映画『グレイマン』物語エンディングまでネタバレしています。
もくじ
Netflix映画『グレイマン』作品情報
あらすじ
CIAの最も優秀な諜報員でありながら、その正体を知らない彼は、偶然にもCIAの機密を暴くことに成功。
スタッフ
アンソニー・ルッソ … (監督)
ジョー・ルッソ … (監督&脚本)
クリストファー・マーカス … (脚本)
スティーブン・マクフィーリー … (脚本)
マーク・グリーニー … (原作)
ルッソ兄弟は2022年だけでテレビ作品含む映像作品の監督、プロデューサー合わせて6作品に携わり、2023年以降もすでに12作品もの作品制作予定が入っている超売れっ子監督。
キャスト
ライアン・ゴズリング… シックス
クリス・エヴァンス… ロイド・ハンセン
アナ・デ・アルマス … ダニー・ミランダ
ビリー・ボブ・ソーントン… フィッツロイ
ジェシカ・ヘンウィック … スザンヌ・ブリューワー
ダヌシュ… アヴィック・サン
アルフレ・ウッダード… マーガレット・ケーヒル
レジェ=ジャン・ペイジ… カーマイケル
ワグナー・モウラ… ラズロ・ソーサ
ジュリア・バッターズ … クレア
シア・ウィガム… シックスの父
デオビア・オパレイ… ドゥリン(デオビア・オパレイ役)
Netflix映画『グレイマン』物語エンディングまでネタバレ
2003年、フロリダ。
CIA職員ドナルド・フィッツロイが、刑務所内の有罪判決を受けた殺人犯(ライアン・ゴズリング)と面会に訪れる。若い殺人犯は1995年弟を守るために虐待していた父親を殺害し、未成年のまま刑務所に収監されており仮釈放予定は2031年と30年近い刑期が残っていた。そこでフィッツロイは、CIAのシエラプログラムで悪いやつを殺す仕事(暗殺者)『グレイマン(見えない男)』として働くことと引き換えに、殺人犯に自由を与えることを提案する。いつまで働くのか?という質問に対しドナルドは「永遠に」という答えを吐くが、若い殺人犯は承諾し、シエラ”シックス”というコードネームを名乗る。
シックスの身内殺し
18年後の2021年、バンコク。
シックスは同じCIAのダニー・ミランダ(アナ・デ・アルマス)と協力して、国家機密の売却を疑われるターゲットの暗殺作戦を始める。ハイテクガジェットで床下から標的を狙うが子供が邪魔をしていたため直接暗殺に向かう(作戦本部は子供ごとさっさと殺せと命じ勝手な行動をとるシックスにイラついている)し、シックスはミランダと一緒に会場に向かいターゲットを追い詰めるが「お前は俺だが誰だか聞いていないのか?」と、かつてターゲットはドナルドからスカウトされたシックスと同じシエラの職員だったこと、CIAは元工作員などの身内殺しを”良く”やっているのだと話す。
そしてターゲットは奴らを倒してくれと謎のコイン(暗殺作戦の主犯でもあるCIAの新星デニー・カーマイケルの腐敗を詳細に記した暗号化ドライブ)を手渡しシックスは咄嗟にそれを懐に隠す。
カーマイケルは、シックスと対面しても任務の真の目的とドライブの内容について口を閉ざしその場を後にする。本部の責任者カーマイケルはターゲットが”遺産”(例のコインのなかのマイクロチップ)を持っていないこと、シックスが作戦について逆に質問したことからシックスは何か隠しているのでは?と疑いを持たれてしまう。
フィッツロイの脱出
シックスはプラハにいる元シエラのマーガレット・ケーヒル(アルフレ・ウッダード)にドライブを送ると、ミランダには自分を置いていけと伝えスマホは近所のネカフェの若者に渡す。
今は引退しているフィッツロイ(ビリー・ボブ・ソーントン)に脱出を依頼する。カーマイケルは冷酷な傭兵ロイド・ハンセン(クリス・エヴァンス)を雇う。彼は残虐でサイコパスな性格のためCIAから追い出された元エージェントだった。しかしカーマイケルとは繋がりがありシックスを殺してドライブを回収する依頼をする。
チェンマイの森の中の秘密の離陸場にシックス救出するためにフィッツロイが集めたチームと脱出していた。その頃ハンセンはフィッツロイの姪クレア(ジュリア・バッターズ)を誘拐しフィッツロイにその飛行機に乗っているシックスを殺せと命令変更をさせる。命令に忠実な彼らはシックスを殺そうとするが事前に察知したシックスは彼らを殺害して逃走。
思い通りに行かず苛立つハンセンに対しフィッツロイは「シックスは超人的な強さを誇る男だ」と忠告するがハンセン(元キャプテン・アメリカ)は「超人的だなんてバカっぽい言葉を使うな」と色々とニヤッとさせる台詞のやり取りをする。
ハンセンはシックスに懸賞金をかけ世界中の優秀な傭兵や暗殺者を集め、シックスを追い詰めようとする。
シックスとフィッツロイの姪
2年前、ロンドンのCIA支局、マーガレット(シックスが例のマイクロチップを送付した信頼している人)とフィッツロイの命令でカーマイケルが関わっているフィッツロイ個人情報流出事故が起きたため、シックスはフィッツロイの姪クレアを警護兼子守りをしたことがあることを思い出す。そしてクレアの命を狙うヒットマンたちを倒したこと、敵はCIAの内部にいる可能性も示唆している。
シックスはウィーンにいた。
洗濯屋ラズロ(ワグナー・モウラ)と呼ばれる偽装身分証明書を作るを受け取るためにウィーンに向かうが懸賞金欲しさにシックスを裏切り落とし穴に落とされてしまう。(この時ハンセンがシックスにかけた懸賞金は50億円と破格の値段だと分かる。)
ハンセンのチームが到着するがシックスは穴から脱出しており次々にチームを殺す。(ついでに密告した洗濯屋ラズロはハンセンに殺されている、彼は懸賞金を払う意志はそもそもないようだ)そこでハンセンと対峙するがミランダが助けに入る。
救出されたと思ったがCIAの命令で動いていたミランダはシックスを麻酔薬で眠らせて運び出す。シックスはなぜ逃げたのか、マイクロチップとは?何をしているのか?全て話し彼女を説得する。
ハンセンはフィッツロイを連れて”クレアを監禁しているCIAの支部”に現れる。カーマイケルの側近スザンヌ・ブリューワー(ジェシカ・ヘンウィック)をハンセンの監視役として送り込み、ハンセンはフィッツロイとクレアをクロアチアの邸宅に人質として残し、そこに作戦本部を置く。
シックスの逆襲
プラハ、マーガレット邸宅。
ミランダはシックスの言葉を信じ一緒にマーガレットの邸宅に向かっていた。そこでマイクロチップの中身を解析、ハンセンとカーマイケルが手を組んでCIAの許可なく暗殺、爆破など悪事を繰り返していたこと、そのためフィッツロイやマーガレットの妨害を繰り返していたこと。そしてその裏に影の支配者がいること。バンコクで殺した元シエラの男はこの悪事を調べカーマイケルを脅迫したためシックスを送り込んだことが発覚。
しかし話はここまで、ハンセンはすでにマーガレットの隠れ家の場所に暗殺チームを送り込んでおり、末期症状で余命数ヶ月のマーガレットは暗殺チームを邸宅ごと爆破してシックスの逃亡を助ける。爆破で訪れたSWAT、CIAの暗殺チーム、そしてシックスの三つ巴となり熾烈な銃撃戦が民間人を巻き込んで繰り広げられる。
2人は病院に逃げ込むもハンセンの送り込んだ奥の手の暗殺者ローン・ウルフによってマイクロチップを奪われてしまう。ペースメーカーからの無線信号でクレアの居場所を突き止めフィッツロイとクレアのいる邸宅に向かう。
ミランダが陽動している間にシックスは屋敷に潜入しフィッツロイとクレアを救出するが、負傷したフィッツロイは自らを犠牲に手榴弾でハンセンを殺そうとするが失敗。ローン・ウルフはミランダを殺そうとしたが、ハンセンの子供を殺す残虐でモラルの欠如に嫌気がさしミランダにマイクロチップを渡してどこかに行ってしまう。
エンディングネタバレ
生き残ったハンセンはシックスからクレアを奪って人質に取り生け垣の迷路に引きずる。睨み合いの末、ハンセンはクレアを放しシックスとタイマン勝負を行う。しかし、シックスが彼を殺す前にハンセンはカーマイケルの側近スザンヌに射殺される。そこでスザンヌはハンセンの行動にイラついていたこと、カーマイケルとスザンヌとハンセンの三人は学友だったこと、今回の事件の首謀者はカーマイケルとハンセンの二人になすりつけるつもりであること、そして自分が成り上がるつもりだということ告白。シックスは生かされるがクレアの人質であることは変わらず首輪が新しくなっただけだった。
CIA本部内で内部訴訟が起きるが、全員が口裏を合わせたことでCIA内の悪事を暴いたとして全員が無罪放免となった。スザンヌはシックスを利用したい、カーマイケルはシックスを殺すべきと考えているようだ。二人がシックスに面会に向かうとシックスは護衛全員を倒して脱出していた。そして、秘密の場所に監禁されていたクレアにレコードを大音量でかけるように指示すると、BGMがかかる間さっさと護衛を倒しクレアの元に現れたシックスは一緒に車でどこかに逃亡する。
エンドクレジットの序盤は、アントマンのような感じで、劇中のシーンを銅像風に造形されたキャラクターたちをバックにクレジットが流れ終了。
アベンジャーズのようなシークレットエンディングもない。
海外の反応評価:IMDb 6.6/10
7/10
なるほど
この作品は、ジェイソン・ボーン、ミッション・インポッシブル、ワイルド・スピード、ジェームズ・ボンドを混ぜ合わせ、グレイ・マンを作ろうというもの。
そして、実際に楽しめたのは意外でした。いい意味でぶっ飛んでいる。
普通のアクション映画のプロットだが、豪華なショットと魅力的な戦闘シーンが『Gray Man』を印象深いものにしている。
5/10
視覚的には期待通りだが、驚くほど空虚
バンコクでの色とりどりの殺人事件で幕を開けた後、あちこちに散らばってしまったため、物語に入り込むことができなかった。
ライアン・ゴズリングとアナ・デ・アルマスの実績あるスター性に頼ったため、この映画における彼らのキャラクターを適切に確立することができなかったと思う。もちろん、Netflixがこの作品のために支払ったお金を誰が持っていったのか、他の多くの人と同じように私も不思議に思いましたが、今日の他の多くの大作と同様に、CGIや俳優やスタッフの旅費が割高だったとしても、それは問題ではなく、問題は脚本にあるのです。脚本というのは、キャラクターやストーリーを構築することが大事なんです。なぜそうなるのか、その理由がわからなければ、何の興味もわかないし、せっかくの驚きやジグザグな展開も、その可能性を失ってしまう。
まとめと感想「アベンジャーズより”は”面白い」
全体的に飽きずに観れた。物語はありがちな暗殺者が本部に裏切られて殺されそうになったから復讐する話。ペースメーカーの姪っ子の存在、引退したフィッツロイとマーガレットの存在。すごい悪役のはずがずっと命令ばっかりして現場に行かない半端な悪役クリス・エヴァンス。謎の殺し屋ローン・ウルフ。なんだかちゃんと乳化してないペペロンチーノみたいだ。色々マッチしていない感じがして、テンポが悪いという印象だった。
しかし全体的なアクションシーンは面白くテンポが悪くてもこのアクションシーンで無理やり興味を惹かせ続けることに成功しているのは確か。海外の評価にもあったが、ジェイソン・ボーン、ミッション・インポッシブル、ワイルド・スピード、ジェームズ・ボンドのように、特殊能力のあるヒーローがどんぱちするよりも、特殊能力を持たない凄腕暗殺者がシンプルにボッコボコにするのは爽快で好きだ。
が、少し、なんというか若干リアルではないのが気になる。ジョン・ウィックとかボーン・アイデンティティがリアルならグレイマンのアクションは全体的に「マーベルのようなお約束アクション(敵が攻撃を”待つ”あの感じ)なのが気になるが、銃撃から肉弾戦に空中戦など幅広いアクションが多いので飽きない。
特に後半戦の傭兵たちの銃撃戦が良い。この辺は私の”許容できるお約束の範囲”のかなりリアル寄りな戦いが繰り広げられるのだ。CIAとSWATチームのリアルな銃撃戦は良い、ひたすら軽機関銃、サブマシンガン、アサルトライフル、ロケット弾、ショットガン、防弾シールドを駆使して戦うあの数分間は鳥肌もの。
しかし、クリス・エヴァンスは悪役できないことが良くわかる。行動は冷酷なのだが、なんというか悪者になりきれていない感じがずっと最後まで残る。どんなに口髭生やしても良い人オーラ、そりゃ長年キャプテン・アメリカやってりゃそうなるか。監督も悪いんだけどね、劇中彼にヒーロー話を振ったり、エンドゲームで見せた彼のとんでもない疾走シーンを彷彿とさせるシーンを出したり、「そうそう、彼はあのキャプテン・アメリカの人だよ!」ってやるのが裏目に出ている気がする。クリスの新たなキャリアを築くのなら、ロード・オブ・ザ・リングのフロド、ハリーポッターのハリーぐらい強烈なビジュアルを持つ彼らがどうやって新しいキャリアを築いたかを少し参考にすべきだったと感じる。
すごいんだけどすごくないが、最後まで観れたって映画。個人的には、やっぱり海外の人も同じ印象だったんだな、6点よりも上だけど7点ではない、やっぱり6.6点の映画って感じ
続編の悪役はアイアンマンの「ロバート・ダウニーJr」だろ?
追記、どうやらNetflixは公開して1週間の間の視聴率がダントツだったことで、グレイマンの続編制作を決定させたようだが。多分2作目は失敗すると思う。ライアン・ゴズリング、ルッツ兄弟、クリス・エヴァンスがいたからなんとかギリギリ許容範囲なアクション映画だっただけで、これは最高だ!って興奮させるシーンは少ないからだ。ジョン・ウィックのようなアクション映画ぐらい頑張らないと次が観たいとはならないんだけどな。Netflixの決断の速さは見事だと思うが、しっかり練り上げて制作に挑んでほしい。次の悪役はアベンジャーズを引退したアイアンマンことロバート・ダウニーJrの可能性が高いね。というか他に客寄せできる知名度のある、丁度よい俳優が思い当たらないだけなんだけどね。でも、それを本当にやったらその年の人気俳優を起用する007作品みたいになるから嫌なんだけどね。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓