「食事シーンカットはダメだろ!でも素晴らしい作品」日本の漫画をフランスがアニメ化した映画『神々の山嶺/The Summit of the Gods 』の感想、海外の評価も紹介。原作と映画の違いなど日本ではなくフランスが作ったことでどんな化学変化が起きたのか?気になるひとはぜひお読みください。
アニメ『神々の山嶺(2022)』物語エンディングネタバレはこちら
もくじ
『神々の山嶺/The Summit of the Gods 』作品情報
ここでは『神々の山嶺/The Summit of the Gods 』作品情報を紹介。特に謎のフランス人監督のプロフィールなども調べたので興味のある人はお読みください。
あらすじ
1924年6月8日、エベレストに初めて登頂したのは、ジョージ・マロリーと同行したアンドリュー・アーバインだったのか?だがそれは誰にもわからない。
唯一、彼らが持っていったコダックの小さなカメラだけが、その真相を明らかにしてくれるかもしれないと噂はされていたがすでに神話の域の噂だった。
70年後のカトマンズ、若きカメラマン記者の深町は、そのカメラが行方不明とされていた伝説の登山家・羽生丈二の手に握られているのを確認する。
カメラを追うはずが伝説の男に惹かれた深町は「彼らはなぜ過酷な山に登るのか」この問いに答えてもらうため、彼の不可能を可能にする山に取り憑かれた登山家について行き神々の山嶺を共に目指すことになる。
スタッフ&キャスト
監督
パトリック・インバート
脚本
谷口ジロー … 漫画
夢枕獏 … 原作
マガリ・プゾル … (脚本・脚色・台詞)
パトリック・インベール … (脚本、脚色、台詞)
ジャン=シャルル・オストレロ … (協力)
(ジャン=シャルル・オストレロ役)
出演者(クレジット順)
ラザール・エアソン・マカレル… 土生隼人(声)
エリック・ハーソン・マカレル… 土生大人(声)
ダミアン・ボワゾー … 深町(声)
エリザベート・ベンチュラ … 涼子(声)
キリアン・レーリンガー… 岸(声)
フランソワ・デュノワイエ … アン・ツェリン(声)
フィリップ・ヴィンセント… レダック・シェフ(声)
リュック・ベルナール… 伊藤(声)
パトリック・インバート監督の経歴
『神々の山嶺/The Summit of the Gods 』を監督したパトリック・インバートは2000年から2017年の間はアニメーターとしてアニメーション制作に携わり、2017年に初の長編アニメ『Le grand méchant renard et autres contes…』を監督。2019年にフランスで人気のアニメシリーズ『Zig & Sharko』の脚本を担当し、2021年フランスでも大人気の日本の漫画「神々の山嶺(いただき)」を監督。2021年9月に「Le sommet des dieux」というタイトルでフランスで上映されIMDbで「7.5点」(レビュー数5400)という脅威の高評価を叩き出している。
海外の感想評価IMDb「7.5点」
8/10
「神々の山嶺」は今年のカンヌ映画祭でプレミア上映され、絶賛された。
「神々の山嶺」(2021年フランス公開、95分)では、遠い昔の2人の男がエベレストに登る様子が描かれている。そして、ネパールで別のエベレスト遠征を取材している日本人ジャーナリスト兼写真家の深町真人が登場する。その日、彼はジョージ・マロリーが1924年に行った遠征で使用したオリジナルのカメラを提供される。どうやら土生譲治という登山家がそのカメラを手に入れたらしい。マコトは土生を探し出し、真相を突き止める必要がある……。この時点で10分弱。この時点で10分を切っています。
この映画を見るまで、この漫画のことは知らなかったし、読んだこともなかった。だから、映画化がストーリー的にも精神的にも、どれだけ原作漫画に忠実であるかは、コメントできない。しかし、これだけは言える。映画の中で何が起こっているのか理解するのに少し時間がかかったが、完全に理解する前に、私はこの物語とこの映画に引き込まれていたのだ。アニメーションは細部にまでこだわった素晴らしいもので、オリジナル・スコアも同様に素晴らしいものです。
10/10
感情的で、視覚的で、聴覚的な傑作…。
今まで見たことのないような、強迫観念と野心の悲劇と勝利を描いた作品。
手描きのアニメーションは、これまでにないほど豪華で、登山家たちが登ろうとしている風景の巨大さを強調している。そのため、彼らの目標がいかに無駄であるかがよくわかる。
しかし、同時に、登場人物たちの成功と失敗が経験する豊かな感情もまた、存分に発揮されており、人間の情熱や粘り強さに比べれば、人間の物理的なちっぽけさなどたかが知れていることを思い知らされるのだ。
8/10
大好きな作品です
なんて映画なんだ! 私にとっては、今年観た中でベストの1本です。
ネパールを舞台にした日本の同名漫画が原作のフランスアニメ。こんな内容だと、”へぇ!スモールワールド!”と感じてしまいます。ちなみに、ストーリーの一部は1924年に起きた実話からヒントを得ているそうです。
私は何も知らずに映画に入ったので、プロットは割愛しますが、ストーリーは – 手に汗握る、ビジュアルは見事、サウンドデザインは驚異的、編集は信じられないほど!
この映画は子供も楽しめるが、執着と決意の詩的な物語を、興奮とサスペンスと悲しみをバランスよく表現したこの作品は、アニメを見る見ないにかかわらず、普段見るものとは違うので、大人も楽しめると思う。
90分という短い上映時間の中で、ぜひ見ていただきたい作品です。
感想。原作との違い「素晴らしいが…言いたいことがある」
いや、海外でも高評価も納得、個人的に大好きな熱さを感じる見事な描写力で鳥肌を立たせてくれた漫画をフランス的な若干退屈ながらも魅せ、静かで美しく壮大な映画に仕上げたことはすげぇと思ったし感動した。大好きな漫画をここまで見事に描いてくれたことは感謝しかない。
特に音楽なんて素晴らしすぎてサントラを買ってしまったぐらいだ。スプリガンと同じ展開になるけど原作漫画が私は大好きだからこそ気になる点がいくつかあったので紹介したい。
これを機に日本でもこの映画から原作漫画ファンが増えてくれたら嬉しい。
原作漫画は
日本最高の漫画だからである。
この映画は面白いし大好きだし、サントラを本当に買った。
だが、せっかくだから映画と原作の違いを少しだけ言う。小言っぽく聞こえたら申し訳ない。漫画好きとして言いたいだけなのです。
音楽最高、サントラ購入すべし
背景描写は美しいが一番心に残ったのは音楽だ。
ラストの2人でエベレストに挑むシーンでは常に美しく壮大な音楽が流れる、映画ではひたすらに単調なシーンが続くのだが、一定の音楽ではなく、状況に応じたさまざまなシーンでさまざまな姿に音色を変えて聞かせてくれるので珍しく音楽の心地よさで映画を堪能するという新しい体験ができた。うまく言葉にできないが、映像を音楽が超えたというべきか、映像のおかげで音楽が引き立つのか。
深堀してほしかったシーンがある
少しだけわがままを言いたい。
個人的に漫画「神々の山嶺」が大好きだ。何度も何度も読み返している。だからこそ、だからこそ、一番鳥肌がたった羽生が単独鬼スラで事故って3日間遭難した時の彼の状況をもっと克明に描いて欲しかった・・。原作漫画の中で彼は数多くのことを経験する、死なせてしまった岸は何度も何度も彼の元に訪れ、さまざまな幻覚を見る、徐々に体力が落ちていき日記の内容が徐々にカタコトになっていく。「岸よう・・岸よう・・俺のこと待ってるのか待ってるのか、俺もそこにいきたいけどな、まだ登っているさいちゅうなんだ。最後までやらせてくれ」と、、、70ページ以上にも及ぶ羽生丈二の極限の遭難劇が本当に鳥肌が立つ。
これが漫画か。
これが漫画だ。
これは凄い。
これは凄いぞ。
なんて凄いんだ。
こんな漫画があるなんて!
劇画タッチの漫画でもなくただひたすらにリアルを追求したこの漫画をアニメ化に挑戦した意欲は買うが、フランスの気風なのか、少しあっさりと大事な描写を端折っているような気がする。このままでは羽生丈二の山にかける想いが少しだけ浅く描かれてしまっていると感じた。
羽生だけじゃない。
ラスト間近で深町を助けてしまった羽生に対して、映画では失神している間に助けられてしまったが、原作漫画では深道は何度も何度も「辞めてくれ、助けないでくれ」と懇願する。これは羽生がこのエベレスト登頂にどれだけの時間を費やし研究し命をかけているかを深く知っているからこそ、彼の全生命を賭けたこの登山を「自分なんかを助けることで失敗しないでほしい」と思っているのだ・・・この辺も熱い展開なのでぜひ入れてほしかったのだ。
あと少しだけキャラデザが微妙。
百歩譲って男たちのキャラデザはいい。だけど岸の妹のキャラデザはすげぇブサイクな典型的なアジア顔で、どっちかと言うと中国寄りのつり目気味なのが少しだけ違和感を感じた。別に美人に描けよ!って訳じゃないんだけど・・・そんな顔にしちゃったかぁとは思った。きっとあなたも思うはず。
食事シーンカットはダメだっ!
驚いた、この漫画でクライマーのさまざまを堪能できるのだが、特にグッとくるのは「食事シーン」である、谷口ジローといえば「孤独のグルメ」の著者でもあり食事描写に定評がある。なんというか彼の絵を見ると「腹が減る」のだ。
フランス人にはこのシーンは泣く泣くカットしたのだと思いたいが、食事シーンは全てカットされている。1500ページもある漫画を90分にするのだから仕方ないのだが、、、できればここはしっかり描いて世界中の視聴者の腹を鳴らして欲しかったと思ったのは私だけだろうか。
まとめ:原作をもう一度読みたくなる
すごい不思議なもので、この映画を見た後に漫画を読むと違和感がある。いや、漫画も素晴らしいが、フランス版のアニメの音楽と描写に心が奪われてしまったため、逆に日本の熱さが少し違和感に感じてしまうのだった。
不思議。
もちろん2巻ぐらいで羽生が落ちるシーンを読んでたら速攻谷口ジロー漫画の虜になってしまったのだった。
生まれた国の違い、文化の違い、感性の違いでこうも同じ漫画に変化を加えて見事な映画を作れるのだなと素直に感動してしまった。
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羽生が3日遭難したのは、グランド・ジョラスで鬼スラじゃないぞ
原作漫画じゃなくて、原作小説がまずありきだと思われます。
漫画版しか原作がないように読めました。
コメントありがとうございます。
確かに原作は小説が最初ですね。
私が最も衝撃を受けたのが漫画だったため
配慮が欠けておりました。
ご指摘ありがとうございます。
このアニメだと涼子は妹じゃなくて姉に変更されてるでしょ
そうでしたか!
英語字幕版では気がつけませんでした・・。
英語も日本語も難しいです