「久々に良作ホラーを見た」小説の天才と映画の天才がタッグを組むことでこんな面白くなるのか!ホラー映画『ブラック・フォン(原題:The Black Phone)』の物語エンディングまでネタバレと最後に感想を解説。鬼才スティーヴン・キングの息子で原作短編を執筆したジョーヒルとは。ドクター・ストレンジの映画監督について解説をしています。
もくじ
『ブラック・フォン』作品情報
アメリカで2021年に公開された映画ブラック・フォンの作品情報を紹介していきます。今回はこんなすごい映画を作り上げた監督と原作者の二人についても少しだけ詳しく解説しています。
あらすじ
殺人鬼に誘拐され、防音の地下室に閉じ込められた13歳の少年は、切断された電話に殺人鬼の過去の犠牲者から電話を受け始める。
天才 スコット・デリクソン監督とは
監督
スコット・デリクソン
脚本
スコット・デリクソン
C. ロバート・カーギル
監督のスコット・デリクソンはキアヌ・リーヴスの「地球が静止する日」、イーサン・ホークの「フッテージ」を監督。個人的にNY心霊捜査官の監督をやっているのは超嬉しいポイント。好きな映画作品の実は監督でしたって後で知るのもいいけど先に知っておきたかった。もちろん、「ドクター・ストレンジ」の監督でも有名。
まだ見てないなら見て。
死霊館とか好きな人は絶対にグッとくる作品です。
天才小説家ジョー・ヒルとは
原作
ジョー・ヒル … (短編小説原作)
原作のジョー・ヒルはスティーブン・キングの次男。本名であるジョセフ・ヒルストーム・キングは、父の息子であることを隠すために簡略化して「ジョー・ヒル」をペンネームにして活動を開始。処女作にして短編集20世紀の幽霊たちが、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学賞など数々の賞を受賞。
次作品「ハーシェイプト・ボックス」は初回限定版を発売と、通常出版を行うも出版前から売り切れが続出し発売日なのに製本待ちという脅威的なヒットとなり、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト入りとなった。
今回映画化された「ブラック・フォン」は処女作20世紀の幽霊たちに収録されている「黒電話(The Black Phone)」を実写映画化したものである。
映画を見終わった後に思ったのが、この短編集もきっと面白いのだろうという信頼にも似た感情。とりあえずポチったので近々読んだ感想もどこかで記事にしたい。実はスティーヴン・キングの小説「ダークタワーシリーズ」の大ファンで人生で最も何度も読み返しているぐらい好きだからこそ、周囲が勝手に持ち上げただけなのでは?と疑問を持っていたが映画を見終わった後も、原作短編集を読み終えて思った率直な感想は、ジョー・ヒルは名前を伏せてデビューするも瞬く間にベストセラー作家になった実力は本物だということだ。文章の読みやすさから、ブラック・フォンだけではない個々の短編物語全てが普通とは逸脱した面白さ、キャラの背景、何もかもが100点満点の傑作小説を作り上げているのだ。久々に本を読むきっかけを作ってくれたジョー・ヒルに感謝したくなるほど。
良い小説は読んだ後も良い気持ちにさせてくれることを思い出させてくれる。
ぜひ、憂鬱な通勤時間にでも、休日にコーヒーでもビールでも飲みながらでも最高の小説を読んでほしいと思う。
キャスト
キャスト
イーサン・ホーク Ethan Hawke … ザ・グラバー
ジェレミー・デイヴィス Jeremy Davies … ミスター・ショウ
ジェームズ・ランソン James Ransone … マックス
メイソン・テムズ Mason Thames … フィニー・ショウ
マドレーヌ・マクグロー(Madeleine McGraw) … グウェン・ショー
ブラクストン・アレクサンダー Braxton Alexander … 馬鹿ども#2
バンクス・レペタ バンクス・レペタ … グリフィン(マイケル・バンクス・レペタ役)
J. ガベン・ワイルド J. Gaven Wilde … ムース
E. ロジャー・ミッチェル E. Roger Mitchell … ミラー刑事
映画『ブラック・フォン』物語エンディングまでネタバレ。
1978年、コロラド州デンバー。リトルリーグの野球の試合でフィニー・ブレイク(メイソン・テムズ)を応援する妹のグウェン(マデリーン・マクグロー)。しかしブルース・ヤマダ(トリスタン・プラヴォン)にホームランを決められ負けてしまう。好青年のブルースはフィニーの腕を称える余裕すらあった。
ブルースは自転車で街を走る。彼の評価は高く街ですれ違う多くの人から挨拶をされて愛嬌良く返事をしていく、途中、ブルースの目の前に黒いバンが現れ、ブルースは足を止める。
フィニーとグウェンは父親(ジェレミー・デイヴィス)と暮らしており、アルコール依存症の彼は精神的に不安定であり兄妹は極力物音を立てないように父の機嫌を気にして生活していた。
兄妹が登校すると、あのブルースが行方不明になっていることを話す。途中喧嘩が行われていた。いじめっ子のムース(J・ゲイブン・ワイルド)がロビン・アレジャーノ(ミゲル・カザレス・モラ)という少年に喧嘩を売っていた。驚いたことに小さな体格のロビンはケンカが得意で、ムースの顔を血まみれになるまで打ちのめす。フィニーとグウェンは歩きながら“グラバー”と呼ばれる誘拐犯について話しながら登校を続ける。
学校で、フィニーは3人の少年にいじめられそうになるも喧嘩で拳を血まみれにしたロビンが登場し、三人に釘を刺しいじめを回避する。フィニーはロビンに感謝を伝えると、ロビンはいじめに立ち向かうよう助言し絆を深める。
グウェンの予知夢
校長室で2人の刑事(ロジャー・ミッチェルとトロイ・ルデシール)がグウェンがよく見る行方不明になった子供達の夢ついてに話をしていた。ただしその夢の意味は不明のままだった。
翌日、フィニーが目を覚ますと、警官がグウェンの夢とブルースの失踪との相関関係について質問されたことを知った父親がグウェンをひどく殴っているのを見る。
場面が変わってロビンはが角を曲がると、黒いバンから降りる謎の男を見かけるシーンだけが少しだけ映し出される。
その夜、そこで父親は二人の母親は“予知夢“と思われる“同じような夢を見ていた“ことを伝え、お前の夢は現実ではないと厳しく叱りつけるのだった。
しかし後日、近所でロビンの失踪を知らせる張り紙が。ロビンが失踪したことで学校のいじめっ子たちはフィニーをいじめ始める。加勢したグウェンはいじめっ子の頭を石で叩き大量に出血させ一人の戦意を失わせることに成功する。しかしその他2人のいじめっ子の暴行を止めることができなかった。その後、授業中、フィニーは片思いの相手ドナ(レベッカ・クラーク)と科学の授業でのパートナーとしてコンビを組むことになる(グウェンはそれを茶化す)
黒衣の男グラバー
フィニーはグウェンと別れ、家路につくと、グラバーに遭遇する、わざとらしく目の前で買い物袋から食料品を落としてフィニーと会話を始めるが、突如車の中から大量の黒い風船を出しフィニーに絡ませるとフィニーは咄嗟に護身用のナイフでグラバーの手に傷をつけるも、スプレー状の睡眠薬?を口を噴霧され意識を失ってしまう。
フィニーが目を覚ますと目の前には仮面を被ったグラバーが。彼はフィニーのことを “特別な存在”だと話すと強固な扉を閉めていなくなる。フィニーは周囲を調査を始める、地下室であること、小さな窓が一つだけ、そして壁に“黒い電話“があるが線は切断されていた(グラバーはその電話は鳴ったことがあるぜと笑っていた)そして、フィニーの手にはグラバーを怪我させたナイフのようなものが残されていた。
断線した“黒い電話“から聞こえる助言
突然黒い電話が鳴る。
電話に出るとその声は野球でフィニーの腕を称賛してくれたブルースの声ということはわかった。しかし声の主のブルースは自分の名前も、生きていた頃のことはほとんど覚えていないようだ、そしてブルースは、“床にタイルを動かして掘れる場所がある“という助言を与え電話を切る。それかフィニーはグラバーが現れるまでひたすら穴を掘り土はトイレに流す行為を繰り返す。
夜。グウェンは鮮明な予知夢を見る、ブルースの生い立ちなどがフラッシュバックされ、最後に誘拐されるシーンを見ることができた。
ある日、グラバーは食料を持ってきた際、退出時に扉の鍵をかけずにいなくなる。チャンスと思ったフィニーは扉を開けかけるが突然黒い電話が鳴ったためその電話を取ると“それは罠だ“と警告される。声の主はビリーという地元の新聞配達人(ジェイコブ・モラン)で、その扉を開けて上に上がるとグラバーはナイフを持っていることを話してくれた。(この時、フィニーには見えないがビリーと思われる顔に傷を作った少年が横に現れ、実際に会話ができないため、黒電話を使って直接フィニーに話しかけているようにも見える)そしてビリーは床に落ちている空き瓶を動かしてビリーに脱出に使えるケーブルの隠し場所を教えてくれる。(しかし窓から脱出しようとするが、ケーブルはすぐに外れてしまい脱出は失敗してしまう)
その夜、グウェンはゴールデンレトリバーと新聞配達を行なっているビリーの生活を見て、黒い風船を持つグラバーの笑い声、そしてさらに鮮明に見える彼の家らしき予知夢を見る。
グウェンはついに父親に予知夢について問いただすと、グウェンの母も同じように幻のようなものが見える夢を見ていたこと、そしてその夢が彼女を自殺に追いやったと考えていること、グウェンが同じ道に落ちるのを防ぎたいと話してくれた。
二人の刑事は行方不明事件を独自に調査しているマックス(ジェームズ・ランソン)という男に話を聞いていたが有力な情報を得ることはできず捜査は難航していた。警察が立ち去った後、マックスはドラッグを吸引する姿があった。しかしその彼のすぐ足元が地下室になっておりそこにはフィニーの姿があった。
三人目の電話の助言
グラバーがフィニーの行方不明を知らせる新聞紙を手渡す。彼が去ると、再び黒い電話が鳴りグリフィン(マイケル・バンクス・レペタ)が壁に書き留めた数字「 2 3 3 1 7 」の存在を伝え、この数字がこの家を出るための数字だと伝える。しかしグリフィンは正確な組み合わせを思い出せないため実際に試すしかなかった。
ロックされていないドアを開けて地下室を上がり目の前で椅子に座り眠っているグラバーを起こさないように玄関に取り付けられた鍵を相手に、思いつく限りの組み合わせを試す。
驚くことに鍵の開錠に成功するが、その際の音でグラバーの犬が吠える。フィニーは家を飛び出すもグラバーに即効捕まってしまう。
ロビンからの電話
再び黒い電話が鳴る。相手は地元の不良ヴァンス・ホッパー(ブレイディ・ヘプナー)だった。彼は何かに怒っていた。
そしてフラッシュバック(グウェンの予知夢)ゲームセンターでハイスコアを台無しにした2人の少年と喧嘩をする姿、そしてナイフで7741と刻む姿。彼はすぐに逮捕される。その姿を横で見ているグウェン。彼女は予知夢の中で自由に行動することが可能になり、グウェンと同じパトカーに乗り、なぜかフィニーと無線を通して会話する二人を見る。あの時、グウェンが刻んだ数字はグラバーの家の住所のように見える。
ヴァンスの助言からもろくなった壁を破壊して、壁の先にあった冷蔵庫の背面を壊して脱出しようとしたが強固に塞がれておりフィニーの心は折れてしまい泣き出す。
再び電話が鳴り、彼は電話に出るとロビンだった“泣くなフィニー“と伝え、ロビンは記憶を失っておらずフィニーに、自分はいつも友達だったこと、今こそ自分のために立ち上がる時だとフィニーの諦めかけた心に火を灯す。
そしてロビンはグラバーを黒い電話でぶちのめす方法を教え、どのように動くかなど練習を一緒に行う。さらに耳に当てる受話器部分に土を入れて重さを増す助言を行いロビンは電話を切る。
グウェンは一人でグラバーの家を探し続けていた、諦めかけていたところに誘拐された子供達の幽霊が前に現れたことで偶然場所を見つけることに成功する。
エンディングネタバレ「」
グウェンは刑事に連絡を取り、夢で見た住所に一緒に向かう。その頃マックスはドラッグの効果で閃き、行方不明の子供たちは自分のいる地下にいるのではないかと気がつく。マックスはグラバーは彼の弟だったこともここでわかる。
マックスは地下室で行方不明者のフィニーを見つけショックを受け保護しようとするがグラバーの斧を頭に受け死んでしまう。
彼はフィニーを殺しに近寄るが、フィニーが電話の助言に従って行動したことが功を成す。グラバーをケーブルで引っ掛け必死に掘った穴落とし、足を怪我をさせ、受話器で殴りつけ、フィニーはグラバーの首を受話器で巻き付け首を絞める。
突如鳴る電話、首を絞めたまま受話器をグラバーに近づけると、受話器から彼が殺した子供達が次々に罵声を浴びせる。全員の声が聞こえたところでフィニーはグラバーの首をへし折り殺す。
刑事たちは家を捜索すると地下から上がってくるフィニーを見つける。保護されたフィニーに肩を寄せるグウェン。後から現れた父親が涙ながらに2人に自分の仕打ちを詫びる。
後日、フィニーは以前より自信に満ちた姿で学校に登校する。彼はグラバーを殺した英雄、伝説の男になっていた。もちろんいじめっ子たちは彼に手を出す勇気などない。彼は科学のクラスでドナに会うと“フィンと呼んで“と彼女に言う。
そして映画は終了する。
海外の感想評価IMDb「7.4点」
10/10
イーサン・ホークと若手スターが織り成すブラムハウス最高傑作スリラー
イーサン・ホークの怖さと若手スターの凄さが、このスリラーをブラムハウスのベスト作品に……。ユニバーサルの配給責任者が映画公開2ヶ月前の劇場オーナー向けコンベンションで全編上映することは、よほど作品が揃っていないとしないものなのです。それだけの自信がある作品だということを本当に証明してくれた。
どのようなジャンルであれ、最高の映画とは、キャラクターを重視し、彼らを応援したくなるような理由を与えてくれるものである。この映画製作者たちは、スリルやスリルを二の次にして、暗い世界で子供時代の純粋さを失いながら成長していくことの恐ろしさの寓話として、この物語を進めている。この世界にはグラバーだけでなく、恐怖に満ちた同級生を容赦なく叩くいじめっ子、心変わりした親、その他の人生の現実も住んでいるのである。テムズとマックグローは、不器用ながらも生き延びようとするフィニーを完璧に演じており、特にマックグローは、この映画が彼女の最後の出演作にはならないだろうと思わせるほど、すべてのシーンを簡単に奪っている。彼女は真の傑出者である。
このように海外でもブラック・フォンは高評価でした。
まとめ・視聴後の感想「見応えのあるホラー作品」
これは面白い。
怖がりな私を怖がらせすぎず、緊張感は常に張ったままテンポ良く飽きることなく最後まで楽しむことができる良作ホラー映画だった。
原作を読んではいないが、断線した黒い電話からの電話、記憶を失っている被害者の断片的なアドバイス、謎の男グラバー、必死に抗うフィニーと予知夢能力を持つグウェン。決してSFにならず万能でもない黒い電話の助言とグウェンの予知夢のバランス。可視化された子供達の幽霊、恐怖シーンも怖がらせすぎず、不気味さを失わさせすぎずと実際に行方不明になるとこんな感じかとリアルさ、超常現象とのバランス。最高か。
兄妹それぞれの演技も秀逸で、目が離せない。DVされ痛めつけられても、兄のために石で殴りつける勇気を持ち、誘拐されても希望を失わずに立ち向かい、そして成長していく姿も無理なく私たち視聴者に彼への感情移入させてくれた。大体誰かにイラつくことが多いものだが、今回子役の誰にも文句なんてない。ずっとハラハラしてしまった。大人なのに。君たちの方がよっぽどすごいよ。
短すぎず長すぎず、グウェンいなくても結局解決しとるやんけという流れも好き。逆に原作の短編集が読みたくなった珍しい良作ホラーと感じた。監督が凄いのか、原作のジョー・ヒルがすごいのか、いやもうきっと両方すごい才能が合わさったからこその作品なのだろう。
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