監督は究極選択を迫られて決断・葛藤・周囲との決別などのリアルな人と世界を描く作品「未来を生きる君たちへ」でアカデミー賞を受賞したスサンネ・ビア。そんな人がサバイバルホラーと家族を融合させるとしたらどんな作品になるのか?
めちゃくちゃ楽しみ!
もくじ
Netflixオリジナル作品「バード・ボックス」の感想
冒頭の子供にルールを説明するシーンの衝撃。
避難所で漂い続ける緊張感は視聴者を巻き込む監督の手腕が光る。
ホラーのお約束をテンポ良くリアルに解決していくのは快感すら感じる。
しかし見事な脚本と監督の人物描写が噛み合わず薄味に感じた。勿体無い。
あらすじと世界観の説明
若干のネタバレと共に世界観の紹介を。
まずは背筋が震えた今後の苦難を予想させるような緊張感のある冒頭の紹介。
冒頭の緊張感が最高
主人公のマロリーは二人の子供にルールを徹底させるように伝える。
- 常に用心を続けること。
- 常に静かにし続けること。
- とても厳しく辛いがそれでも私の言うことを聞かなければいけない。
- 目隠しは絶対に外してはいけない。
- 目隠しを外した場合は暴力を振るうこと。
- 川で会話をしてはいけない。
- 森や川で何か音が聞こえたら教えること。
そしてもう一度伝える。
「目隠しは絶対に外さないこと。」
この世界では目隠しを外す=死なのだ…
どうやらマロリーと女の子「ガール」と男の子「ボーイ」の三人は安住の地に行くために危険な急流のある川下りをすることを決断したのだった。
目隠しをしたまま…
場面は変わって5年前の世界が終末を迎える瞬間
主人公のマロリー(サンドラブロック)は間も無く出産を迎えるシングルマザー。父親はいないと言っていたので多分行きずりで出来てしまったようだ。実際子供の名前も決めておらず、臨月にも関わらず飲酒をしようと発言するなどの母になる自覚が薄いように見える。どこか子供なんか生まれなければ良いとさえ思っているようにも見える。冒頭の決断した大人の表情とは打って変わって世の中を舐めてさえいるような若さとワガママさが抜けていない。助産婦にもたしなめられてしまう。そして診断後の通路で
女性が血が吹き出しながら何度も何度も窓に頭を打ち付け続けているのを目撃する。
「この街にもTVでやっていた病気がきている」と呟くマロリー。
一気に街はパニックに陥る。姉の運転する車で群衆を避けて移動していたが、急に姉の様子がおかしくなる。
「眼球に変化が起きている」
今後この眼球への様々な変化が「感染者」と「非感染者」の違いを知る唯一の手がかりとなる。
姉の運転する車は暴走して横転。
命からがら脱出した先の民家から一人の女性が助けに近寄ってくる。まだ変革直前だったので優しい心を持つ人が妊婦だからと旦那の制止を振り切って来てくれたのだ。しかし・・
マロリーに向かっている最中に「何かを見た」後。急に宙を見上げ「ママ?」と呟くと
激しく燃え上がる車に乗り込み爆死してしまう。
正常な精神が一瞬で何かによって飲み込まれ自殺に追い込む「謎」の感染力の威力を教えてくれる重要なシーンである。
命からがら周囲の手を借りて民家に入ると避難者が何人もいる…。
終末世界での食料問題・妊婦問題・多種多様な人が極限状態で集まればどうなるかが良く分かる緊迫感がなくならない好きな場面。色々起きる。見せ方も上手い、下手にB級ホラーなお約束も取り入れつつもしっかりとリアルに事が進むからイラつくこともない。
再び川下りシーンが最高に怖い。
場面は再び広大な川を下り続ける3人に戻る。この画像のようにほぼ完全に視界を奪った目隠し状態を維持したままで、14時間経過したようだ。なだらかな流れは漕ぐ必要もなくのんびりと楽しそうにも見えるが、三人の顔は緊張したままである。なぜか?
そして急に川のどこかから声が聞こえる
「やぁ、助けがいるかい?」
生存者だ!?
しかしマロリーは目隠しを外さずに銃を構える。。。
相手は人間か?謎の存在か?幻聴か?
マロリーの行動は?
そして一気に物語はテンポよく進む。
テンポ良く進みすぎるのだ。
ざっくり中盤から終盤にかけて若干のネタバレと解説。
再び5年前。食料問題をナビと車の接触検知機能を使い難なくスーパーへ。
食料問題あっさり解決。酒癖悪そうなシーンでヤバげになるがスルーされる。
何故か●●などの逃亡者発生。行き先や生死の描写は無く最後まで不明。
子供に名前を付けない理由は?え?
何故か目隠しをした状態で彷徨っている妊婦が民家に来訪。
余計な情報「目隠しをしないで行動できる人間がいる。しかも人を殺しにかかってくる。」
!?
ヤバい雰囲気が増えていくばかり。このマロリー達が集う5年前の物語は常に緊張感が漂うので一緒に避難している人の気持ちになれて気持ちが良い。
途中まではあえてホラーやゾンビ映画のお約束をしっかり織り交ぜつつもあっさりとストレスなくテンポ良く解決していく辺りは変な疑問もなく小気味良いのだが、食料問題を解決したあたりから伏線による伏線が一切回収されないまま謎だけを放置してまた一人と死んでいく。
そして目隠しをしないで行動できる人間達との遭遇。
ここまでジェットコースターの急降下のように進み
再び川下りの場面に戻る。そして究極の選択を迫る。
謎は残したまま。
途中の無駄な散策で無駄に体力を消耗させる。
いまいち掴めないこの3人の心理。
親なの?子供なの?愛しているの?愛してないの?
良くわからないまま進み、物語最高の選択のシーン。
マロリーは二人に伝える。
「この先には最も厳しい急流が待っている」
「だからどちらか一人は船をぶつけない為に…
私たちの為に前を見て欲しいの」
「私が死んだらあなた達は絶対に生き残ることはできない(だから私は見ない)」
見る=死である。二人を生かすために彼女はどんな選択をするのか?
ここからはもう観ると良いです。
得点を付けるなら:
65点
冒頭・避難所のシーンはほぼ100点。時間を忘れさせてくれる。
しかしその後の消化不良なままの進行で一気に冷めて、ラストで更に目が覚めてしまう。
え?これで良いの?ってなる。
他のNetflix作品で比較すると:
「オルタードカーボン」よりは下だけど「アナイアレイション 全滅領域」「クローバーフィールドパラドックス」よりは遥かに面白い。
バードボックスの制作者と出演者について
監督:スサンネ・ビア
主な作品に
ある愛の風景・アフター・ウェディング・マイブラザー・未来を生きる君たちへなどがある。
受賞歴
「未来を生きる君たちへ」2010年公開:アカデミー外国語賞を受賞。
この監督の作品は究極の選択を迫ることが多い。この未来を生きる君たちへでも全身不随となった子供達を結婚しますか?生き残るためには友人を殺せますか?虐殺者の治療をしますか?しかもその選択をした後の葛藤やリアルな現実も見せつけてくるから個人的にはキツイのだ。もちろん受け入れてくれる部分もあるのだが、心の弱い私には苦渋の決断後の葛藤も共感してしまうし、周囲からの視線のキツイ感覚も共感してしまうので私は打ちのめされてしまう。
Netflix未配信なので木になる方は購入を。
主演:サンドラブロック
スピードで一躍人気。最近もオーシャンズ8で美しい姿をさらしていました。
あれ?整形した?と思うほどに鼻の形が気になって慣れるまで時間がかかった。マイケルジャクソンの鼻に見えてしまう。慣れると気にならないが。5年前のシーンの冒頭は特に不自然な感じがしてしまった。気のせいでしょうけど。
Netflixオリジナル「バード・ボックス」感想と冒頭ネタバレまとめ
冒頭の約束、そして相手は5歳の子供達。実はこのシーンで一回視聴を辞めました。子供達と目隠して、見たら死ぬ何かがいる世界で?川を下る?絶対誰か死ぬだろ!?子供が死ぬシーンは見たくないんだよ!嫌だ!と思ってしまったのです。
しかし嫁が一緒に見てくれたのでなんだかんだで子供も一緒に視聴してくれたので、何があっても共感できればなんとか視聴できる!と思えたので頑張れました。
結果としては微妙でしたが、冒頭シーンからあの緊迫感が続くのは最高でしたね。
しかし、最近Netflixオリジナルの映画って微妙なのが増えてますね。
Netflixオリジナルドキュメンタリーが良質なのを作り続けているだけに頑張って欲しいです。
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