原作ファンが納得できない理由がよーく分かる。黒衣の男の弱さ、雑なローランド、不細工なジェイク。どれだけ映画が駄作で、どれだけ原作小説が見事かを解説。ちくしょう。俺たちの20年を返せと言いたくなる始末の驚きの内容。
が、せっかくも見てしまっったので雑にレビューします。
もくじ
ダークタワーって何だ?巨匠キングのライフワークです。
小説版ダークタワーのあらすじ
「ダークタワー」シリーズとはホラー小説の神であるスティーブンキングが小説人生を掛けて作り上げたSF小説である。
彼が今まで手がけてきた数々の作品とのリンクする部分があり、SFと一言で言い表せないファンも唸る見事な内容は英国幻想文学大賞やSFネビュラ賞を受賞するなどである。
アメリカ西部開拓時代に似ているが、その時代は遥か彼方の過去であり、現代よりも高度な技術で発展したような形跡があるが化石の如く古くなっており人類はもはや科学と魔術の境界も理解ができていないほどに知識も衰退している時代。そこで黒衣の男を呼ばれる男(全ての謎のかぎを握っているのは確かなのだが、それ以上の情報はない)を追い続けるガンスリンガーと呼ばれる西部ガンマンの風貌を思わせる男が彼を追っている。ただし彼の持ち物には魔法が掛けられているものもあり見た目以上に多くの荷物と知識を保有している。(彼もまた謎の多い男である。)
ガンスリンガーは「暗黒の塔」と呼ばれる様々な世界、全ての世界(平行世界)の中心を担う役割となっている塔が破壊されるのを防ぐために旅をしている。この塔が倒壊し掛けているから世界はここまで荒廃しているとも言われている。彼らにとって神話の類の塔であり、ガンスリンガー自体目に見たことすらない、ただ、その秘密を握っているのは黒衣の男というだけで彼は唯一情報を持っている(そして敵討ち)彼を追い求め追いかけっこをしているのだ。
その先々で突如である現実世界のニューヨークからやってきたたジェイク・エディ・スザンナそしてオイ(と呼ばれる動物)との出会いによって孤高の旅であったガンスリンガー(本名はローランド)が心開き共に歩む仲間となって謎の世界を共に旅する過程が描かれた超大作である。
文庫本でも12冊になる大作である。
個人的に第三弾「荒地」は是非とも読んで欲しい。私はこの第三弾を何度も何度も何度も読み返している。謎の荒れ果てた荒野とリンクした現代ニューヨークと繋がる扉、ヘロイン・そして今後長く共にする旅の仲間となる「エディ」との初対面と家族との別れ、そこで瀕死になっているガンスリンガーが初めてニューヨークの飲料「ペプシ」を飲んだ際の感情の描かれ方が大好きである。
が、面白いのは内容だけではない、この作品が構想そして一文で始まった1970年からシリーズ完結2006年までに「36年」も掛かっている点である。
ホラーの巨匠スティーヴン・キングの紹介
「シャイニング」「クージョ」「it それが見えたら終わり」「ミザリー」「ペットセマタリー」など大体のホラー映画の原作は彼が手掛けていたりするほど、怪奇ホラーと言えば彼と言うレベルで知っている人も多いはず。
そんな彼が1970年。学生の頃の構想から手掛けていたのが今作ダークタワーシリーズである。
「黒衣の男は砂漠の彼方へ逃げ去り、そのあとをガンスリンガーが追っていた」
この一文から始まる。
だが、学生時代の彼は構想こそあるものの、これ以上書き始める事ができずこの後何十年もこの一文をタイプライターで入力したっきり引き出しにしまっていた。そして彼の中の想像主によってダークタワーシリーズ第1作目「ガンスリンガー」が発売されるのだが、発売まで1992年までにも22年も掛かっており、そこから何年も掛けて完成していく。
私が中学生時代に既にダークタワーシリーズの第4弾「魔道士の虹」が出ていたが、そこから5作目のカーラの狼までは何と6年も空いてしまうなどハンターハンターもびっくりな遅筆であった。(冨樫さんと違う点はキングはその間ダークタワーシリーズだけが時が止まっているだけでその他の作品はバンバン発表していた)
6年の沈黙の間、何人もの「死亡宣告」を受けたからキングに手紙を送って何とか墓場まで秘密を持っていくから「最後」を教えてくれ」と何通もの手紙がきたそうだが、キング自身「どうなるかわからない」として返信すらしていないそうだ。
そして2006年に一気に刊行されてシリーズ7弾12冊の文庫本が発表。しかも全てキング自身によって数千ページ全てに修正を加えているという熱意の込めっぷりであり、再び1から読んでも新しい発見があった。
そんな作品。
世界中のキングファンが待ち望んでいた「映画化」の話が世界中を駆け巡ったのだ・・・
そしてスティーブンキングの傑作SF小説「ダークタワー」の映画化
まさかの脚本家の初監督作品と発表されてファンに大きな落胆を与えた。あんなに待ちに待った超大作を何故新人に作らせるんだ?
キャストはイドリス・エルバ?黒人?キングが問題ないっていうなら問題ないさ、
黒衣の男役にマシュー・マコノヒー?最高じゃないか?キャストは最高峰だな!?では出来栄えは?
2018年1月27日開幕
普通のアクション映画に成り下がってました。
何千ページもある内容からそこを抜き取っちゃうの?と言った内容で、巨大な暗黒の塔(ダークタワー)を倒そうと目論む黒衣の男とそれを追うガンスリンガーの夢を見る少年ジェイクが二人に出会い運命と戦う決意をするお話。
ジェイクがブサイク
まず、ジェイクが超ブサイク。可愛さも賢さも皆無。劇中の幼さから徐々に成長する過程は省いて中途半端に生意気な中途半端な頭脳を持つブサイクキャラがガンスリンガーに命を救われたり救ったりする・・・。そして劇中ちょっとだけガンスリンガーと拳銃の訓練をしたら超絶上手くなったりする。尺短いから仕方ないとは言え、だったら彼は最後まで足で纏の重要な役割を持ったキャラに徹するべきだった。中途半端な指南で上手くなっちゃダメだろう。
黒衣の男が雑魚キャラ。
いきなりダークタワーを直接攻撃する指揮を執っている点や出落ちキャラかしてしまっている点に物申したい。
原作では黒衣の男はとある大きな存在の手下でしかなく、彼は思うがままに行動してガンスリンガーの運命をふざけもてはやしながら混沌に陥れる役割である。ダークタワーを倒壊させようとさらってきた少年達に命令して攻撃する描写はそもそも彼の意志ですらない、原作ではこの施設には一切関わっていないはず。
だが、映画の中ではラスボスとなり謎の施設の連中の劇中のラスボスになっており、更には過去にガンスリンガーの父親の命を奪った割には、何で奪ったのかも曖昧で、その息子ガンスリンガーのことも命を狙うんだか狙わないんだかよく分からず、何がしたいんだが分からない思想を持ったダークタワーを倒そうとしているの意味も曖昧なやつだった。そして雑魚だった。
基本的に不死で、劇中でも背後から打たれた弾丸も見ることなく銃弾を止めてしまう程でさほど拳銃に対して何の恐怖心もなく、正面からどれだけ打たれても魔法の力で止めてしまい、ガンスリンガーの必殺の銃弾もなす術がない!となっていたのだが、
ラストは銃弾同士がぶつかり軌道が変わったことで、何故か防げず心臓に銃弾は突き刺さって絶命してしまう。という出落ちクソキャラとしてファン全員をがっかりさせてくれた戦犯。(ちなみに原作ではガンスリンガーの時代の武器は黒衣の男の魔法で防げるが、現代ニューヨークから持ち込んだルガーの銃に対して防御する術がなく青ざめるシーンがあり弱点と思われていたが、そんな描写は一切映画では描かれず)
卓越した能力がないローランド(ガンスリンガー)
そしてガンスリンガー(ローランド)のなんか小さく見えるエクスカリバーを鍛錬して作り上げた伝説の拳銃。目にも止まらない速さで拳銃を扱う男のはずなのだが、すごい早いわけでもなく、目にも見えない速さで銃弾を込め直すシーンだけに力を込めたのか強いんだか弱いんだかはっきりとしないワンピースのキャラみたいな野郎でイラついた。
伝説や魔術が色濃く残ったサバイバル術など全ての能力が抜きん出ており膨大な知識があるはずだが、、所作もクソガキジェイクに対して大きな態度を取る程度で、見事な運動量、見事な卓越した銃捌き、が見れるわけでもなく、油断して瀕死になるし、最後の最後にやっと本気出してみるみるうちに敵を倒すとかやはり出し惜しみする主人公にグッとくることもなく、魅力も皆無なガンスリンガーだった。
まとめ:Netflixでダークタワーを観た感想
2018年の夏に映画化した作品を何故2019年11月に見たのか?それは絶対に面白くないと思っていたから。事前の映画情報は予告編を見るだけにとどめており感想などは一切見ていなかったが、それでも予告編だけで「あ、駄作だ」と直感で感じたが正解だった。
ネットフリックスで無料で見れる今、こそ、やっと観た。
やっぱダメだった。
それだけである。
出来る限りこの小説の素晴らしさをお伝えしたいところだが、あまりにもおすすめしたい場面や内容が多すぎるので勢いで描いた冒頭の小説のあらすじだけを読んで読んで欲しい。。
あと一つ、何となく気になっていたから小説を読もうと思ったのならかならずこっちを見ることをお勧めします↓
こちらはハードカバー版に織り込まれていた抽象的で写実的な見事な絵画イラストが入っており、あえて「世界観を決定付けすぎないが見事な」イラストが描かれており、読み進めていく上で邪魔にならず見応えもあります。全巻セットで2,000円前後なのでお試しあれ!
が、こちら↓バージョンは多重人格探偵サイコなどの田島昭宇さんなどの豪華なイラストレーターによるイラストが入っているのですが、あまりに上手い現実的なイラストなので「世界観を印象付けてしまうような」感じがするのでお勧めはあまりしません。
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