映画『インフィニティ・プール/Infinity Pool』物語ネタバレ「脳が侵されるようだ」




『ポゼッサーの衝撃を超えた』ブランドン・クローネンバーグ監督最新映画『インフィニティ・プール/Infinity Pool』物語結末までネタバレ。なぜ小説家は人殺しを楽しめる男になったのか?

「裸のランチ」「ザ・フライ」「クラッシュ」「イグジステンス」の鬼才クローネンバーグ監督の息子ブランドン・クローネンバーグは父親と同じく独特な視点と色彩でSF、ホラーを中心に映画制作を行う監督です。映画制作はまだ三作と経歴が浅く感じるかもしれませんが映画業界では既に鬼才と呼ばれて新作が待ち望まれている監督の一人です。

特に人の意識を乗っ取る暗殺者が人の意識が脱出できなくなり自分と人の境界線が徐々に失われていく悪夢と苦悩を描いたSFホラー『ポゼッサー』は父親クローネンバーグ監督をさらにブラッシュアップされた色彩、構図、脚本、デザインで世界中の映画ファンの度肝を抜きカルト映画として人気を博しています。

そんな監督が2年ぶりに新作映画を作ったとなると世界中の映画ファンの期待が高まり続けているのも無理はありません。最新作インフィニティ・プールとは一体どんな映画なのか紹介していきます。

『インフィニティプール』先に海外の感想評価を読むならこちら

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『ポゼッサー』映画のネタバレはこちら↓

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映画『インフィニティ・プール/Infinity Pool』作品情報

上映日:2023年1月27日(アメリカ)
上映時間:1時間57分
制作国:カナダ・ハンガリー・フランス
公式サイト:Neon (アメリカ)公式サイト
言語:英語
別名:Бескрайний бассейн
ロケ地
シベニク, クロアチア
製作会社Film ForgeHero Squared4 Film

あらすじ

孤島のリゾートに滞在していたジェームズ(アレキサンダー・スカルスゲールド)とエム(クレオパトラ・コールマン)は、手つかずのビーチ、優れたスタッフ、そして日光浴と完璧な休暇を満喫していた。しかし、魅惑的でミステリアスなガビ(ミア・ゴス)に導かれ、リゾートの外に出てみると、そこは暴力、快楽主義、そして未知の恐怖に満ちた文化に満ちていた。悲劇的な事故によって、ジェームズは死刑を宣告されるが、金があれば自分の身代わりを作り見逃されるだけではなく、自分自身が死ぬ様を見ることができるという。

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スタッフ&キャスト

監督
ブランドン・クローネンバーグ
脚本
ブランドン・クローネンバーグ

キャスト
クレオパトラ・コールマン…エム・フォスター
アレクサンダー・スカルスゲールド …ジェームズ・フォスター
ドゥニャ・セプチッチ … アンナ・ザ・クリーニング・ウーマン
アダム・ボンツ… ケッチ
ジャリル・レスペルト … アルバン・バウアー
ミア・ゴス… ガビ・バウアー
ジハード・グラシック … ドロ・スレッシュ

ミア・ゴスといえば現代のホラーの女王として君臨する女優。A24スタジオの傑作ホラー、”X エックス”と前日譚”パール”の主演を務めています。

ミア・ゴスの出演映画のネタバレはこちら

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映画『インフィニティ・プール/Infinity Pool』物語ネタバレ

小説家のジェームズ・フォスター(アレクサンダー・スカルスゲールド)妻エム(クレオパトラ・コールマン)は、ラトカのリゾートでバカンスをしていた。(ポスターや予告で強烈な印象を与えるキモい仮面はこの土地の伝統的なものでお土産屋に売ってるらしい)

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ガビの手コキ

ジェームズのファンだという女性ガビ(ミア・ゴス)夫のアルバン(ジャリル・レスペルト)出会い意気投合する。エムは二人で過ごしたがっていたが四人を食事をとった翌日、観光客は常にリゾートの敷地内にいるようにと警告されていたが四人で車に乗って島の外周をドライブする。目的地のビーチで四人はバーベキューをしながらのんびりと過ごした後、ジェームズが木の陰で小便をしているとガビが背後からジェームズに忍び寄ると、無言でジェームズのモノを掴み手コキを始める。ジェームズはガビを止めることができず喘ぎながら射精する。思わず振り返るがガビはジェームズに目もくれずに立ち去る。夜になりホテルに戻ろうと酔っ払った三人を乗せてジェームズが運転していると、車のライトが故障し気を取られている間に地元の男性を轢き殺してしまう。ガビは、この国は腐敗しているからまずはリゾートに戻ることを提案して四人は逃げるように現場を後にする。

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身代わり死刑制度

翌日、ジェームズは逮捕され警察署に連れていかれる。この国では人を殺した場合は死刑で、死刑執行は死んだ男の長男によって行われるのだという。しかし、この国には独特の司法制度があり、罪を犯した者が裕福な場合自身のクローンを作り自分の身代わりとなって長男に殺してもらうというものだった。

妻エムの実家は裕福なのでジェーずむは即座にクローン作成する方向で話を進める。すぐに処置が始められ謎の赤い液体に浸かる間彼はガビの裸体や奇妙な極彩色の幻覚を見て彼は気を失う。エムの声で目覚めたジェームズは赤いゴム質の物体に包まれたジェームズのクローンを見学する、本当にジェームズ本人がいるかのようにエムは嫌悪感を隠せずにいる。突如クローンが目を覚ましてこちらを見つめきたため二人はその場を立ち去る。

死刑執行会場にはジェームズのクローンが柱に固定された状態で、10代ぐらいの若い長男が現れる。少年は怒りの表情でやめてくれと懇願するジェームズのクローンのお腹を何回も何十回も刺し続けジェームズのクローンはついに絶命する。その様子を観客席(他にもたくさんいる)で見ていたエムは目を覆っていたが、ジェームズは驚愕の表情を見せた後、笑みを浮かべる。スタッフからジェームズのクローンの骨壷を渡された後、エムは荷物をまとめ始めすぐに立ち去ろうとするが、ジェームズはパスポートを紛失したと”嘘”をついて、自分だけは島に残るように仕向ける。

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裕福な殺人者たち

パスポート再発行の名目で滞在を1週間延長したジェームズはガビとアルバンに再会する。ジェームズに謝罪する彼らはジェームズと同じようにこの国で犯罪を犯し死刑を逃れるためにクローンを目の前で殺させた経験を持つ欧米人観光客の仲間を紹介される。彼らも同じように犯罪を犯したがクローンで助かった経験を持ち、自分も自身が死ぬ様子を見て喜んでしまったことがあるため彼らに興味を持ち行動を共にする。

彼らお土産屋を襲撃して例の奇妙なマスクを装着した後銃で武装し地元の屋敷に侵入する。全員で屋敷の主人、妻、娘を縛り上げ殺そうとするが隠れていた住民の男の反撃にあい仲間の一人が負傷してしまう。ガビの放った銃弾で男と住民を殺した後、全員でホテルに戻るが翌日あっさりと全員警察に捕まってしまう。男たちは余裕の表情で会話をしているが、突如警察関係者たちに取り押さえられ死刑執行会場に連れていかれてしまう。なぜだ?と全員が強く抵抗するが一人ずつ首を切られて殺されてしまう。

その様子を観覧席から見て拍手していたのはジェームズ含む裕福な猟奇集団だった。彼らにとってはいつものことだった。彼らは毎年このリゾート地を訪れ、誰をどれだけ殺しても盗んで壊し、あらゆる凶悪犯罪を犯しても、お金さえ払えば代わりにクローンが殺される。しかも自分のクローンが死ぬ様子を見て楽しめる一石二鳥で超法規的な経験に取り憑かれた最悪な連中だったのだ。

しかし再び自分の骨壷を持ってホテルに戻ったジェームズを見た妻のエムはうんざりしてアメリカに帰国してしまう。うなだれているジェームズに対しガビが慰めホテルの自室に連れていくと幻覚剤を一緒に服用して強烈な恍惚感を得た二人は取り憑かれたようにかつてない官能的なセックスをする。(かなりエロい。エンター・ザ・ボイドぐらいやばい)さらには仲間たちとも乱行しているようなシーンもある。

”生まれかわった”ジェームズ

彼らと出会ってジェームズは人が変わってしまう。以前の謙虚な表情や性格が観光地に訪れている普通の客に唾を吐きかけ邪魔をしたり、注意してくるリゾートスタッフに暴言を浴びせまくるのだ。

ある夜、ジェームズは誰かのクローンだと言われいつも通り幻覚剤を吸ってハイになった状態で暴力を振るい小便をかけ嘲笑う。するとガビが顔を覆っていた布を取り外すとそこにいたのは”ジェームズのクローン”だった。言葉を失うジェームズのすがたを仲間たちが嘲笑い、ジェームズはホテルに戻り自分が何をやっていたのか冷静になる。

翌朝洗面所に隠していたパスポートを手に空港から逃げようとするが

慌てたジェームズは隠し持っていたパスポートを取り出し逃げようとするが、ガビたちが車に乗って銃で脅してバスを停車させると、ガビは大きな声で哀れで可愛いジェームズ!こっちに来なさい!あなたを私たちの仲間にしようと思っているの!と大声でバスに向かって呼ぶ。逃げれないと思ったジェームズは咄嗟に森に逃げるがガビの銃弾が足を貫き負傷する。

負傷した状態で何時間も歩き回った後、農場の住民に助けられたジェームズは今まで多用した薬の幻覚に苦しめられる。目を覚ましたジェームズが農場の住民にお礼を言おうと探していると、農場を取り囲むようにガビたちが待ち構えていた。

エンディングネタバレ

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ガビの夫アリソンがジェームズに戻ろうと手を差し伸べるが彼は拒否する。すると今度はガビがリードを引っ張り”ジェームズのクローン”を連れきて、この犬(ジェームズのクローン)を殺せば変身が完了して仲間になれるとナイフを渡されるがナイフを捨てる。しかし幻覚剤を服用しているジェームズのクローン文字通り犬のようにジェームズに襲いかかってきたためクローンを過剰に何度も何度も頭蓋骨が破壊されるほど殴ってクローンを殺すのだった。

涙を流し倒れようとするジェームズをガビは慈愛に満ちた表情で優しく抱きしめると、まるで母親のように乳房をジェームズに差し出すと、まるで乳飲み子のように乳房にしゃぶりつく姿はまるで赤ん坊のようだった。

翌日、アメリカへ帰国するためジェームズ含む仲間たち全員がバスに乗っていた。仲間たちはここに滞在している時のことは全て忘れ、全てが夢だったかのように帰国した後の予定などを話していたが、ジェームズだけは無表情だった。

空港でガビや仲間たちとまた会おうとあっさりと去っていく姿を見送った後、彼はアメリカ行きのチケットを見つめた後、この島に残ることを選択、モンスーン暴風雨にさらされ閉鎖されたリゾートのビーチで一人で座っているところで映画は終了する。

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海外の感想評価 メタスコア : 72点

8/10
ミア・ゴスとアレクサンダー・スカルスゲールドがその才能を発揮するのに最適な舞台を提供する、奇妙で雰囲気のあるホラーの重層的な作品です。

この映画は信じられないほどよくできている。音楽は完璧に機能し、最初からトーンを設定します。ロケ地や設定も素晴らしく、映画全体を通して印象的だった独特のカメラワークを引き立てています。のどかなリゾートの雰囲気は美しく、見知らぬ国で混乱に見舞われる恐怖と孤独を大いに盛り上げてくれます。
ミア・ゴスとアレクサンダー・スカルスゲルドは、この種の映画では素晴らしいコンビを形成しています。ミア・ゴスとアレクサンダー・スカルスゲルドはこの種の映画では最高のコンビで、二人とも素晴らしい化学反応を起こし、最も強烈で個性的な演技を披露してくれました。小さな役も含め、全員が良いキャスティングで、それぞれの役を見事に演じきっていました。
普段、映画館で退屈してしまう私としては、この映画のテンポの良さはとても気に入っています。すべてのクリエイティブ・リスクは好きではないかもしれませんが、それらが集合して、退屈ではない、非常にユニークな映画を形成していると思います。この映画は様々なレベルで機能しており、万人向けではないが、ホラーというジャンルにユニークで優れた付加価値を与えていると思う。

1/10
この映画は全くの駄作です。

インフィニティ・プールは、私が今まで見た中で最も奇妙な映画の一つであり、良い意味ではない。この映画は、私が今まで見た中で最も奇妙な映画であり、良い意味ではない。「ムカデ人間」や「ミッドソマー」を見たことがある人は、その奇妙さのレベルについて覚悟しているかもしれない。少なくとも、それらの映画にはいくつかの救いがあったが、この映画はただの混乱だ。筋書きに大きな穴があるお粗末なストーリーで、「信じられない」という言葉では片付けられないほど、まったく信じがたい。主要キャストに好感が持てる人物が一人もおらず、ただただ映画が終わってほしいと思うばかりだ。やっとの思いでラストにたどり着いたとしても、非常に物足りない。今まで見た中で最悪の映画かもしれない。

3/10
今まで見た中でワースト5に入る映画です

この映画がなぜこんなに高い評価を得ているのか、本当に理解できない。この映画を観た人は、自分が映画芸術の愛好家のように見えるとか、本当に深く考えている人のように見えるとか思っているのかもしれない。アレックス・スカルスガルドが大好きなので、とても悲しいです。まず思ったのは、スタンリー・キューブリックは本当に死んでしまったんだな、ということです。この映画は、「時計じかけのオレンジ」×2、LSD、「パージ」、「シャイニング」を少々加え、黒板に釘を打つような耳障りな女性の声、大量のセックス、そしてもちろん長すぎです。

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まとめと感想「もの足りない」

全体的に奇妙な小説を楽しんだが物足りなさが残ったのが正直なところ。
個人的には前作ポゼッサーの方が引き込まれたかな。SF好きなのもあるんだけどさ。もっともっとぶっ壊れて欲しかったって印象。

のか?

エロ猟奇面白くカオスなんだけど物語は男が堕落していく物語で平凡。

物語が平凡なのに、暴力とか堕落する描写が足りないように感じた。エロは超興奮したんだけど、堕落ってエロだけじゃない、ジェームズ自身がもっと堕落していく過程を見たかったのにちょっとせっくすしたら一人前のタフガイぶるシーンは浅いと思った。もっともっともっとグッチャグチャにしてくれるとおもったが結構早い段階で冷静になっちゃったな。

リゾート地での狂気の一週間でジェームズは自分の本性を包み隠さない喜びをガビや仲間たちに導かれるまま解放していくが、理性が邪魔をして、心の緩急に耐えきれなくなって逃げ出すけど捕まって結局調教師ガビの思い通りに洗脳されてしまった・・この流れって。

高校デビューした子がヤンキーグループに誘われるがまま悪事に手を染めていって、かつてない感覚に脳が痺れて快感を覚え、それを一緒にやれる仲間が手に入った!と思ったけどそれもヤンキーグループにとっては遊びの一環で、あっさりと捨てられちゃって泣きそうになったところをヤンキーのリーダーガビに優しくされたから恋しちゃった感じ。

あれ、浅いね。すみません。

だからこそ、だからこそ、もっと衝撃が欲しかった。それこそポゼッサーぐらいの。でもあれ以上の衝撃は生まれず、彼らは安易に幻覚剤に頼ってしまったので彼らが見たものは薬の影響ですで終わってしまうのも悲しい。違う、クローネンバーグだったら薬の影響とかじゃなくもっと深いところを抉ってくれると期待してしまった。言葉では上手に言い表せれないけど薬には頼ってほしくなかった。

それにしても、ラストはどう考えれば良いのか、意図的に曖昧にしているのかは文系の私には考察しきれないけど、ジェームズはどこかのタイミングでクローンと入れ替わってるよね。だってあいつらあんな簡単にどうやってんのかわからないけどどこからかジェームズのクローン3体目を連れてきたし、なんなら奴らの遊びで気まぐれに本体とクローンを入れ替えて最初に死刑になったのがジェームズのオリジナルの可能性もあるから面白い。

そう考えればジェームズがガビの仲間たちと出会い徐々に解放していく様も説明できる。いくらなんでも冷静な小説家があそこまで一気に人殺しを頼めるほどに変化できるだろうか。

奥さんのエムは普通の人、だからこそ理性のタガだった彼女がいなくなったことで一気に悪化したのだろうか。

だったら猟奇的なバカンスを楽しむあいつらの何人かはクローンの可能性もあるから面白い。

面白いんだけどね。

個人的にはもっとジェームズが壊れるほど猟奇的に犯罪に手を染めるシーンが欲しかったな。ジェームズとガビの幻覚セックスシーンとかめちゃくちゃ興奮させられたんだけどさ、エロのイメージが定着してしまって洗い流すような暴力がもっと欲しかったなと。

ブランドン・クローネンバーグ監督の四作品目の情報は一切入ってこないから残念。また二年後かな。2024年を楽しみにしておこう。

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