「古き良きエクソシスト映画へのリスペクトを感じる良作」2022年11月に全米公開された悪魔系ホラー映画『Prey for the Devil』物語エンディングまでネタバレ解説。
もくじ
映画『Prey for the Devil』作品情報
上映日:2022年10月28日(米国)
制作国:米国
公式サイト
言語:英語
制作会社
Confluence Productions
Gold Circle Films
Lionsgate
あらすじ
世界的に増大し続ける悪魔憑依に対応するため世界中に設立されたエクソシスト訓練学校のシスターアンは自分が受け持つ悪魔憑きの少女ナタリーと出会うことで恐ろしい悪魔と対峙することになる。
スタッフキャスト
監督
ダニエル・スタム
脚本
ロバート・ザッピア
トッド・R・ジョーンズ
アール・リッチー・ジョーンズ
キャスト
ジャクリーン・バイヤーズ…シスター・アン
ヴァージニア・マドセン … ピータース博士
クリスチャン・ナバーロ … ダンテ神父
コリン・サーモン… クィン神父
ニコラス・ラルフ… レイモンド神父
ベン・クロス…マシューズ枢機卿
リサ・パルフリー… シスター・エウフェミア
デボラ・ジェチェヴァ… ヤング・アン
ポージー・テイラー …ナタリー
映画『Prey for the Devil』物語ネタバレ
1835年、バチカンはローマにエクソシズム(悪魔祓い)の司祭を訓練するための学校を設立する。
2018年、世界は前例のない悪魔憑きの数に対応するため、カトリック教会はローマ外にもエクソシストの訓練所を設立する。
現代、マサチューセッツ州ボストンにある”大天使聖ミカエル”悪魔祓い訓練学校。
エクソシスト訓練学校なのだが、女性はエクソシストの補佐の役割のみで女性自身がエクソシストになることは禁じられているため、学校内では必然的に女性の地位は低い。そんな中アン(ジャクリーン・バイヤーズ)はシスターになるべく教育を受けていた。
学校に併設されている病院内には悪魔憑き被害を受けた入院患者の受け入れ保護と看病も行っている。(全部屋に監視カメラ、そして電子ロックによって患者が外に出ることはできない、そして世話は全てシスターがおこなっている)
アンは入院患者の少女ナタリー(ポージー・テイラー)との会話で帰りたがっている彼女にお菓子をあげて不安を解消させるなど優しく接するが、アンは過去に悪魔に憑かれた母に育てられた苦痛に満ちた幼少期を過ごしていたことがあり、そのトラウマを払拭することができず一人宿舎に戻ると常に母に取り憑いていた悪魔の影に苦しめられていた。
ある日、いつものように病院に向かうと、悪魔の囁きが聞こたアンが周囲を見渡すと施錠された部屋から少女ナタリーが外に出ていた。異様な事態であったがアンは刺激をしないように優しく接してナタリーを部屋に戻した。
アンは高齢の男性患者の背中を聖水で拭いていたところ突如拭いた場所が火傷のように爛れていくことに気が付く身構えると男性の中に潜んでいた悪魔が現れアンに襲い掛かる。かろうじて彼女は男性を振り払い撃退。さらにクィン神父(コリン・サーモン)の授業で悪魔憑きの音声を聞いたアンはナタリーと出会う前に聞こえた囁きと似ていることに気が付き相談したことで、エクソシストとしてのアンの才能を認めた学校は彼女にエクソシストとしての訓練を受けることを認められるのだった。
男性エクソシストの卵の仲間と共に厳重に施錠された地下に降りていくと、そこには悪魔に取り憑かれた少女としてナタリーが隔離されており、今回の訓練はナタリーに取り付いた悪魔払いを行うというものだった。
まず男性エクソシスト訓練生二人がナタリーの悪魔祓いに挑むが、ナタリーの中に潜む悪魔は強く聖書も聖水にも怯まずクィン神父が入手つして応戦するも圧倒的な力に倒れてしまう。何度も廊下にいるアンに向かって助けを求める仕草をするナタリーを見たアンは聖書を持って中に入りナタリーと対峙する。アンを見たナタリーは”怖い”と呟き意識を取り戻すが再び悪魔に乗っ取られ髪の毛をパスタのように吸い込み始める憑依者の自傷行為を始めるが、全員の力を借り彼女の中に潜む悪魔を撃退することに成功し安堵する。
既視感を覚えたアンはナタリーの”症状”過去の悪魔被害者たちの資料を読み漁り、ナタリーにはかつて自分の母親を苦しめたのと同じ悪魔に憑依されているとシスター・アンは考えるが、すでに悪魔祓いは終わったと言われ別の案件を対応するように言われる。
後日、アンは同門のダンテ神父(クリスチャン・ナヴァロ)を悪魔祓いを協力し患者の腹から現世に出ようとする悪魔の撃退に見事に成功したかのように見えたが、翌朝学校の幹部と枢機卿から、成功したと思っていた女性が自殺したと聞かされエクソシストとしての才能を疑われたアンは元のシスターに戻るように勧告されてしまう。
消沈したアンの前にダンテ神父が現れると悪魔祓いが成功して退院したナタリーの悪魔が再び現れ対応した警察官とエクソシストを殺害したため、”悪魔憑き末期患者”としてバチカンに送られ処分されてしまう可能性があると伝える。
そして、ダンテ神父とアンは堅牢な牢屋に閉じ込められたナタリーと対峙するが、そこでナタリーはアンが10代で妊娠したときに養子に出した実の娘だと知る。ナタリーはアンに捨てられたという苦悩やトラウマにつけ込み悪魔が憑いてしまったのだ。なぜ私を捨てたの?と問いかけるナタリーを抱きしめ懺悔しナタリーの悪魔を解放し、自分自身に取り憑かせることに成功したアンだったが、悪魔に乗っ取られたアンはナタリーを殺そうとするが、その姿はかつてアンにトラウマを与えた母と同じ行為であること、そして母として娘を産んだ慈愛を思い出しかろうじて意識を取り戻したアンは聖水が貯められたプールに落ちる。アンは意識を失い過去の苦悩と戦い悪魔から解放されるのだった。
エンディングネタバレ
後日入院したアンのお見舞いに来たナタリーと再会し抱きしめる。
晴れてエクソシストと任命されたアンがタクシーで学校を出た彼女は、信号待ち中にこちらを見つめ続ける女性に違和感を感じる。するとタクシーの運転手は学校の患者の一人で、悪魔に取り憑かれ襲われた老人だと気が付く。運転手が唸りながら突進してくるがアンは落ち着いた表情で十字架を取り出し前に掲げたところで物語は終了する。
海外の評価 5.2/10
8/10
入れて…くれ…る!
スローペースで、いくつかの飛び降りるような恐怖があります。この映画は常に不気味なオーラを放っていて、どんな時でも明るくならないからだと思う。斬新なストーリーと演技は良かったが、華やかさには欠ける。サイコスリラーに血糊を混ぜただけのホラーではなく、実際のホラーなので、「スマイル」は今年最高のホラーだと思った。「スマイル」は友人と一緒に飛び出す楽しいホラーだったが、こちらは死ぬほど怖いホラーだった。常におなかが冷えていて、その感覚を忘れていた。スマイルよりもこっちの方が怖いのは、リングのような他のホラーを彷彿とさせるからかもしれない
ここ数年、新しいホラーを観ても怖くなくなったので、ああ、年をとったんだなあと思い、ホラーを観なくなりましたが、芯から怖いと思える作品に出会えたので、なぜこれを見逃したのかがわかりません。エクソシストホラーは、ヴァンパイアやサイコパス、ゾンビなどのスラッシャーと違って、悪魔が実際に存在するため、特に教会で育った人は背筋が凍る思いがすると思います。
10点満点にしなかったのは、プロットがかなり一般的で、ひねりさえもいい加減な文章に感じられたから。もっと生々しくてもよかったと思うし、心に残るような映像はあまりなく、pg13というレーティングが限界だったのかもしれない。シスター・アンが選ばれた理由など、いくつかの未解決の質問。また、ストーリーに深みがなかったが、それほど必要ではなかった。見ている間、ただ怖いだけでなく、後で寝る前に考えさせられる、印象に残る映画であることが気に入りました。
久しぶりにホラーに興奮したし、期待に応えてくれたのでとても嬉しい。子供の頃、なぜホラーを楽しんでいたかを思い出させてくれました。
2/10
スマイルが凄すぎた
この映画で、私は、「悪魔のいけにえ」のようなホラー映画を見た。ホラー映画の大半はひどい出来だろうという予想が的中してしまった。
私がこのような低得点をつけるには、2つの異なるルートがある。1つは、その映画が積極的に悪いもの、笑えるもの、非難すべきもので満たされているものである。『Prey for the Devil』の場合はそうではない。2つ目のルートは、この映画には何の価値もないというものだ。何一つ良いところがないのだ。
この映画は、あなたに関心を抱かせることに関して、恐ろしいほどの仕事をします。何に対しても。何回「どうでもいい」と思ったか、記録できないほどです。感情的な場面はどうでもいい。大ホラーもどうでもいい クライマックスもどうでもいい。
怖さを評価するならば、10点満点中2点。緊張感ゼロ、サスペンスゼロ。飛び跳ねたのは3回くらい。怖いはずのシーンを観て、全く何も感じなかった。また、悪魔祓い系のホラー映画はもうこりごりかもしれない。毎年何本か出てくるが、たいてい役に立たない。
5/10
巧みなアイディアが災いしている。
私の嬉しい驚きに、「Prey for the Devil」は実際に、憑依というサブジャンルに十分ユニークで説得力のある取り組みをしている。この映画の脚本は、序盤でキャラクターの背景とテーマの深さを紹介し、その結果、プロットは主に感情的な核によって推進されることになる。
この映画では、自分を許そうとしないことが、人が自分を見失い、悪魔に心を支配される力を与える毒となる。このような場合、完全に自己を許すことだけが、悪魔の脅威を取り除くことができるのです。
私はこの物語に加えられた、陳腐な筋書きを超えた応援したくなるような何かが大好きです。
ただ、映像やストーリー展開の点で、この映画は一般的なものなので、他の部分もこれくらい魅力的であればと思います。
演出も恐怖の設定も、衝撃的なほどセンスがない。驚きや衝撃は一度もない。役者陣は全力を尽くしているが、テーマばかりが先行し、登場人物の現在を具体的に語る余地がないため、本当に何もできていない。
手持ちカメラやクローズアップを多用し、舞台となる豪華で広々としたロケーションの非常識な可能性を生かしきれていないのが悲しいところ。
もし、もっと芸術的に大胆な監督がこの脚本を担当したら、素晴らしい作品に仕上がったかもしれない。その代わり、かなり中途半端な出来になってしまいました。
7/10
しっかりした怖さ、素晴らしいキャストとストーリー
この映画は、とてもよくできた映画だと思います。私は自宅でホラー映画を見るとき、恐怖を感じることはほとんどありませんが、この映画はまだそれを可能にしました。悪魔憑きや悪魔払いの映画は何十年も前からあるものですが、『Prey For The Devil』には、ストーリーを動かすための素晴らしい驚きとひねりがありました。ジャクリーン・バイヤーズは信じられないほど弱々しい演技をし、ポジ・テイラーも時に甘く、時に不穏な演技をしている。
クリスチャン・ナヴァロはとても共感できる主役で、ティーン向けの役柄から脱却した姿はかっこよかったです。コリン・サーモンとヴァージニア・マドセンの2人もしっかりした演技をしていました。この作品では、説明や反対側の理性的な声以外に、もう少し活躍の場があればと思いますが、別のホラー企画で彼らを見ることができ、満足しています。
全体的にかなり怖く、よくできていて、楽しめる作品だと思います。
まとめと感想「嫌いじゃない」
海外の評価は賛否分かれたようだが、個人的にエクソシスト系は好き。ラスト以外は悪魔の存在を出しすぎずやりすぎず塩梅よくリアリティーがあったので満足している。個人的には秘められた学校を舞台にもっと見せて欲しかったかな、悪魔被害者の音声の授業とか興奮したし本物かどうかは知らないけどゾクゾクした。
スラッシャー系ばっかり最近見てきたのでエクソシスト系の映画は新鮮に感じこの映画は好きである。もちろん物足りないし脚本はツッコミどころも登場人物たちの背景など説明不足なのも気になるがそれでも”未知の恐怖”と”潜在的な恐怖”である悪魔を題材に良い恐怖を与えてくれた。
そういえば好きなシーンが2つある。
一つは、ナタリーが恐怖に怯えて目を両手で覆うも手の甲に目のような傷が現れ”目を閉じても塞いでもお前を見ている”と恐怖を与える印象的なシーン。シンプルに塞いだ手から目のような傷、と言う悪魔的なアイディアにすごい感心しテンション上がった。
もう一つは悪魔憑きナタリーの様子を見ようと救急車の観音開きのドアを開けるとそこには、ストレッチャーの上で胡座をかきロザリオを持つ悪魔ナタリーの姿が良いシーンだなと心に残った。
なんと説明すべきか、”ただそこに悪魔に取り憑かれた少女が座っているだけ”なのだがそのシーンだけで、わたしたちにひと目でこの悪魔は危険に満ちた上級の悪魔であること、そして握りしめる手を見て”お前らの信仰する十字架”を恐れず破壊を象徴していること、そして傲慢にも見える胡座で座する姿はまるで”王様”のようにも見え、身分の差をひと目で理解させてくれた。ほんの一瞬だったがめちゃくちゃ印象的で忘れ難いシーンだった。・・・。
”格好良かった”。
そう、カッコ良いと思ったのだ。
監督のダニエル・スタムは2010年に似たような悪魔憑きとエクソシストを題材にした『The Last Exorcism』という長編映画を最後にテレビドラマの監督を行いながらキャリアと経験を積み12年ぶりに長編映画を作ったようだ。
監督が私と同じエクソシスト系好きなのは嬉しいが10年以上期間が空いたとはいえ2作連続エクソシスト系を作ったのはすげぇな。今作よりも前作の方が評価が高いけど興行収入で初登場で3位と悪くない成績なので、さらにブラッシュアップされたエクソシスト系の映画を作ってくれるのか、期待してしまう。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓